A 九電以外の3社は処分発表当日の会見で今後の対応方針に言及している。中部電が公取委の記者会見の2時間後に、取り消し訴訟提起を表明したことには驚いた。また、中国電は会長、社長の引責辞任を表明した。大阪での記者会見と比較して、ある記者は「瀧本夏彦社長がカルテルの初期段階に関与したと、会見で自らの非を正直に認めたことに驚いた」と語っていた。
―現時点では、中部電と中国電が取り消し訴訟の意向を示している。ただ、その方針には温度差がある。
B 今後の取り消し訴訟のやり方には違いが出てくる。中部電は独占禁止法に抵触していないとして、ゼロか100かの争いに挑む。他方、中国電は約707億円もの課徴金の額を巡る条件闘争を目指しているようだ。なお、4月3日付の電気新聞記事が有識者のコメントとして、地裁判決までが3年間、最高裁までいくと4~5年程度かかると紹介している。特に中部電が最後まで争う姿勢を崩さなければ、結論が出る前にトップの任期が来てしまうことになる。
公取委のカルテル処分に対する取消訴訟の行方はどうなるのか
電力たたきに燃える公取委 課徴金命令の3社それぞれの道は
C 中部電側の弁護士は調査段階から事あるごとに公取委に対して意見書を提出しており、公取委は中部電の動きを織り込み済みだ。処分の発表がのびのびになったのも裁判で負けないための証拠固めに時間をかけたから。そして訴訟では、どんなやり取りで合意したと判断されるかが争点になる。とにかく公取委は「電力業界はカルテルの塊」で自由競争に消極的な古い体質だとみなしており、できるだけ強く世論に訴えかける形を意識している。
A 公取委の事前レクでは、メディアの理解を高めてもらうためか、かなり丁寧に答えていたようだ。
B 一方、中国電の経営はかなり厳しい状況に追い込まれている。3メガバンクの支店長が瀧本社長への面会を求め、経営計画を提出するよう迫ったと聞く。中国電は訴訟に敗れれば課徴金の額はさらに上乗せになるが、自信があるのか、それとも破れかぶれなのか。事業者が公取委との訴訟で勝つのは10回に1回あるかないからしいね。