元日の祝賀ムードを一変させた能登半島地震は、多くの人命や家屋などへの被害だけでなく、道路や水道、そしてエネルギーと、あらゆるインフラに打撃を与えた。エネルギー関連ではLPガスやSS(サービスステーション)などでも被害が出たが、特に甚大なのが電力設備だ。
北陸電力の松田光司社長は発災後、社員に対するメッセージを出し、「グループの総力を結集し、『こころをひとつに 能登』をわれわれのスローガンとし、お互いに協力し合い、この難局に対処していきたい」などと呼びかけた。関係者一丸となり、未曽有の災害に対し懸命の対応を続けている。
最大震度7の本震発生直後、石川県珠洲市、輪島市、能登町、穴水町、志賀町、七尾市などで最大約4万戸の停電が発生したが、立ち入り困難などの一部地区を除き、1月中には概ね復旧する見通しだ(1月23日現在)。今回は高圧設備への被害も出てはいるが、主な被害は配電設備だ。電柱の傾斜が約1750本、折損が約460本、断線・混線を約1100カ所で確認。北陸電や協力会社に加え、他電力からの応援も含め総勢約1000人規模、電源車約100台などの態勢で日夜対応に当たっている。
しかし、余震の多さや降雪の影響、また津波被害が深刻な地域がある。何よりも、道路の警戒がなかなか解除されず一部立ち入り困難な地域が長く残ったことが、復旧のスピードアップを妨げた。半島の特徴である、一方向からしか出入りできない交通網が機能しないという課題が、エネルギーに限らず自衛隊による災害救助などあらゆる活動に波及した。


