【中国電力 清水社長】事業環境変化に合わせ、成長に向け加速していく


2020年代を勝ち抜くため、環境の変化を踏まえて新グループ経営ビジョンを策定。成長戦略を再構築し、社会の要請にも応えていく。

清水希茂(しみず・まれしげ)1974年大阪大学基礎工学部卒、中国電力入社。2007年執行役・電源事業本部副本部長、09年常務、11年副社長、16年4月から現職。

志賀 新型コロナウイルスの感染は終息に至っていません。電気事業では、万一従業員に感染が広がったら、電力の安定供給に支障が出かねないと思います。感染防止にどのような取り組みをしていますか。

清水 中国地域で新型コロナウイルス感染症への感染者が確認されて以降、対策本部を設置して対応を行っています。今も感染は完全には収まっておらず、引き続き感染予防対策に取り組むとともに、国の方針などに基づき、電力の安定供給と安全の確保を前提に、時差出勤や在宅勤務なども活用しながら取り組んでいます。

中でも、電力の安定供給を直接担う箇所については、中国電力ネットワークをはじめ、グループ全体で追加の取り組みを行っています。

志賀 具体的には、どういった取り組みを。

清水 発電所の中央制御室や中央給電指令所などに入室する際のマスク着用や手の消毒を例外なく実施することはもちろん、例えば、当直要員が通勤する際の感染リスク低減を図るため、公共交通機関は使わず、私有車で通勤することなどを徹底しています。引き続き、社員などの感染防止対策を徹底し、電力の安定供給維持に支障をきたすことがないよう取り組んでいきます。

非効率石炭の規制 安定供給に配慮を

志賀 梶山弘志経済産業相が非効率石炭火力のフェードアウトに向け規制的措置を導入する方針を打ち出し、経済産業省で本格的な議論が始まります。石炭火力の依存度が比較的高い中国電力への影響は大きいと思います。

清水 非効率石炭火力のフェードアウトの方向性については、第5次エネルギー基本計画で示されており、今後、経済産業省が設置する有識者会議において具体的な検討が進められるものと認識しています。

今後の議論にあたっては、雇用や立地地域への影響、安定供給面などを熟考いただき、丁寧に検討していただくことが重要であると考えています。エネルギー自給率が先進国の中でも極めて低いわが国においては、「S+3E」を同時に達成することが非常に重要であると認識しています。

志賀 ぜひ、低廉で安定した電力の供給が損なわれないような制度にしていただきたいと思います。

新ビジョンを策定 成長に向け加速

志賀 今年1月にグループ経営ビジョン「エネルギアチェンジ2030」を公表しました。どのような狙いがありますか。

清水 送配電部門の法的分離という転換期を迎えるに当たり、当社グループの将来展望を示すべく新しいビジョンを策定しました。今後の事業環境変化に合わせ、ギアを変えながら成長に向けて徐々に加速していくという取り組みのイメージを「エネルギアチェンジ」という言葉で表現しました。

「思考様式」「行動様式」「グループマネジメント」の三つをギアチェンジしていくことにより、当社グループを力強く前進させていきたいと考えています。

安全対策工事が進む島根原子力発電所2号機(手前)と3号機

志賀 ポイントはどこに。

清水 一言でいえば、「20年代をどう勝ち抜くか」です。20年代を勝ち抜くため、成長戦略を再構築するとともに、SDGsなどに代表される社会からの要請も取り込んだ上で、三つのミッションを設定しました。エネルギー事業を基盤とし、事業者として変わりなく使命を果たしていくこと、新たな事業に挑戦していくこと、そして、多様な人材の活躍を進め、魅力ある企業グループを目指していくことを掲げています。

また、30年度の利益・財務目標について、それまでの10年間でキャッシュフローの均衡を図りつつ、既存事業や新たな事業への投資、株主還元などのバランスを取ってキャッシュ配分をしていくことで、達成を目指していきます。

住民拠点SS整備をサポート 非常時の燃料供給体制を構築


【メーカー編/タツノ】

全国約3万余りのサービスステーション(SS)は、災害発生時の役割に大きな期待を寄せられている。

例えば、停電し復旧に時間がかかる場合、現地には次々と電源車が到着する。車載型の無線基地局は電波を受発信できる場所に配備される。それぞれが任務を遂行する間、燃料を供給し続ける必要があり、災害時におけるSSの役割が重要視されている。

資源エネルギー庁は2016年度の補正予算より、「住民拠点SS整備補助事業」としてSSが自家発電設備などを導入する際、250万円を上限に100%補助する補助金制度を推し進めている。

住民拠点SSは、災害時に近隣住民の生活や復旧活動を支えるため、ガソリンや軽油などの燃料供給の拠点となる役割を担う。エネ庁は本年度末までに自家発電設備を備えた住民拠点SSを、約1万5000カ所に増やす目標を掲げている(現在は約7000カ所)。

タツノは住民拠点SS向けに、停電時にも燃料の安定供給が可能な「可搬式緊急用発電機」と「緊急用バッテリー可搬式計量機」の導入を提案している。

可搬式緊急用発電機(左)と緊急用バッテリー可搬式計量機

可搬式緊急用発電機は分電盤につなぎ、ノズル3本分の計量機と、POS1台、油面計1基、給油場所を照らすLEDキャノピー2灯への電力供給が可能。

災害発生時でも迅速に営業を再開し近隣のライフライン維持の一翼を担う。

SS保有の軽油を燃料としているため、災害が長期化しても供給の継続力の点で安心できる自家発電設備となる。

非常時も迅速な使用が可能 導入後のサポートに注力

緊急用バッテリー可搬式計量機は、自動車のバッテリー(12V)を電源とし、地下タンク内に直接吸入ホースをセットし燃料を供給する。地震などで配管が破損すると、SSの計量機は使用できなくなる。緊急用バッテリー可搬式計量機があれば、配管の損傷や電源の心配をすることなく継続して燃料を供給できる。

昨年の台風15号では、この特性を生かし停電が長期化した地域で緊急車両や住民の燃料供給に貢献した。

非常用設備は、災害時に素早く適切に使用することが必要だ。タツノでは、北海道胆振東部地震の際に多くの使用方法の問い合わせを受けた経験をもとに、非常用の製品に専用サイトへ直結できるQRコードのタグを付けた。

QRコードより携帯端末で使用方法が閲覧でき、安心して対応ができる仕組みとなっている。設備が導入された後も点検サポートを行い、いざという時にスムーズに動作するよう備えている。

能登谷彰常務は「停電していても灯油が汲み上げられれば、暖を取って命を守ることができます。ライフラインの一つとしてのSSが一日も早く営業を再開し、一日も早く復旧するためにどのように力になれるかを考えています」と語る。全国78拠点のネットワークを活用したサポート体制は、日常の生活に戻るためのSSを力強く支える。

【終了】『第三次エネルギー革命』水素・再エネ・蓄電池


※本セミナーは、2020年4月27日に開催し終了したものです。

持続可能な新しいエネルギーシステムの構築に向けて、水素や再生可能エネルギーへの期待が高まっています。

水素は再エネなど様々な一次エネルギーから作りだし、貯蔵・輸送し、クリーンに利用する「エネルギーキャリア」として活用することなどが注目されています。

本シンポジウムでは、水素や再エネ、蓄電池に関わる業界の第一人者の方々に最新動向や今後の展望について解説して頂きます。

【終了】岐路に立つ地域の環境エネルギー事業


※本セミナーは、2019年12月2日〜3日に開催し終了したものです。

第1部(12月2日)=地域循環共生圏と分散型エネルギーの展望

≪基調講演≫  ※参加費無料

【10:30〜11:00】①「地域循環共生圏の形成と分散型エネルギーシステムの構築に向けて」/環境省 大臣官房 政策立案総括審議官 和田篤也氏

【11:00〜11:30】②「再生可能エネルギーの主力電源化と分散型エネルギーシステムの構築に向けて」/経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー新エネルギー部 政策課長 山崎琢矢氏

【11:30〜12:00】③「地域を支える中小企業・小規模事業と最近の政策」/経済産業省 中小企業庁 長官官房 総務課長 高倉秀和氏

セミナー <地域特性を生かした地域循環共生圏の創造>

自治体・企業講演

【13:00〜13:25】

・「『Zero Carbon Yokohama』実現に向けた横浜市の再生可能エネルギー拡大施策」/横浜市 温暖化対策統括本部 企画調整部 担当部長 沼田正樹氏

【13:25〜13:50】

・「コンパクトシティ戦略による持続可能な付加価値創造都市〜とやま型地域循環共生圏モデルの形成に向けて〜」/富山市 環境部環境政策課 課長代理 東福光晴氏

【13:55〜14:15】

・「ローカルグッドとは〜地域の自立・分散・協調〜」/一般社団法人ローカルグッド創成支援機構 運営事務局 青山英明氏

【14:15〜14:35】

・「清掃工場を核にした地域総合エネルギー事業の取り組みについて〜地域循環共生圏の先駆的事例として〜」/スマートエナジー熊本 代表取締役 横尾将氏

【14:40〜15:00】

・「日本版シュタットベルケに向けた挑戦」/鳥取ガス株式会社 代表取締役社長 児嶋太一氏

【15:00〜15:20】

・「地域循環共生圏の構築に向けた、地方都市ガス会社の果たすべき役割」/小田原ガス株式会社 取締役社長 原正樹氏

セミナー <地域循環共生圏の課題と未来像>

【15:30〜16:50】パネル討論

東京工業大学特命教授 柏木孝夫氏

環境省 大臣官房 政策立案総括審議官 和田篤也氏

横浜市温暖化対策統括本部 企画調整部 担当部長 沼田正樹氏

小田原ガス 取締役社長 原正樹氏

【17:00〜18:00】名刺交換会

第2部(12月3日)=人口減少・過疎化時代の公益事業サービスの課題と行方

≪基調講演≫  ※参加費無料

【10:30〜11:00】①「需要希薄地域におけるサービス供給のあり方について-運輸部門の経験から」

一橋大学大学院経営管理研究科特任教授 山内弘隆氏

【11:00〜11:30】②「電力政策をめぐる最近の動向」

経済産業省 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 電力基盤整備課長 曳野潔氏

【11:30〜12:00】③「再考:現代のユニバーサルサービス」

長野県立大学教授 穴山悌三氏

セミナー <人口減少・過疎化に立ち向かう公共事業サービス>

業界団体・企業講演

【13:00〜13:30】・「持続可能性から見た公営ガス事業の考察」

一般社団法人日本ガス協会 地方支援担当理事 角田憲司氏

【13:30〜14:00】・「人口減少時代における公営ガス・水道事業のあり方と持続可能性 

〜広域化、官民連携等事例を参考に〜」

EY新日本有限責任監査法人 シニアマネージャー 福田健一郎氏

【14:05〜14:30】・「北海道におけるLPガス事業の現況 〜地域エリアの取り組み〜」

エア・ウォーター株式会社 生活・エネルギーカンパニー 営業部 部長 東宏樹氏

【14:30〜14:55】・「東松島市スマート防災エコタウン 分散型地域エネルギー自立都市 東松島市の取り組み」

一般社団法人東松島みらいとし機構 代表理事 渥美裕介氏

【14:55〜15:20】・「みちのりグループの取り組み:地方におけるバス事業」

株式会社みちのりホールディングス 代表取締役グループCEO 松本順氏

セミナー <ユニバーサルサービス維持に向けた展望>

【15:30〜16:55】パネル討論

一橋大学大学院 経営管理研究科 特任教授 山内弘隆氏

東京電力ホールディングス 経営技術戦略研究所 経営戦略調査室 チーフエコノミスト戸田直樹氏

日本ガス協会 地方支援担当理事 角田憲司氏

みちのりホールディングス 代表取締役 グループCEO 松本順氏

【17:00〜18:00】名刺交換会

【終了】卒FIT電力をビジネスに最大限活用する方法


※本セミナーは、2019年6月5日〜6日に開催し終了したものです。

株式会社エネルギーフォーラム(東京都中央区、取締役社長 志賀正利)は、2019年6月5日(水)、6日(木)の2日間、ラーニングスクエア新橋(東京都港区)にて下記セミナーを開催いたします。

【セミナー内容】

2019年11月から再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が順次終了します。これを受けて、余剰電力の買い取りサービスや自家消費を促すサービスや製品の販売など、新たなビジネスが生まれつつあります。一方で、ビジネスが多く創出される中、どう利益を確保していくのかにも注目が集まっています。本セミナーでは、ポストFITの新ビジネスに注力する企業の最新の取り組みについて講演していただきます。本セミナーを聞けば、卒FIT電力を“儲かるビジネス”にするヒントが見つかります!