【SNS世論/2月25日】日本型リベラルの崩壊とエネルギー政策への影響
2月の衆議院選挙で野党が大敗した。敗因をめぐる議論が直後からネットで盛んだ。どのように解釈するかは人それぞれであろうが、私は国民が「日本型リベラル」を批判し、改革と変化を求めていることの現れと、この敗因を見ている。そして敗北はエネルギー政策など多くの問題に影響を与えていくだろう。

SNSで共感を集めた論考の一つに、評論家の白川司氏の「そりゃボロ負けするわ…中道改革連合が若者にソッポを向かれた納得の理由」(ダイヤモンド・オンライン、2月11日)があった。政治史、思想史から紐解き、「与党は悪、自分たちは善の二重基準が露骨」な「変化を否定し続けるリベラル派」に対する若者への嫌悪が現れたと選挙結果を総括した。
「若者 リベラルを権威視」(同12日)という阿部真大・甲南大教授への毎日新聞のインタビューも話題になった。古い権益を守るリベラルが「権威」と見られ、それへの若い世代の反抗との分析が、オールドメディアでリベラル色の強い毎日新聞に掲載された。
おかしくなったリベラル像
これらの分析は適切であるように思う。今回の選挙結果は、保守回帰とか、高市人気だけが理由ではない。かなり根の深い変化を表したものに思える。
リベラルとは欧米では「国家からの自由」「社会的公正」を主張する政治的立場のことだった。しかし最近は世界で左派政治勢力の総称に変わり、日本でもかつて「革新」「左翼」と呼ばれた人たちが自称した。その人たちは日本の政治空間では独特の意味を持つスローガン「護憲と九条を守れ」「平和と反戦と反核」「平等と福祉拡大」「多様性」を掲げてきた。そういう古い行動をする勢力を仮に「日本型リベラル」とこの論稿では呼ぼう。
そして今、リベラルへの批判が世界で増えている。理想論に流れ、社会を変えないとの批判だ。トランプ米大統領はその先頭だ。その世界の潮流と重なりながら、その批判が、日本の今回の選挙では爆発してしまった。
リベラル自壊に気づかない当事者たち
オールドメディア側では、選挙結果をめぐる浅い分析が多かった。毎日新聞は外国人ジャーナリストに聞いた「夢売った『アイドル』」(同13日)との記事で、高市早苗首相を賛美する国民が軽薄な主張に飛びついたとの主張を載せた。東京新聞は「#ママ戦争止めてくるわ ネットで共感」(14日)との記事で、高市政権への批判票を入れて戦争を止めようとする選挙前のSNSでの広がった運動を賛美した。この動きは、厳しい安全保障情勢を日本政府だけのせいにするなと批判も多かった。いずれも「現実をゆがめている」と、ネットでいわゆる「炎上」になった。
日本ではリベラル勢力と一部新聞は、同じ主張を語ってきた。「日本型リベラル」の崩壊を認めると、新聞は自らの過去への批判を含んだ総括が必要になる。だから積極的でないのかもしれない。
SNSはこうした日本型リベラルの行動、その周囲の言論空間のおかしさを暴く、重要な役割を果たした。忖度があって動けないオールドメディアとは違う。影響力は、新聞やテレビなどのオールドメディアを上回りつつあり、さらにその力は増しそうだ。
そして当事者の日本型リベラルの中の人の多くは、社会の変化に気づいていない。元民主党代表で、中道改革連合で落選した岡田克也氏は落選の理由をこう総括した。「ネットを見ている人の支持が非常に低かった。デマや批判が渦巻いていた」。ネットの中にある当然の批判、そして変化に気づいていないらしい。岡田氏は選挙の時に72歳。年齢を悪くいうつもりはないが、時代の変化に取り残されている。
若い世代に支持されず、かつて支持をしていた人々の高齢化もあり、「日本型リベラル」の衰退は今後止まりそうにない。
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