【関西電力 森本社長】原子力と再エネの両輪で エネルギーの安定供給と脱炭素社会に貢献する

2021年9月1日

新たな価値提供へ 多様なニーズに対応

志賀 エネルギー市場競争の状況はいかがでしょうか。

森本 新電力や大手電力会社との激しい競争は今後も継続していくと受け止めています。そこで当社は、単に電気、ガスを販売するのではなく、「暮らし」や「ビジネス」、「コミュニティー」などさまざまなシーンにおいて多様なソリューションを通じてお客さまに新たな価値を提供し続ける「サービス・プロバイダーへの転換」を目指しています。

 家庭分野では、オール電化や電気・ガスを組み合わせた魅力的な料金メニューのほか、幅広い暮らしのニーズに対応する「かんでん暮らしモール」の開設、電気とエコキュートなどの電化機器のリースをパッケージ化した「はぴeセット」などをご提案しています。法人分野では、企業のゼロカーボン化の実現に向けたロードマップ策定支援や、太陽光発電設備や蓄電池の設置といった、コンサルティングからエネルギーマネジメント、機器の設置に至るまで、お客さまのニーズに合わせた取り組みを展開していきます。

志賀 25年には大阪・関西万博が控えています。

森本 大阪・関西万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」がテーマです。将来の生活や社会のシステムがどのような姿になるのか、それが垣間見える場になると考えています。低速移動の電気自動車、水素と電気を使った燃料電池船、あるいは空飛ぶクルマ、EVへのワイヤレス給電など当社グループからもさまざまな提案をしています。新しい生活スタイルを体験できる場として非常に期待していますし、パートナーと協力しながら将来への期待や夢を抱くことができる材料を提供していきたいです。

志賀 期待しております。本日はありがとうございました。

大阪・関西万博では水素船など未来の社会を実現する技術を披露する

対談を終えて

原子力発電の新規制基準施行後初の40年超運転の再稼働を実現した美浜3号をはじめ、関電は着実に原発再稼働の実績を積み上げ、今や日本の原子力をリードする立場にある。2050年ゼロカーボン社会実現には、エネルギー供給で再エネと原子力を車の両輪とすると明言。原子力の将来について、備えを万全にしたいという強い意志を感じた。オリ・パラ後に控える25年の大阪・関西万博。電気だからこそ実現できるさまざまな提案をしていきたいとの言葉に、期待を持たせていただいた。(本誌/志賀正利)

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