【インフォメーション】エネルギー企業・団体の最新動向(2025年1月号)

2025年1月15日

【三浦工業/新型のガス焚き小型貫流蒸気ボイラーでCN貢献】

ボイラーメーカー大手の三浦工業は、産業用熱源として使用されている主力製品「ガス焚き小型貫流蒸気ボイラSQ-AS型」をモデルチェンジし、「SQ-CS型」を25年3月から順次発売する。CS型は排ガス中のO2濃度を常時計測し濃度が一定になるよう制御する「O2センサ」を搭載したことが特徴。これにより、細かな燃焼調整が可能となった。さらに排ガスと給水を熱交換する装置「エコノマイザ」を改良することで、従来機より1%高いボイラー効率99%を達成したという。同社は新製品を通じて、カーボンニュートラル(CN)の実現に貢献していく構えだ。


【NEDO/液化CO2大量輸送に向けた実証試験の説明会】

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、工場や火力発電所などから回収したCO2を液化し貯蔵や荷役を経て船舶で運ぶ一貫輸送システムの確立に向けた技術開発の説明会を開いた。CO2を低コストで大量輸送する役割が期待される実証試験船「えくすくぅる」で、京都府舞鶴市と北海道苫小牧市の間を往復する試験を開始した。NEDOの布川信サーキュラーエコノミー部CSSチーム長は、輸送船用貨物タンクの開発や液化CO2を安定した状態で運ぶ技術などを追求し、CCUS(CO2回収・有効利用・貯留技術)の社会実装を促すことへの意欲を示した。


【岩谷産業/LPガス配送の合理化へ横須賀デポステを新設】

LPガス配送の合理化に向け、岩谷産業はこのほど、神奈川県横須賀市内のLPガス充てん所を改良し大型トレーラーを受け入れるデポステーション(ボンベ置き場)としての機能を新たに追加した。出荷機能を高めるため、24年4月に横浜市内に整備した根岸LPガス液化ターミナルと横須賀デポステとの間を、トレーラーが毎日2往復をめどにピストン輸送する。1車両当たり12.5tを積載する大型トレーラーを8台活用する予定で、輸送能力は年間で約1万4000t。同社は、人口が約70万人の横須賀エリアにおけるシェアを現行の約4割から将来は6割まで高めたいとしている。


【東邦ガスほか/四日市市に地域新電力設立、公共施設に供給】

東邦ガスはこのほど、三重県四日市市、日鉄エンジニアリング、三十三銀行との共同出資で地域新電力会社「よっかいちクリーンエネルギー」を設立したと発表した。25年4月以降の電力供給を目指す。同市のごみ処理施設で発電した電力などを市内の公共施設に供給し、エネルギーの地産地消を進める。事業で得た利益は脱炭素化に役立つ取り組みなどに活用する。


【JPEC、産総研/液体合成燃料の製造プラントで連続運転に成功】

カーボンニュートラル燃料技術センター(JPEC)は、産業技術総合研究所と共同で、CO2と水から液体合成燃料を一貫製造するベンチプラントを開発し、連続運転に成功した。液体合成燃料は既存インフラを有効活用し、ガソリンや軽油、ジェット燃料などを代替できる利点を持つ。両者はシステムの規模を拡大し、社会実装に向けた取り組みを進めたい考えだ。


【茨城大学/カーボンリサイクルのシンポで最新動向を紹介】

茨城大学カーボンリサイクルエネルギー研究センター主催のシンポジウムが、11月末に開催された。元トヨタの中田雅彦氏が「エネルギー、CO2/気候変動問題などの最近の動向」をテーマに基調講演。また、同センターの田中光太郎教授が「湿度スイング式DAC(CO2の直接回収技術)」研究の進捗を紹介し、社会実装に向け企業と基盤技術を共有する意向を示した。