【業界紙の目】佐藤大蔵/セメント新聞社 編集部記者
セメント産業は社会インフラに欠かせない基礎素材を製造する一方、製造業の中でもCO2多排出な産業だ。
そのジレンマを抱えており、カーボンニュートラルの実現に向けて総力戦で取り組みを進めている。
製造業は日本のCO2排出量の35%を占める産業とされている。このうち、セメントなど窯業・土石製品製造業が17.4%である。セメントの製造過程においては、必然的に多量のCO2が排出されており、その対策に向けて各社が積極的に取り組んでいる。
2023年4月の改正省エネ法においては、非化石エネルギーの利用拡大が示された。国は主要5業種の非化石エネルギー転換に向けて、30年度の定量目標の目安を示し、各事業者は目安を踏まえた目標を設定し進捗を報告することとされている。5業種の一つであるセメント製造業は、30年度におけるキルン(焼成炉)などの焼成工程における燃料の非化石比率を28%とすることとされた。
セメントメーカーの業界団体であるセメント協会は、22年に「カーボンニュートラルを目指すセメント産業の長期ビジョン」を策定している。これは、20年策定の「脱炭素社会を目指すセメント産業の長期ビジョン」を改定したもので、国による50年カーボンニュートラルに向けた方向性を念頭に置いている。
同ビジョンでは目指すべき対策の方向と克服すべき課題として、クリンカ/セメント比の低減や投入原料の低炭素化、鉱化剤使用などによる焼成温度低減、使用エネルギーの低炭素化、低炭素型新材料の開発などを示している。またCO2回収・利用・貯留(CCUS)や、セメント水和物のCO2の固定であるセメントカーボネーションに取り組むこと、さらにコンクリート舗装の推進による重量車の燃費向上に伴うCO2低減を図ることを挙げている。
セメント産業の50年カーボンニュートラルの絵姿として、セメント産業からの排出削減の割合では、クリンカ/セメント比低減による排出削減の割合を3%とすること。そして、徹底した省エネやバイオマス、水素、アンモニアなどの混焼によるエネルギー転換などによる排出削減の割合を26%とすることを示している。















