【西部ガスホールディングス 加藤社長】人的資本と結合力が軸 現場実装で成長循環へ「伝わる経営」を深める
九電HD化に警戒感 BtoCの新規事業強化
井関 九州電力が持株会社体制(ホールディングス化)への移行を発表しました。この動きをどう見ていますか。

加藤 九州電力は高い事業遂行力を持つ企業であり、HD体制への移行によって、各事業会社の自立性とスピード感がさらに高まると見ています。特に新サービスブランド「Enebee」を通じて、エネルギーの枠を超えた暮らし領域に事業を拡大してくることを念頭に、強い危機感を持って注視しています。当社としては、これまで築き上げてきたお客さまとの接点や信頼関係という結合力を最大限に生かし、BtoC領域における新規事業の創出と育成を一層強化していく考えです。小さな成功と失敗を積み重ねながら、着実に事業を育てていきたいと考えています。
現在は営業部門を中心に、お客さまにより近い立ち位置で価値提供できる施策を検討・実践しています。私たちは、企業価値を顧客価値・株主価値・従業員価値・地域価値・取引先価値・環境価値という六つの価値の掛け合わせとして捉えています。六つの価値を個別に追求するのではなく、相互に結び付け、高め合う「結合力経営」によって価値創造の好循環を生み出し、持続的な成長と社会課題の解決を実現したいと思います。
西部ガスグループは先行してHD化へ移行し、事業会社への権限委譲を進めてきました。一方で、地域事業は単純な縦割りでは成り立たず、LPガス事業を含め、地域全体を面的に捉えながら運営する必要があります。そのため、地域会社には引き続き横断的な役割を担ってもらいます。持株会社化の効果は一朝一夕に表れるものではなく、時間をかけながら徐々に発揮されていくものと考えています。
井関 地域のエネルギー事業者同士が切磋琢磨しながら九州の発展に貢献していくことが期待されています。本日はありがとうございました。
対談を終えて
「今日は、お互いに経営を語り合いたい」。そんな前置きから始まった加藤社長のインタビュー。他社ではなかなか聞くことのできない切り出しだっただけに、内心驚くとともに、経営者自らの言葉で経営を語ることに対する強い意気込みを感じさせられた。「伝わる経営」の実践だ。7月28日には、供給エリアでもある熊本地方で震度7の大地震が発生。10年前の教訓が大いに役立ち、速やかな復旧が実現した。(聞き手:井関晶/本社社長)


