再エネ開発50万kWを目指す 達成に向けて新組織も発足
風力発電の導入量は約3万kW。愛媛県伊方町で三崎ウインドファーム(2万kW・四国電力41%出資)に参画するほか、発電・変電設備建設を行うグループ会社の四電エンジニアリングも、自治体や再エネ企業と共同して陸上風力発電所を運営。発電所は四国域内のみならず、鹿児島県南九州市でも事業を行っている。
太陽光発電は、愛媛県松山市で松山太陽光発電所(2042kW)を運営するほか、送電・配電設備工事などを行うグループ会社の四電工が多くの事業を進めている。出力約1万2460kWの香川県観音寺市のメガソーラーを筆頭に、四国四県に加え茨城県など計29カ所で太陽光事業を行っている。四電エンジニアリングも愛知県知多市で太陽光発電所を運営しており、グループ全体の導入量は約5万kWにまで達した。
さらに、同社は国内のみならず、チリ、インドネシア、台湾でも再エネ事業に参画している。
チリのウアタコンド太陽光発電所(9万8000kW・四国電力30%出資)は商社の双日などと共同して推進している事業で、19年9月に運転を開始。インドネシアのバタントル3(1万kW)、台湾の雲林洋上風力発電所(64万kW)事業にもほかの事業者と共同で開発を進めている。
重要な鍵握るグループ会社 目標達成に向け新部署設立
今年9月末時点で、国内における発電事業者は900を超えており、その多くは太陽光、風力、バイオマスなどの再エネ事業者が占めている。多くの事業者が再エネ開発に取り組んでいるが、四国電力が持つ強みについて立川氏は「再エネ開発に強いグループ会社」の存在を挙げている。
特に四電エンジニアリングについて「四国だけではなく、北海道、青森など国内の陸上風力発電所23カ所でEPC(設備の設計・資材調達・建設を一括して請け負う契約)を経験するなど、風力発電において大きな知見を有しています」(矢野氏)。また四電工についても、「配電線や送電線の設備の工事を行っている事業者ですので、太陽光発電所などの系統への接続工事を得意としています」と、自社グループの強みについて語る。
電力会社ならではの特長を持つ四国電力だが、50万kW達成に向けては多くの積み上げが必要になる。そうした中、同社は目標達成に向けて、国内の再エネ事業を担当する再生可能エネルギー部に「開発推進室」を11月1日に設置した。
開発推進室の設置について立川氏は「東北や九州などで洋上風力促進区域が設定され、洋上風力事業に参入する電力会社も増えています。これまで当社の再エネ事業は水力が中心でしたが、当社としても洋上風力には高いポテンシャルがあると考えています」と話す。従来から取り組む陸上風力および太陽光に加え、洋上風力、バイオマスなど、多様な電源の開発を目指す方針だ。
期待が高まる再エネ事業。立川氏は「これまで当社だけではなく、グループ会社も再エネ開発を経験したことで、多くの人脈や知見を得られました。当社が持つ強みを生かしながら、国内の陸上・洋上風力やバイオマス、海外での再エネ開発に向けて、全社を挙げて取り組みたいと考えています」と今後の展望について語った。
海外事業にも鋭意取り組み、新組織を発足させた四国電力が、50万kWという目標に向けてどのような一手を打つのか。今後の動向に大きな注目が集まりそうだ。
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