【特集2 ライフライン強靭化】映像・AIで情報を即時共有 事故防止と対応力を強化する西部ガス

2026年9月3日

西部ガスは2024年1月、ガス漏れなどの緊急時に現場の状況を迅速かつ正確に把握できる「LIVE0919(ライブクイック)」を導入した。同システムは、日本テレネットの「LINX Chat(リンクスチャット)」を基盤としており、スマートフォンの標準ブラウザからリアルタイムで保安指令室とビデオ通話でつなぐ仕組みだ。名称は、同社のガス漏れ専用ホットラインの下4桁「0919」に由来する。
ライブクイックの利用実績は25年度で284件に上る。
具体的な活用事例として、「ガスが出ない」との通報に対し、映像を確認した結果、外壁塗装工事の養生により給湯器の給排気口がふさがれていた状況を把握できた。不完全燃焼による一酸化炭素中毒の原因を迅速に特定し、事故を未然に防いだケースもある。また大雨後の対応では、ガスメーターの映像からガス圧力の低下を確認し、ガス管内への浸水の可能性を早期に予測。供給支障の原因特定と初動対応を迅速に行い、影響範囲の最小化につなげることができた。このように、ライブクイックは現場状況の正確な把握による対応の迅速化、事故防止、出動の適正化に大きく貢献している。

ライブクイック実施中の保安指令室

DX活用で情報を一元化 ベテランの知識継承も推進

同社では保安や業務の高度化や効率化に向けたDX、およびAI活用も積極的に進めている。その一つが、GIS(地理情報システム)を用いた災害時システムの構築だ。これが実現すれば、大雨などで大規模な供給支障が起きた際、導管の被害や調査の進捗、要員の配置を一元的に地図上で把握でき、より効率的な指揮・指令が可能になる。 さらに、AIを活用したナレッジマネジメントシステムの導入も検討中だ。ベテラン社員の知識やノウハウを可視化して共有することで、対応品質の向上や判断の均質化、事業継続性の強化を目指す。
加速する技術革新を味方に付け、より高次元なサービス提供を目指す同社の取り組みが今後も注目される。