【フォーラムアイ】北陸電力が能登半島地震で得た知見や対策「虎の巻」として公開
【北陸電力グループ】
未曾有の被害をもたらし復旧までに多くの時間を要した能登半島地震。
北陸電力はこの取り組みで得た知見や対策を整理した「虎の巻」を公開した。
2024年元日、真冬の北陸を襲った「能登半島地震」。全社一丸となって早期復旧に取り組んだ北陸電力グループは、これまで2年近くの時間をかけ地震被害への対応内容を整理・検証してきた。同時に、他の民間企業や行政機関とあらかじめ取り決めておくべき内容を検討し、協定を締結するなどの取り組みも進めてきた。その過程で認識した課題や得られた知見、対策を自社グループのみにとどめるのではなく、社会全体の「財」として共有していこうとの趣旨の下、6月に同社ウェブサイト上で公表した。

甚大だった震度7の被害 停電復旧までに約1カ月
半島の先端に位置する珠洲市を震央とするマグニチュード7・6、最大震度7の大規模地震により、管内では最大約4万戸で停電が発生した。特に被害の大きかった奥能登の珠洲・輪島市、能登・穴水町―の計4市町では、全戸数の87%が電気のない状態を余儀なくされた。
「電力会社は過去、何度も大きな地震を経験し早期復旧に努めてきた。数日から1週間程度と比較的短い時間で復旧してきたが、能登半島地震は全く様相が異なり長期戦だった」。総務・コンプライアンス推進部の才川健一副部長は、こう振り返る。
1日最大で1400人規模の体制で復旧作業に取り組み、安全確保などの観点から電気の利用ができない需要家を除き、発災から停電復旧まで約1カ月を要した。それほど大きな被害だったことの証左であるが復旧を進めていく上で、主に三つの課題に直面したという。
一点目が法令などの規制上の問題、二点目が情報収集および社内共有の問題、三点目が食料・資材・人員などの確保の問題だ。これらの課題に対し、同社がどのように今後の対策に結び付けたのか解説しよう。
まず規制上の問題では、発災後、半島全域の上空でドローン飛行の禁止設定がなされ電力会社はドローンを飛ばせなくなった。電力設備の被害状況の早期把握のためドローン活用は欠かせないが、国から飛行許可を得るまでに約2週間を要した。
あまり知られていないのが、復旧作業に当たる人員の仮設トイレに関する行政対応の問題だ。法令上、発生エリア以外へのし尿の持ち出しは禁止されている。回収依頼を試みたものの、被災者対応を優先する観点から行政側は回答を一時保留。これが、長期戦における盲点であったことを浮き彫りにした。
ドローンに関しては、大規模災害時には経済産業省への許可申請のみで運用が可能になるなど、その後、国の運用ルールが改定された。仮設トイレのし尿処理についても、電力の早期復旧の観点から国や県を交え協議した結果、課題を解決することができた。強く認識されたのは、早期復旧に当たっては、公益事業を担う企業と国や自治体などの行政とが意識を共有する必要性だ。
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