資源エネルギー庁の有識者会合で検討が進む、電力小売り事業者への供給力(kW時)確保義務を巡り賛否さまざまな声が上がっている。制度案は、実需給年度の3年前に需要想定の5割、1年前に7割の供給力を確保させるというもの。調達手段の一つとして、新たに中長期市場の整備も進められている。

背景には、①中長期の取引量を増やし、電気料金の変動を抑制すること、②発電事業者の燃料調達や電源投資の予見性の向上させること――といった狙いがあるが、新たな負担を課される小売り事業者を中心に否定的な意見が噴出している。
特に②については、制度の実効性を疑問視する向きが多い。中長期市場の整備や相対契約の活性化に向けた動きが進んでも、燃料調達は10~20年単位の長期契約であるため、これらのタイムスパンの乖離が解消されないためだ。また、鉄道系新電力関係者は、「現行の制度において、需給はバランシンググループ内で調整される。その際には燃料費のかからない太陽光や風力などが優先されるため、仮に事業者が確保義務を履行しても、火力電源の維持や燃料調達に必要な資金が十分に確保されない」と指摘する。
業務負担の拡大への懸念も聞こえる。新電力関係者は、「低圧契約の多くは1年単位で、3〜5年先の需要を見通すのは難しい。あらかじめ想定需要を出しても、実績と大幅に乖離する可能性がある上に、その作成には実務上の負担も大きい」と憂慮する。
その一方で、「数年契約が制度によって習慣化されれば、発電側の収益は一定程度確保される。大局的に見れば意義のある取り組みなのではないか」(市場関係者)といった見方もある。この市場関係者は、義務化されれば売り手側が大きな交渉力を持つことになるため、「小売り・発電事業者の間のパワーバランスを調整する必要がある」と運用上の課題を指摘しながらも、「中期市場の新設を契機に、ベースロード市場や先物市場といった既存制度の機能を整理・統合してもらいたい」と期待を寄せる。
小規模事業者への配慮 一時的な経過措置は必要か
会合では、小規模事業者への配慮も焦点となっている。エネ庁は8月8日の会合で、制度導入から一定期間については、確保量を3年前で2.5割、1年前に5割とする負担軽減案を示した。これについて、「制度導入を円滑にするためにも一時的な緩和措置は必要だが、最終的には全ての事業者に一律の条件を課すべきだ」(前出の市場関係者)、「販売電力量に応じた確保義務が課されるべきで、対応できない事業者は淘汰されても仕方がないのでは」(前出の鉄道系新電力関係者)と、事業者間の公平性を重視する意見が多い。前出の新電力関係者も、「確保が難しい小規模事業者を緩和措置などで保護しても社会的な便益は乏しい」としつつ、「市場が機能しない段階で義務だけ課しても意味がない。その意味でも市場の有効性が確認されるまでの間の経過措置は不可欠だ」との見解を示す。
エネ庁は30年度の供給計画の策定に合わせて新制度を導入する方針で、その実現に向け、今秋に事業者などへのヒアリングを終え、供給計画の様式改正案を確定させる見通しだ。実効性の担保や事業者負担への配慮など、一層丁寧な議論が求められる。













