【中国電力 清水社長】事業環境変化に合わせ、成長に向け加速していく

2020年8月2日

志賀 ビジョンの利益目標達成のためには、まず島根原子力発電所2、3号機の稼働が欠かせないと思います。稼働に向けて現状はどうですか。また、上関原子力発電所にはどう取り組んでいますか。

清水 重要課題である島根2号機の再稼働に向けては、新規制基準適合性審査に懸命に対応し、発電所の耐震設計の基本となる基準地震動および発電所敷地への浸水対策を講じる上で重要な基準津波について、原子力規制委員会から「おおむね妥当」と評価されました。また、昨年2月から、設備側の審査が再開され、審査は着実に進んでいるものと認識しています。

引き続き、審査に適切に対応していくとともに、安全対策工事を今年度中のできるだけ早期に完了できるよう、着実に取り組んでいきます。

島根3号機は、建設当初に計画した機器の据え付けおよび燃料装荷までに行われる使用前検査は全て終了しています。一昨年の8月に原子力規制委員会へ原子炉設置変更許可申請を行いました。2号機と並行して、安全対策工事を進めており、21年度上期の完了を目指しています。

2号機は1989年(平成元年)に営業運転を開始し、平成の時代には当社の電気事業のベースとなった発電所です。この2号機を、新たな時代において早期に再稼働させるとともに、これからの時代を長期にわたって支える3号機、さらには上関原子力発電所を将来の安定供給、低炭素社会実現に向けた重要な電源として位置付けており、引き続きしっかりと取り組んでいきます。

志賀 石炭火力の競争力強化も、市場を勝ち抜くために欠かせないと思います。どのような対策を考えていますか。

清水 最新技術とバイオマス混焼を採用した三隅発電所2号機を導入し、経年火力設備を代替することで環境負荷低減を図ります。工事はおおむね順調に進捗しており、22年11月の営業運転開始を目指し、引き続き取り組んでいきます。

三隅発電所2号機と島根原子力発電所の稼働により、広域メリットオーダー下において競争力を有する電源が大きく増加します。この電源を基に、収益最大化が図れるよう、小売り・卸売りのさまざまな市場で販売することにより、電力販売収益の低下に歯止めをかけ、拡大させたいと考えています。

石炭の高効率利用に注力 脱炭素化への技術開発も

志賀 SDGsを踏まえて、環境負荷低減にも積極的に取り組んでいますね。

清水 安定したエネルギーをお届けすることと、地球環境問題への対応を両立させていくことは、エネルギー事業者である当社グループの不変の使命です。特に力を入れているのが、環境負荷を低減させながら石炭をうまく活用していくことです。石炭は、供給の安定性や経済性に優れた燃料である一方、CO2排出量が多いという課題があります。そこで当社では、発電設備の高効率化やCO2排出量を大幅に抑制するための技術開発に取り組んでいます。

具体的には、究極の高効率発電技術である石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)とCO2分離・回収を組み合わせた革新的低炭素石炭火力発電の実現を目指す実証事業「大崎クールジェンプロジェクト」に取り組んでいます。

三隅発電所2号機(左側)完成イメージ

基盤技術となる酸素吹石炭ガス化複合発電(酸素吹IGCC)の実証試験では、高い発電効率と調整力を発揮し、ベースロード電源・調整電源の両方で活躍できる能力があることを確認しました。実証は、昨年2月に終了しています。

昨年12月には、CO2の大幅な排出削減に向けたCO2分離・回収設備の実証試験を開始するとともに、燃料電池を組み合わせたIGFC実証試験の21年度開始を目指して、準備を進めています。

今後、分離回収したCO2を多様な用途に有効活用するカーボンリサイクルの実証に向けた検討も進めていきます。また、発電所が立地する地域の未利用木材といった木質バイオマスとの混焼発電も行うことで、エネルギーの地産地消を進めています。

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