【中国電力 清水社長】事業環境変化に合わせ、成長に向け加速していく

2020年8月2日

志賀 石炭灰を有効活用する取り組みも進めていますね。

清水 石炭火力発電所から発生する石炭灰について、その特性を生かした土木建築資材などの製品開発と用途技術の開発を行い、グループ企業の中国高圧コンクリート工業を通じて、積極的に製造・販売を実施しています。河口・港湾の水底質浄化など、環境改善効果を持つ石炭灰製品の普及拡大により、循環型社会の実現に貢献しています。  実際に、生物の生育環境を改善する環境修復材として、広島県内の河川や港、鳥取県と島根県にまたがる中海、日本橋(東京)の水辺などで活用されているほか、水はけがよい特性を生かし、虎ノ門ヒルズのオープンスペースなどでも、緑化材として利用が進んでいます。

多様なニーズに対応 高い付加価値を提供

志賀 電力小売り市場の競争が激しくなっています。

清水 中国地域においては、低圧・高圧ともに100社を超える事業者が活発に営業活動を展開しており、厳しい競争環境にあるものと考えています。当社グループとして家庭用から事業用までエネルギーに関する多様なニーズに対し、付加価値の高いサービスを提供し、事業基盤である中国地域のお客さまに引き続き選択していただくことを目指していきます。

志賀 具体的には、どういったサービスを。

清水 昨年からは、サービス全般の総称として「ぐっとずっと。Eサービス」を設定し、お客さまのニーズにお応えできるサービスの提供に取り組んでおり、会員制ウェブサイトに加入いただいているお客さまはもちろん、加入されていないお客さまにも、快適・便利なサービスをご利用いただいています。「LINE」を活用したご使用量のお知らせや、AI・IoTを活用したお子さまの見守り、マルチシェアリングロッカー、地域における体験のマッチング、定額制での住宅設備修理など、各種サービスを提供しています。

当社とお客さまとの接点を強化するための会員制ウェブサイト「ぐっとずっと。クラブ」は、会員数が100万口を突破し、順調にその数を伸ばしています。また、新料金メニュー「ぐっとずっと。プラン」への切り替えについても、130万口を突破し、お客さまから高い評価をいただいているものと受け止めています。

志賀 ほかのエリアへの進出はどうですか。また、他社とのアライアンスにも力を入れています。

清水 高圧以上では、市場規模の大きい首都圏や関西地域を中心とした営業活動により、中国地域外における収益基盤の拡大を進めていきます。低圧分野では首都圏において事業を展開していますが、事業の収益性、市場の動向、お客さまからのご要望などを総合的に勘案しながら、販売エリアの拡大について検討していきます。

他社とのアライアンスについては、エア・ウォーターと2地点、広島ガスと1地点で事業会社を設立し、バイオマス発電所の建設を進めています。

中でも、エア・ウォーターと共同設立したエア・ウォーター&エネルギア・パワー山口のバイオマス・石炭混焼発電所は、昨年7月に営業運転を開始しています。残りの福島県と広島県の2地点は、20〜21年度の営業運転開始を目指し、建設工事を進めています。

新たな事業に挑戦 地域と電気の未来を創造

志賀 新たな事業領域の開拓にも積極的ですね。

清水 特定の事業領域や地域に限定せず、これまでに培ってきた当社グループの技術・経験・設備などの新事業への活用を続けるとともに、事業基盤である中国地域の活性化などをキーとした新たなビジネスへの参画など、国内・海外問わず、多様な事業分野への進出に向けて取り組みを推進していきます。

志賀 昨年4月にエネルギア創造ラボを設立されました。どういう目的がありますか。

清水 エネルギア創造ラボでは、「地域の未来を創造」と「電気の未来を創造」をコンセプトに、新たな収益獲得を目指しています。

当社が基盤とする中国地域では、人口減少・少子高齢化を背景にさまざまな社会課題が生じています。また、産業面でも人手不足や生産性向上などの課題があります。「地域の未来を創造」という観点で、地域の活性化や課題解決、お客さまサービスの多様化につながる独自の技術やサービスを持つベンチャー企業への投資や業務提携を進めていきます。

一方、「電気の未来を創造」する観点では、分散型リソースを活用したVPP実証などの成果活用に加え、独自の技術を持った国内外のベンチャー企業などとの協業や投資により、VPPサービスをはじめとしたエネルギーと他業種との融合による新たなエネルギーサービスの実現を目指していきます。

志賀 楽しみですね。今日はありがとうございました。

対談を終えて 非効率石炭の規制政策については、「S+3E」の同時達成の観点から、慎重な検討を求める。電力自由化市場にあっても、三隅発電所や島根原子力発電所の稼働で、メリットオーダー下にあってこそ、価格優位な立場にあるとして、収益最大化への攻勢を仕掛ける。4月からの送配電と発電・小売り部門の法的分離を踏まえ、「エネルギアチェンジ」として事業環境変化へのギアチェンジにもためらいはない。(本誌/志賀正利)

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