【東北電力 樋󠄀口社長】火力燃料の安定調達や 被災火力の早期復旧で 給力確保に万全を期す

2022年7月2日

新規開発と休廃止進め 火力電源の競争力強化

志賀 上越火力1号機が試運転に入りました。電源競争力強化への取り組みについて教えてください。樋口 現在、ガスコンバインドサイクル発電設備として世界最高水準となる熱効率63%以上を目指している上越1号(新潟県上越市、出力:57・2万kW)の建設を進めており、今年12月の営業運転開始を予定しています。古いLNG火力と比べ、燃料消費量、CO2ともに3割以上の削減メリットがあります。一方で、「競争力・環境性の劣る経年火力の休廃止」として、23年3月に秋田4号(秋田市、出力:60万kW)の廃止を予定しています。

 これまでも、競争力がある電源の新設に合わせて経年火力の休廃止を進めてきており、引き続き、さらなる電源の競争力の強化や環境性の向上に取り組んでいきます。

志賀 女川2号の安全対策工事の進捗と見通し、東通1号の審査状況については。

樋口 女川2号の安全対策工事については、昨年12月の工事計画の認可により、工事全体の工程をより詳細に見通せる状況になったことを踏まえ、改めて工事の完了時期を評価し、23年11月の工事完了を目指すこととしました。各種工事の進捗を踏まえた作業員の確保や現地工事の作業調整など、より柔軟かつ効率的に工事を進めていきます。

 また、再稼働時期については、今後実施していく使用前事業者検査や原子力規制委員会の使用前確認の進捗状況などを踏まえ、改めて見極めていく必要がありますが、現時点においては、他社事例や当社の過去実績を踏まえ一定の目安として、発電機を並列して発電を開始する「再稼働」を24年2月と想定しています。

 まずは安全対策工事完了に向けて安全確保を最優先に全力で取り組むとともに、今後の「原子炉施設保安規定変更」に係る認可取得に向けた審査や使用前事業者検査、長期間停止している設備の点検・確認などにもしっかりと取り組んでいきます。その上で、地域の皆さまからのご理解をいただきながら再稼働を目指していきます。

安全対策工事が進む女川原子力発電所

 東通1号のプラント側審査に向けては、基準地震動および基準津波が決まった後に適合性審査の軸となるPRA(確率論的安全評価)、安全対策の有効性、技術的能力といった一連のシビアアクシデント対策について評価する必要があります。また、女川2号の実績を踏まえた代替循環冷却系の追加設置に向けた耐震性などについても評価する必要があり、これらの評価の後に審査を効率的に進めていきます。いずれにしても現在、地震・津波の審査が行われており、まずは基準地震動・基準津波について説明を尽くしていきます。

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