【フォーラムアイ】タツノが花王と連携 油汚染土壌の浄化技術を開発
【タツノ】
タツノは花王と連携し、サービスステーション跡地などの油汚染土壌を浄化する技術を開発した。
土壌汚染の解消により、土地流通と経済活性化を促すことで社会に貢献する考えだ。
ガソリン計量機で国内トップシェアを誇り、サービスステーション(SS)の設計・施工から保守・環境対策までを一貫して手掛けるタツノは、花王と連携し、油汚染土壌の洗浄技術「ソイルランドリー工法」を開発した。タツノが展開してきた土壌浄化サービスに花王の高度な界面制御技術を融合。従来の工法に比べ、低コスト・低CO2・短工期を実現する革新的な新技術だ。汚染などが原因で再開発が進まずに放置される土地「ブラウンフィールド」の増加が社会問題として懸念される中、迅速かつ簡便な土壌洗浄手法として、環境ソリューション領域に新たな選択肢をもたらした。

洗濯機で洗う原理を応用 低コストかつ低環境負荷
長年営業を続けてきたSSや油取扱施設では、地下タンクや配管からの微量な油漏れによる土壌・地下水汚染が懸念される。廃業や売却時に経営者が多額の浄化費用を負担せざるを得ない構造があり、土壌汚染対策は経営上の大きな課題となっている。
タツノは土壌分析施設「タツノラボ」を擁し、土壌の調査から分析、浄化対策までをワンストップで提供している。今回新たに開発した「ソイルランドリー工法」は、「ソイル(soil=土壌)」「ランドリー(laundry)=洗濯」という言葉を組み合わせ、衣類を洗濯機で洗う原理を応用している。
まず、汚染を含んだ土壌に水を張り、同社と花王が共同開発した特殊な洗浄剤を投入する。そして、重機で汚染土を攪拌しながら「洗う」。すると、洗剤に含まれる界面活性剤の働きにより、土の表面に付着していた油が引き剥がされ、水中に浮き上がる。浮き上がった上層の油を回収した後、水ですすぎを行う。このように、汚染していた土壌を清浄土化させ、使用した水は処理を行い再利用する仕組みだ。
土を入れ替える「土壌地入替方式(掘削除去)」や微生物の分解力を利用する「バイオレメディエーション(バイオ方式)」といった従来型と比較すると、ソイルランドリー工法には三つのメリットがある。
第一に、汚染土壌をトラックなどで場外に運搬したり、処分したりする費用が不要なため、低コストであること。
第二に、汚染土を運搬する車が不要なため、CO2排出量が少なく環境に優しいこと。
第三に、土質にもよるが、微生物による自然分解に数カ月を要するバイオ方式に対し、新工法は最短5日と極めて短工期である点だ。土壌条件や汚染状況などが適合すれば、1日目に準備、2、3日目に洗浄、4日目にすすぎ、5日目に油および洗浄水除去と土の戻し入れという明確なプロセスが確立できる。


地下水を含む砂地が適地 SSを負の遺産にしない
顧客へのアプローチを開始したところ、反応は上々だ。環境ソリューション部の木村武部長は「生物分解など目に見えないプロセスとは異なり、洗浄の過程と成果が視覚的に理解しやすい点が大きな強み」と手応えを語る。
販売ターゲットの一つは油槽所だ。製油所から油を一時的に貯蔵しタンクローリーや船舶に振り分ける中継拠点を狙う理由は、その立地にある。多くの油槽所は海沿いにあり、砂で浚渫された埋立地が多い。この、砂地で地下水を豊富に含むという土質こそ、ソイルランドリー工法が最も強みを発揮できる環境だ。「油槽所は人口減少や脱炭素化の流れにより、現在未使用の場所も少なくないため、需要は多いのではないか」と同部木村清史次長は期待を寄せる。
タツノは創業以来、SSの設計・施工事業を主軸とし、数多くの実績がある。計量機の製造・販売だけでなく、施設全体の環境保全対策まで幅広く手がけている同社にとって、SSを負の遺産にしないことは使命と言える。地方では特に、土壌汚染対策費用が土地価格を上回るケースが多く、今後の人口減少に伴いブラウンフィールドが増加する懸念がある。
木村氏は「汚染土壌の浄化・活用を通じて土地の流動化を促し、新たなビジネス創出などで経済を活性化させ、社会に貢献していきたい。一度ブラウンフィールド化すれば子孫の代まで負担がのしかかる。SSの経営者たちはタツノを長年支えてくれた大切な顧客であり、この画期的な新工法を活用して恩返しをしたい」と語る。
現在、ソイルランドリー工法に適する条件として土質や油種に制限があるが、今後はより広範な状況にも対応できるように、現在もタツノラボで研究開発が続いている。
脱炭素社会への移行が急務になる中、企業を選別・評価する基準はより環境価値へとシフトしている。今回の取り組みはこうした潮流を的確に捉えたものであり、今後の業界において新たなスタンダードになるだろう。


