【記者通信/12月27日】カナダが使用済み燃料で最終処分地決定の経緯

2024年12月27日

カナダの核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は11月28日、同国の使用済み燃料を処分する深地層処分場の建設地をオンタリオ州北西部のワビグーン・レイク・オジブウェイ・ネーション(WLON)のイグナス地域に決定したと公表した。

NWMOの決定発表文。スワミCEO(左)とボイル副理事長兼主任技師

原子力発電の使用済み核燃料の処分については、どの国でも地中深くに埋める地層処分の方法が採用されている。現時点(24年時点)で、フィンランドで処分施設が稼働、スウェーデン、フランスで地域選定の後で、安全審査中となっている。場所の決定した国にカナダが加わる。

カナダでは、2002年に官民の共同出資によって設立された NWMOが、放射性廃棄物の安全かつ長期的管理を担当し、2010年から使用済み燃料の深地層処分場のサイト選定プロセスを開始した。

当初、22自治体が処分場の受け入れに関心を表明した。そのうち、先住民族が受け入れを認め、地域議会が誘致意思を示したWLONに決まった。

NWMOのスワミCEOは、「本プロジェクトはカナダの環境問題を解決し、気候目標を支援するもの。カナダ人と先住民が主導し、同意に基づく立地プロセスで推進された。これが歴史を作るということだ」と、発表文で述べた。同国のウィルキンソン・エネルギー・天然資源相は、「各コミュニティとサイト選定プロセスに関わった、多くのコミュニティのリーダーシップと積極的な関与に深く感謝し、NWMOの長年にわたる努力を称賛する」と述べた。サイトの地域の決定を受け、今後は規制評価段階に入る。

カナダは、原子力を活発に活用しており、地方自治体、先住民族なども、その利用への理解がある。日本でも北海道2カ所、九州で1カ所の自治体による文献調査が行われている。海外での新しい動きが、日本での処分地選定の議論が進むことに、前向きの影響を与えることを期待したい。