【フォーラムアイ】北陸電力が小松駅前に環境型複合ビル建設 地域活性化の新たなランドマークに

2026年3月8日

【北陸電力】

昨年10月にJR小松駅(石川県小松市)前に開業した大型複合ビル「ウレシャス小松」。

北陸新幹線が開通し、にぎわいを見せる駅前の新たなランドマークになっている。

昨年10月、JR小松駅東口に誕生した「ウレシャス小松」。北陸電力グループを含めた企業のオフィス、ホテル、大学、多目的ホールを備えた敷地面積5280㎡、延床面積1万7400㎡、地上10階建ての大型複合ビルだ。

駅に隣接し、小松空港からもバスで15分だ

この施設の建設計画は、北陸電力グループが老朽化した事業所の建て替えを機に、北陸新幹線の小松駅開業や小松市による駅周辺の「学びのエリア構想」と連携してスタート。地域の活性化に貢献しようと2019年に動き出した。コロナ禍でいったん、計画は中断を余儀なくされたものの23年に地域から強い要望を受けて建設を決定。同年9月に着工し、能登半島地震の影響を受けながらも予定通り開業した。

施設の外観は、かつて江戸時代から明治時代にかけて大阪と北海道を日本海航路で交流を果たした「北前船」をモチーフとしている。もともと小松の地は古くから交通の要衝であり、北前船の寄港地として有名であった。全国から人・もの・文化を取り入れ、小松を発信することで発展してきた歴史がある。


うれしいを意味するビル名 工夫こらした省エネ設計

「ウレシャス」とは小松弁で「うれしい」を意味する「うれっしゃ」と、英語で愛おしいを意味する「precious(プレシャス)」を組み合わせた造語である。そんなウレシャス小松はZEBレディの環境性能評価を取得している施設である。中でも目を引くのが、1階のエントランスに設置されている「こまツリー」(左頁右下)だ。内部の循環パイプを介して地下水熱と熱交換を行うことで、夏は除湿、冬は加温の役割を担う。仕組みを視覚的に確認できる点もユニークである。

北前船を模した建物の形状も特徴的だ。斜めにせり出すルーバーで卓越風を活用して自然換気を行い、自然の光を効率的に室内に取り込む。室内では、自然光の照度検知や在室検知による照明制御を行い、夕方には色温度を下げてリラックス効果を促す設計も施している。

北陸電力小松支店総務担当の林博史部長は「ウレシャス小松ではさまざまな省エネ設計や環境配慮の工夫を施している。現在、オフィスやテナントを募集しているが、こうした設計によって働きやすさの向上につながればと考えている」と話す。テナントを探す事業者にとっても魅力的に映ることだろう。また、ウレシャス小松は単に環境性能に優れただけのビルではない。


にぎわい創出にも取り組む こまつ北電ホールの魅力

「地元の行政・経済界で構成するこまつ駅東地区複合ビル利活用協議会などと連携し、国内外からMICE(国際会議や展示会)誘致や、駅周辺の地域参加型イベントを開催するなど、にぎわい創出にも取り組んでいる」(林部長)。そんな機能を果たすのが2階フロアの「こまつ北電ホール」だ(写真㊤)。ホールは可動式の間仕切りで3分割が可能。展示会、イベント、宴会、試験会場など規模の大小問わず幅広いニーズに対応する。また近隣の公的ホールなどと連携した会議も開催可能だという。

㊤こまつ北電ホールは800人以上を収容する
㊦小松らしさを演出する北前船陶壁

最新の映像や音響、照明設備も間仕切りごとに個別に完備しており、ディスコなど各種イベントや結婚披露宴などいろいろなシーンを演出している。料理やサービスの充実化にも力を入れる。9階と10階でホテルを運営するHifリゾート社がホテルクオリティの「おもてなし」を提供する。

内装にも大きな特徴を持つ。それは地元の石材や伝統工芸を随所に使っていることだ。1階エントランスには九谷焼陶芸家の北村隆氏による北前船の陶壁(写真㊦)、2階ホールにも、「四代 徳田八十吉」氏の陶壁を展示する。さらに国会議事堂にも使われる希少な「観音下石」を含む小松産の石材や南加賀の杉材を使い、小松市の史跡「安宅関」を舞台にした歌舞伎「勧進帳」のデザインを施すなど小松らしい魅力を伝えている。

「隣の金沢とは異なる小松独自の歴史や文化を積極的に発信し、地域の新たなランドマークを目指したい。さらに小松市だけでなく、石川県や北陸全体の活性化にも貢献したい」(林部長)

北前船を模したこのウレシャス小松が新しい交流の船として大きな役割を果たしていく。

入り口に立つ「こまツリー」