【記者通信/4月17日】豪州で深刻化する石油危機 日豪防衛相は呑気にゴルフ計画?

2026年4月17日

中東情勢が収まりを見せない中、燃料不足の懸念が絶えないオーストラリアに追い打ちをかけるような事故が起きた。豪州国内に2カ所しかない製油所の1つ、ビクトリア州のジーロング製油所で15日夜に大規模な火災が発生した。約12時間後に鎮火したものの、豪州国内の10%を供給する製油所は稼働率を低下した運転を余儀なくされており、燃料供給への不安は一層高まった。

こうした中、小泉進次郎防衛相が豪州のマールズ副首相兼国防相との会談のため、18日に豪州入りする。安全保障問題で日豪両国の結束を確認するのが目的だが、中東情勢についても意見を交わすものとみられる。だが2人は事もあろうに18日午後、会談を行うメルボルン郊外でゴルフに興じる予定を当初組んでいた。世論の反発を恐れたか、ゴルフの予定はキャンセルされたが、両国が燃料問題で緊迫している中、閣僚の緊張感のなさを露呈した格好だ。

豪州で製油所火災 「国内の燃料供給に影響」

同製油所の火災はガソリン製造設備で発生した。被害はガソリン生産ラインが中心だという。大都市メルボルンがあるビクトリア州には約50%供給しており、ボーエン気候変動・エネルギー相は16日、「国内の燃料供給に影響する」と述べた。

同製油所は火災発生後からガソリン生産は約4割減、ディーゼルおよび航空燃料は約2割減と稼働率を下げて操業している。同製油所はオーストラリア国防軍(ADF)向けに航空、海上、陸上用燃料も供給しており、国防への影響にも懸念が出ている。

運営会社ビバ・エナジーのスコット・ワイアット最高経営責任者(CEO)は複数のメディアに対し、「製油所の設備を安全に復旧させるためには作業が残っている。フル稼働に戻すのはまだ時間がかかる」と語った。

一方、アルバニージー首相は17日、火災の影響について燃料制限措置の引き上げにはつながらないとの認識を示した。

豪州では燃料が不足した場合に備え、4段階の制限措置を設けている。現在は2段階目の状態で自動車運転者らに必要な分だけ購入するように呼びかけている程度だ。アルバニージー首相は「今回の火災によって何らかの変更は生じない」と明言した。

しかしあるエネルギー企業の関係者は「供給能力の約10%が影響を受けることで、燃料不足の懸念が一層高まる。政府は高値での追加的な輸入をする可能性もあり、いったん下がった燃料価格が再び高騰することになるだろう。市場経済の論理で製油所を次々と閉鎖してきたことがここに来て大きな足かせになっている」と指摘する。

緊張感欠く2閣僚 ゴルフは急遽取りやめに

こうした状況下で、小泉防衛相とマールズ国防相が吞気にゴルフの計画を立てていたことには驚きを隠せない。

豪州では国民に燃料の買い控えを要請しているにもかかわらず、閣僚の緊張感のなさに国民の中には「crazy!(どうかしている)」とあきれる声も出ている。

日本でもナフサ不足が顕在化しており、液化天然ガス(LNG)燃料の逼迫も指摘されている。ガソリンには多額の補助金が投じられており、訪問先とはいえ閣僚としての緊張感が欠如していると批判されても反論できないだろう。折しも自民党大会で自衛官が国歌斉唱した問題が取り沙汰されている中だけに、「内閣の一員として当事者意識がなさすぎる」(政府関係者)との声が出るのも納得だ。

ゴルフの予定はこうした悪影響を危惧したのか、急遽取りやめになったが、あたかもバカンス気分で会談するという印象は拭い切れないだろう。

イラン情勢が先行き不透明で燃料問題は長期化の様相を見せている。燃料問題がさらに深刻化した時、戦火が激しくなった際にこのような軽佻浮薄な閣僚に国の安全を任せていいものか、甚だ疑問だ。