【北陸電力】持続的な成長へ 財務基盤を立て直し 成長領域に挑戦する

2023年3月1日

値上げへの理解促進 機会を捉え説明尽くす

志賀 値上げに対する地域社会の反応はいかがですか。

松田 値上げによる暮らしや生産活動への影響の大きさを憂慮するものや、「もっと効率化を進めよ」「身を切る改革が足りない」といった厳しいご意見も含め、さまざまな声をいだいています。全社を挙げてお客さまにご理解いただくべく、値上げをお願いすることになった背景、値上げの内容、経営効率化の取り組みなどに合わせて、節電・省エネ方法などについても丁寧に説明しているところです。

 また、ご家庭など低圧のお客さまを対象としたお客さま説明会を北陸各地で開催しました。昨年12月21日に富山、金沢、福井3市での開催を皮切りに、お客さまの申込状況や降雪時期の開催となるため、お客さまの利便性を考慮した追加開催も行い、計41会場76回開催し、約3400人の方に参加いただきました。法人のお客さまへも訪問や電話で個別にご使用実態に合わせた試算、値上げの影響をご説明し、お客さまからご意見もお伺いしています。引き続き、さまざまな機会を捉え丁寧な説明を尽くしていきます。

志賀 23年度をどう展望していますか。

松田 厳しい経営状況ではありますが、当社グループの持続的成長のためには、社会的課題であるカーボンニュートラル(CN)への対応や、新たな付加価値を生む事業領域の拡大を進めていく必要があります。そのために、不断の経営効率化を進めながら、「経営基盤の安定化」と「さらなる事業領域の拡大」、この二つを両輪としてバランスを取りつつしっかりと進めていきます。

 30年に向けた中期経営計画「北陸電力グループ2030長期ビジョン」は、19年4月に策定しており、CNをはじめとする社会課題への対応や、これまでに経験したことがない燃料価格の高騰など、当社を取り巻く環境がその計画の前提とは大きく変わってしまいました。現在、こうした状況変化を踏まえ、計画の見直し作業を進めているところです。毀損した財務基盤を立て直し、新しい成長軌道にどう乗せていくかが重要であり、23年度のできるだけ早いタイミングでお示ししたいと考えています。

志賀 見直しのポイントは?

松田 「北陸と共に発展し、新たな価値を全国・海外へ」という目指すべき姿を変えるわけではありませんが、事業領域の拡大に向け、財務基盤を立て直しつつ、成長領域に種と水をまき、育てていく必要があります。これは簡単なことではありません。このような状況を悲観し当社グループ全体が下を向かないよう、トップとして成長戦略を探っていきます。既に現在、お客さまや地域の課題解決に貢献する事業やDX(デジタルトランスフォーメーション)分野など、新たな成長事業の開拓に取り組んでおり、電気事業の枠に捉われない新たな事業領域の拡大を図り、当社グループを成長軌道に乗せていきます。前に踏み出すことで新しい景色が見えてくることもあると考えていますし、この変革(change)の時代を、むしろ機会(chance)と捉え、果敢に挑戦(challenge)する「3C」を推進していきます。

 お客さまや地域の脱炭素化に関するニーズは非常に高く、例えば、再生可能エネルギー100%の電気料金メニューの提供や、法人・個人宅への太陽光PPA(電力購入契約)サービス、エネルギー設備受託サービス、EV(電気自動車)の導入支援サービスなどを提供していますが、引き続き、お客さまごとのニーズにあった付加価値サービスをご提案し、しっかりとお応えしていきます。

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