◆福島県内除去土壌等の中間貯蔵
政府は5月27日、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う除染作業により福島県内に残る除染土の復興再生利用に関する全閣僚会議を開き、再生利用を加速させる基本方針を決定した。会議は正式には「福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等推進会議」といい、同日、推進会議として「福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等の推進に関する基本方針」(以下、「再生利用基本方針」という)を決定した。福島第一原発事故後、除染作業を行う必要が生じ、政府内では、どの省庁が所管するか協議され、環境省が担当することになった。同省は、政府全額出資の特殊会社「中間貯蔵・環境安全事業株式会社」(JESCO)を活用し、福島県内の除染、仮置き場での保管、中間貯蔵、県外での最終処分というプロセスの進捗に取り組んでいる。ここで言う“中間貯蔵”とは、「福島県内の除染等の措置に伴い生じた除去土壌や廃棄物」(上記「再生利用基本方針」、以下「除去土壌等」という)について、「最終処分が行われるまでの間、福島県内(環境省令で定める区域に限る)において、除去土壌等処理基準に従って行われる保管又は処分」をいう。(中間貯蔵・環境安全事業株式会社法第二条第四項)
参考=中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)「中間貯蔵・環境安全事業株式会社法(2003年法律第44号 )」に基づき設立された政府全額出資の特殊会社。国などの委託を受けて行う、福島県内での除染に伴い発生した除去土壌や廃棄物の中間貯蔵事業および旧日本環境安全事業株式会社の実施していたPCB廃棄物処理事業を行う(同社ホームページ)。 歴代事務次官経験者が社長を務め、これらの重要業務を推進している。
そして、同法第三条第二項において、「国は、……中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずる」と「国の責務」が明記されている。「中間貯蔵施設は、福島県内の除染に伴い発生した土壌や廃棄物を最終処分するまでの間、安全に集中的に貯蔵する施設として、東京電力福島第一原子力発電所を取り囲む形で大熊町・双葉町に整備すること」とされた。(環境省「中間貯蔵施設情報サイト」)「東京電力福島第一原子力発電所事故の環境汚染により福島の住民が既に過重な負担を負っている」中にあって、「福島県内で発生した除去土壌等については、」 (環境省「復興再生利用に係るガイドライン」25年3月)「福島全体の復興のため、地元の苦渋の判断により中間貯蔵施設が受け入れられたという経緯も踏まえ、国として責任を持って(中間貯蔵開始後30年以内に、福島県外での最終処分完了に)取り組んでいく」(上記「再生利用基本方針」25年5月)ことになる。環境省は大熊町・双葉町で約1600㏊という広大な区域を対象に用地取得に取り組んだ。同区域において、仮置き場などから搬入された土壌や廃棄物の重量や放射線量を測定、分別して、土壌貯蔵、草木などの可燃物の減容化(焼却)、放射性セシウム濃度が1kg当たり10万ベクレルを超える焼却灰などの廃棄物貯蔵などを行っている。

◆除去土壌の復興再生利用
「福島県内で生じた除去土壌等の量は膨大であり、県外最終処分の実現に当たっては、最終処分量を低減するため、除去土壌などの減容・復興再生利用を進めることが重要である。」(上記「再生利用基本方針」25年5月)
国内外の知見から、「追加被曝線量が年間1ミリシーベルト以下になると評価された放射能濃度1kg当たり8000ベクレル以下の除去土壌については、適切な管理の下で再生利用を行うことの検討」がされてきた。「放射性セシウムの半減期を考慮すると、25年3月時点で中間貯蔵施設に搬入された除去土壌の約4分の3が同8000ベクレル以下、約4分の1が同8000ベクレル超であると推計」されている。(環境省 25年3月「県外最終処分に向けたこれまでの取組の成果と2025年度以降の進め方(中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略 成果取りまとめ)」、以下「2025年度以降の進め方」という)しかし、最終処分の手前のプロセスである復興再生利用そのものも難題となっているのが現状である。このため、国民の理解の下、“政府一体”となって復興再生利用などを進めるとされている。参考=政府一体となっての再生利用先の創出(24年3月19日閣議決定)〈『第2期復興・創生期間』以降における東日本大震災からの復興の基本方針の変更について〉
1.復興の基本姿勢および各分野における取組
(2)原子力災害被災地域
②環境再生に向けた取組
……最終処分量を低減するため、国民の理解の下、政府一体となって除去土壌等の減容・再生利用等を進めることが重要であり、……取り組みの安全性などについて、IAEAによるレビューなどの状況も含め、積極的かつ分かりやすい情報発信を行うなど、全国に向けた理解醸成活動を推進し、国民の理解・信頼の醸成につなげていく。再生利用先の創出などについては、関係省庁などの連携強化などにより、政府一体となった体制整備に向けた取り組みを進め、地元の了解を得ながら具体化を推進する。……
⇔〈これを踏まえ、福島県内の除去土壌の再生利用等による最終処分量の低減方策、風評影響対策などの施策について、政府一体となって推進するため、24年12月20日に(上述の)全閣僚による「福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等推進会議」が設置された。〉(上記「再生利用基本方針」25年5月)
~25年度以降の進め方~
〈福島の復興に向けた重要課題の一つである、福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けて、今後20年間の道筋を具体化していくことが必要である。その上で、本基本方針を着実に実行するため、本年夏ごろに、政府一丸となって当面5年程度で主として取り組む、復興再生利用の推進や理解醸成・リスクコミュニケーションを中心としたロードマップを取りまとめる〉とされている。(上記「再生利用基本方針」25年5月)環境省は3月、上記「2025年度以降の進め方」において、本年度以降に取り組む重要項目として「復興再生利用の推進」、「最終処分の方向性の検討」とともに「全国民的な理解の醸成」を掲げている。

















