【特集2まとめ】家庭用HPの脱炭素力 太陽光と組み合わせ徹底活用へ


家庭の省エネ化を後押しする手段として期待を集めるヒートポンプ(HP)。

中でも太陽光発電を組み合わる電気式給湯機「エコキュート」が快走中で、

太陽光の発電量が多い時間帯にお湯を沸かす機能などへの注目度が増している。

一層の普及に向けては、需要家が導入しやすい環境づくりや認知度向上が不可欠だ。

カーボンニュートラル達成に向けた「現実解」としてどこまで市場に浸透するか。

脱炭素化を促す切り札として有望視されているHPが広がる可能性を探った。

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【大阪ガス、ヤンマー/既設コージェネに水素混焼率30%の運転実証に成功】

大阪ガスとDaigasエナジーは、ヤンマーエネルギーシステム製のガスエンジンコージェネ(400kW)を使い、都市ガスに水素を30%混焼した実証運転に成功した。Daigasエナジーが構築した水素供給設備によって流量や圧力調整した水素を使用。コージェネ設備については既存機をそのまま活用した。実証では、コージェネ設備に対して大幅な設備改造をしなくても、都市ガス専焼の運転と同等の定格出力と発電効率を確認することができた。今回の試験結果を踏まえ、Daigasエナジーでは水素を燃料としたコージェネシステムの更なる技術向上に取り組む構えだ。

【東京都、東芝エネルギーシステムズ/次世代型ソーラーセルの室内での有効性を検証】

東京都港湾局と東芝エネルギーシステムズは8月から、都内の臨海副都心で次世代型ソーラーセルの有効性を共同で検証する。検証ではオフィスビル内などの室内環境における活用を見据え、発電能力の継続性や耐久性を確認していく。検証に採用するセルは、東芝グループが開発したペロブスカイトと呼ばれる結晶構造を用いたものだ。16.6%に達する高い発電効率が特徴で、フィルム型モジュールの次世代型ソーラーセルである。同じタイプの次世代型セルと比べても世界最高水準の発電効率となる。両者はこの検証を通じて、脱炭素社会の実現を目指していく。

【コロナ/スマートリモコンと連携し床暖房の遠隔操作を実現】

コロナはスマートリモコン対応のヒートポンプ式温水システム「エコ暖フロア」の3機種と耐塩害仕様の2機種を発売すると発表した。スマートリモコン「Nature Remo」とスマホのアプリを連携させて、床暖房の遠隔操作を実現した。また、床暖房と既設のルームエアコンの操作を自動で連携するオートメーション設定により、無駄な運転を抑えた省エネ運転を行う。同社の試算によると、同設定で暖房効率は上がり、電気代も安くなる。
床暖房の温度設定は、室温運転のほか、運転時の室温、外気温、時刻から最適な温水温度を設定する自動運転が追加となり、使用者の使い勝手に応じて選択できる。

【京セラコミュニケーションシステム/初期費用ゼロで営農型太陽光発電システムを提供】

京セラコミュニケーションシステムは営農事業者向けに、太陽光発電設備を搭載した農業用ハウスを初期費用ゼロで提供する事業を開始した。同社が建設費用を負担し、発電した電気を企業などに販売する。営農者からは月額利用料を受け取る。まず岡山県玉野市で7月下旬に第1号の施設を稼働。森林伐採などを伴わない太陽光発電施設として普及を目指す。

【北ガスジェネックス/北ガスグループでLPガスによる初のZEB認証を実現】

北ガスジェネックスはこのほど、LPガスを供給するJAいわみざわ本所の新設事務所がZEB ready認証を取得し、建築の省エネ性能表示制度で最高ランクの5つ星を獲得したと発表した。同社は北海道ガスと連携してエネルギーシステムも提案し、小規模太陽光発電による創エネ、GHP空調設備採用などにより一次エネルギー消費
量を58%削減した。

【日本熱供給事業協会/海外視察報告会で熱供給の欧州最新事例を紹介】

日本熱供給事業協会が海外視察調査報告会を開催した。2023年11月にエネルギー事業者がドイツやデンマークなどを視察しその内容を報告した。デンマーク大使館の田中いずみ上席商務官が同国の「脱炭素社会の構築に向けた熱供給の役割」について基調講演し、その後「化石資源を使わない地域暖房」や「熱利用拡大に係る技術開発」などの講演が行われた。