【コラム/3月19日】70年代オイルショックの経験は生かされているか?

2026年3月19日

福島伸享/前衆議院議員

2月28日、イスラエルと米国が国際法に違反してイランを攻撃し、最高指導者はハメネイ師らを殺害したことを契機にホルムズ海峡が事実上の閉鎖状態となり、この原稿の執筆時点で原油価格は高騰し、世界経済の行く末は極めて不透明な状況となっている。地域大国であるイランを前にして、現時点では長期化することは必至であろう。

私たちの身の回りでも、ガソリン価格がリッター190円近くにまで上昇して、その影響をひしひしと実感している。日本が輸入する原油の9割近くがホルムズ海峡経由であり、ホルムズ海峡から日本まではタンカーで約3週間。このままいけば春の彼岸頃から日本へは原油がほとんど届かないことになる。それ以降備蓄を取り崩していかなければならないが、254日でそれも尽きる。原油は、ガソリンや灯油などのエネルギー源だけではなく、合成ゴムやプラスチックなどの素材としても使われているため、日本経済に与える影響は甚大だ。

世界の先進国の中で、ホルムズ海峡に経済の多くを頼っている国はアジアの国であるが、大国の中国やインドはイランと独自の外交関係を持っていて、ホルムズ海峡の閉鎖の影響を一定程度回避できる。米国やロシアは自ら原油を産出し、ヨーロッパ諸国はホルムズ海峡にそれほど依存していないから、原油価格上昇以外の物理的な「油断」によって破滅的な経済への影響を受けるのは、日本、韓国、台湾などであろう。冷静に振り返ってみると、空恐ろしい気持ちになる。

1970年代に2度のオイルショックに見舞われた日本は、中東の石油資源に依存する経済システムを転換し、総合的な資源エネルギー政策を立案・実行するために、1973年に資源エネルギー庁を設置。原子力開発の推進、サンシャイン計画やムーンライト計画などによる新エネ技術・省エネ技術の開発、石油備蓄の推進、資源の自主開発などを進めてきた。今回、このような事態に直面して、この半世紀の外交も含めた総合エネルギー政策の結果が問われることになろう。

現状がどうであるかは、私はあえてここでは書かない。今は米国一辺倒にならざるを得ない外交(今世紀初頭まではイランのアザデガン油田開発に関与して自立を目指していた)も含めて、今日本は他の先進国や大国と比べて一番脆弱な状況にあるとだけ、述べておこう。政治と行政の現場でエネルギー政策に取り組んできた者として、忸怩たる思いだ。