【リレーコラム】豊田康平/国際協力銀行資源ファイナンス部門次世代エネルギー戦略室長
8月5日、群馬県伊勢崎市で国内最高気温を更新する41・8度が観測されたその日に、甲子園では史上初の夕方に開会式が行われた。試合を午前と夕方に分けて行う「朝夕2部制」が6日目まで採用されるなどさまざまな暑さ対策が導入され、連日熱闘が繰り広げられた。
筆者が3年前まで駐在していたUAE(アラブ首長国連邦)のドバイでは夏の間、日中は40度を超えて外出もままならず、活動はもっぱら夕方以降となるが、巨大な国際会議場を夏季限定で改装した施設では、日中でもサッカーやバスケ、テニスなどさまざまなスポーツをエアコンの効いた快適な環境で楽しむことができた。高校野球もドーム球場で開催すれば、暑さの問題は解決するだろう。
しかしながら多くの球児が目指す夢の舞台は「甲子園」なのだ。暑さを乗り越えて甲子園を目指す全ての高校球児の努力と情熱こそが、人を成長させ、見る人を感動させる。成長した高校球児の明るい未来を願うとともに、これ以上暑くならないことを祈るばかりだ。
不確実性に立ち向かう胆力問われる
筆者は友人の大学教授の紹介で、国内の大学で理系学生200人近くに向けて、本業である水素を題材に、エネルギーの安定供給と低価格、環境への配慮を同時に達成するのが難しい「エネルギーのトリレンマ」について考えてもらう講義を2年続けて担当した。講義中に学生にアンケートを取ると、ほぼ全員が「気候変動問題に取り組む必要がある」とし、8割近くの学生が「自らも貢献したい」と答えた。
また、多くが「政府資金を投入してでも再生可能エネルギー・原子力発電・次世代エネルギーの導入を進めるべき」と考え、国費の投入に反対する声は1割程度であった。当然のことながら気候変動問題は若者にとっても重要な問題なのだ。同時に「パリ協定の長期目標(2050年1・5℃)を達成できると思う」と答えた学生は1割にも満たなかった。現実もよく分かっている。過度な楽観論は必要ない。困難な目標であってもそれに向かって歩み続けることが求められている。
エネルギーを取り巻く環境は不確実性が一層高まり、目標の達成はさらに困難になりつつある。秋になり少し暑さが緩んでも、エネルギーに携わるわれわれが立ち止まるわけにはいかない。不確実性の中でも事業を進める胆力が求められている。政府による継続的な支援も不可欠だ。国際協力銀行も政策金融機関として、不確実性を乗り越えて前に進む事業をファイナンス面からしっかりと支えたい。
50年においても甲子園の熱闘が続いていますように。

※次回は、JERAの大滝雅人さんです。
