【コラム/5月21日】新たな年度を迎えて 電気事業制度・政策動向を検証
加藤 真一/エネルギーアンドシステムプランニング副社長
早いもので2024年もあっという間に4カ月が過ぎ、新年度も2カ月目に突入している。4月のエネルギー・環境関連の審議会は年度明けということもあり、少しおとなしめに始まったが、5月は連休明け以降、活発に審議会予定が組まれており、いよいよ本格的な政策の議論や個別の施策の実行・評価が行われると感じさせるものになっている。今回は、24年度を迎え、今後の制度や政策の流れについて考えていきたい。
依然として同時並行で進む 政策づくりと制度設計
この数年、電気事業制度をはじめ、日本のエネルギー政策は様々な環境変化に伴い、同時並行的に多くの施策が行われている状況である。定期的に審議会や政府の動きを追っていると、どうしても短期的、かつ近視眼的な部分に着目しがちになるが、一方で、先々の方向性を見ることで時代の変化に対応していく準備も重要な視点となる。
事業者であれば事業リスクの回避や事業機会の創出は大切な観点なので足元の変化をチェックして対応していくことはもちろん必要だが、併せて中長期の視点で次の一手をどう打つべきかを考え、成長や発展に繋げていくことも必要となる。
資料1に、24年度以降の主な制度設計の時系列の流れを、縦軸に共通となるエネルギーやGX政策、発電・送配電・小売を、横軸に年度を取り、整理してみた。
この図は定期的に見直し、年度ごとにローリングさせているのだが、その都度、感じるのが、制度設計(新規・見直し・廃止)は止まることなく続くということである。それだけ環境変化が激しいこと、また一度動かした制度はそのままの形で継続するのでなく、フォローアップされ、適宜見直されるという証であろう。
今後、大きな動きでは、GX戦略の実行・更新、次期NDCや第7次エネルギー基本計画の策定、そして電力システム改革検証の整理などが進められる予定であり、その中で必要な施策は、個別具体的に落とし込まれてくることが想像されることから、この図もさらに変化していくであろう。

各分野の動きは活発
2024年度も各分野で新たな施策が実行されている。ここからは各分野の取組状況について、概略を説明していきたい。
1.発電分野
供給力の確保では、実需給25年度向けの容量市場で供給信頼度が低い北海道・東京・九州の3エリアで初の追加オークションの応札が5月に行われる。容量市場については、将来の電力需要を踏まえた必要調達量の在り方や脱炭素化を踏まえた確保の在り方、現在、新設のGTCCを基に算定されている指標価格の在り方などの見直しを検討することとなっている。
1月に初回入札が行われた長期脱炭素電源オークションについては、その結果が4月に公表された。募集量を超える応札があり、必要量は確保できた。電源種としては、脱炭素電源では蓄電池の応札・約定が多く、期間限定かつゼロエミ化の条件が付いているLNG専焼火力は3年間の募集枠をほぼ埋め尽くした形となっている。2回目以降の入札は初回の結果も踏まえて、募集量の設定やエリア偏在発生時の対応、LNG専焼火力の扱い、上限価格の設定、9割還付の考え方等の各種論点の検討を進めていくこととしている。
長期オークションを含む容量市場の実行により、一定程度、供給力の確保に安心感は出てくるが、一方、大規模災害時等で確保した電源が使えなくなるリスクは依然としてある。その対策として火力電源を対象に確保する予備電源制度については、詳細設計が完了し、今夏に初回募集が行われる予定となっている。


