【特集2 ライフライン強靭化】ガスと電力を一体で提案 老健施設の安定運用を支えるI・T・O

2026年9月3日

I・T・Oは、災害時の経験を生かした防災提案を進めている。非常時の電力確保と空調維持を実現する体制を構築した。

LPガスを備蓄するバルク貯槽と供給設備を一体化した「災害対応型LPガスバルク供給システム(災害バルク)」。非常時でもエネルギー供給を維持できる設備として、病院や福祉施設などへの設置が進んでいる。
その一つが、横浜市の介護老人保健施設「千の星・よこはま」だ。同施設は2025年、災害バルクとガス発電機を導入した。容量2.9tのバルク貯槽を備え、最低72時間のLPガス供給が可能になっている。また、大気熱だけを利用してLPガスを気化させる空温式ベーパーライザーを採用することで、供給の安定性と経済性を兼ね備えたシステムを整備した。
併せて、空調システムもガス空調(GHP)に更新した。平時から稼働させることで、電力消費を抑えながら快適な室内環境を維持できるほか、災害時にも継続して利用できる。介護老健施設などでは、災害時の電力確保や空調機能の維持が重要な課題となる。そうした中、同施設では入所者が安心して過ごせる防災・事業継続体制が整えられた。

設置した災害バルクは最低72時間の供給が可能だ

福祉施設や病院への導入促進 東日本大震災の教訓生かす

今回のシステム導入は、I・T・Oがバルク貯槽をはじめ、ガス発電機やGHPの提案から設計・施工までを一括して担うことで実現した。また、病院や福祉施設などへのLPガス災害バルク導入を支援する、経済産業省の補助金も活用している。
災害バルクは、同社が注力する商材の一つ。その原点となったのが、東日本大震災だ。震災当時、同社は仙台営業所に設置していた災害バルクを活用して炊き出しを行い、地域住民に温かい食事を提供した。だが、その後に発生した停電によって、エネルギー供給にはガスだけではなく電力の確保も不可欠であることを痛感することになる。この経験が、ガス発電機を組み合わせたシステムの開発・提案につながった。
特に、介護・福祉施設や病院、避難所など、人命を守る役割を担う施設では、災害時にもエネルギーを途切れさせないことが不可欠となる。同社は今後も、こうした施設への提案を積極的に進め、安心・安全な地域づくりに貢献していく構えだ。