【今そこにある危機】江田健二/RAUL社長
2030年以降、5億枚もの太陽光パネルが廃棄される見込みだ。
廃棄処理を巡る技術革新やルールづくりが求められる。
再生可能エネルギーの普及とともに、太陽光パネルは日本全国に普及した。昨今は災害などでの廃棄問題や、将来の大量廃棄についての懸念が報道されている。太陽光パネルを巡っては今後10年、リサイクル、リユース、適切な廃棄が重要なテーマとなるだろう。これは「課題」にも見えるが、裏を返せば大きなビジネスチャンスにもなり得るのだ。
廃棄処理市場が未成熟 初期投資などコストかさむ
太陽光パネルの大量廃棄問題の中心的な課題は、適切な処理方法やルールが確立されていないことだ。
日本では、2009年のFIT(固定価格買い取り制度)導入以降、太陽光発電が急速に拡大した。これにより、環境に配慮したエネルギー供給が促進されたのは確かだ。しかし、一般的に太陽光パネルの寿命は20〜25年で、このため30年以降には多くのパネルが廃棄されるという予測がある。
太陽光パネルにはガラスやアルミニウムなど再利用が可能な材料が多く含まれている。これらの資源は、適切なリサイクルが行われることで新たな製品の生産に役立てられ、資源の有効利用が可能となる。一方で、シリコンやカドミウムのような有害物質も含まれており、適切な処理が求められる。
国際エネルギー機関(IEA)によると、40年までに太陽光パネルの廃棄量は日本で約800万t、世界で約7800万tに達すると予測されている。太陽光パネル1枚の重さをおよそ15㎏と仮定すると、日本だけでも約5億枚の太陽光パネルが廃棄される計算になる。
読者は「30年まではまだ時間がある」と思うかもしれない。しかし、廃棄問題は現在も発生している。例えば、豪雨や台風などの自然災害により、太陽光発電設備が被災し、数千枚もの太陽光パネルが廃棄される事例が繰り返し起きているのは周知の通りだ。

災害での廃棄問題だけではない。古い太陽光パネルの故障も増えている。製品寿命を迎え、廃棄が必要な太陽光パネルが増加。これらの現状を踏まえると、太陽光パネルの廃棄処理は現時点から取り組まなければいけない問題と言える。
廃棄を推進するために乗り越えるべき主な課題としては、故障したパネルの処理方法が明確に決められていないこと、リサイクルを含めた廃棄処理ができる業者が少ないことなどが挙げられる。
適切な業者が少ない原因は、太陽光パネル廃棄処理が市場として未成熟であり、廃棄処理がビジネスとして成り立っていないからだ。太陽光パネルの廃棄設備を建設するには初期投資が必要であり、運用には専門知識や技術者が必要になる。そういったコストが一つのハードルになっている。
太陽光パネル廃棄処理には次のような対策が求められる。第一に、廃棄物の適切な分別とリサイクル技術の発展だ。専門的な廃棄処理業者や仕組みの整備が不可欠となる。第二に、施設オーナーや関係者に適切な廃棄処理の重要性を理解してもらうための啓発活動や教育だ。さらには不法廃棄を防ぐために、廃棄処理の責任やペナルティを明確化するといった対策も重要だろう。









