【北陸電力】持続的な成長へ 財務基盤を立て直し 成長領域に挑戦する

2023年3月1日

多様な調達組み合わせ 価格変動の影響最小化

志賀 燃料調達コストの抑制や安定調達にどのように取り組んでいますか。

松田 燃料価格のボラティリティーが大きくなっている中、長期契約に加え、短期・中期契約やスポット調達など多様な調達方法を組み合わせることで燃料の安定調達とコスト低減に努めています。非常に厳しい調達環境下ではありますが、今冬に関して言えば燃料は石炭・LNG・石油とも、現時点で安定供給に支障がないレベルで必要量を確保できています。価格面では、市況動向を注視し、燃料価格の一部固定化を実施するなど、価格変動影響の最小化を図っています。

 また、石炭については、これまでは高品位炭のみを調達してきましたが、安定調達とコスト低減の観点から、低・中品位炭の活用も選択肢になるのではないかと考えています。ボイラーの改修が必要になることや、石炭灰の処理面で課題はありますが、23年度には中品位炭を試験的に導入し順次拡大していきたいと思っています。

志賀 今後、火力発電の脱炭素化が求められます。

松田 火力発電は足元における重要な供給力であるだけでなく、再エネを拡大していく上でも、調整力・慣性力・同期化力の観点から不可欠な電源ですから、当社としても、火力発電の脱炭素化は重要な位置付けと認識しています。

 具体的な取り組みとしては、七尾大田火力2号機・敦賀火力2号機において、24年度からのバイオマス混焼比率の拡大に向け、バイオマス燃料貯蔵サイロの建設工事や発電設備の改造工事を順調に進めています。70万kWの石炭火力2基で混焼比率を15%に拡大することで、バイオマスに相当する発電出力は両機で21万kW程度となり、国内最大クラスのバイオマス専焼発電所の規模に匹敵します。年間15億kW時のバイオマス発電が可能であり、CO2排出量を約100万t削減できます。

 また、将来のアンモニアや水素の導入検討にも積極的に取り組んでいます。アンモニア・水素の利用には技術面、コスト面などに多くの課題がありますが、第六次エネルギー基本計画において、30年度の電源構成の中でも目標が示されており、脱炭素燃料の一つとして期待されています。当社としても製造・輸送の事業者と共同でサプライチェーン全体での事業化調査を進めており、当社の既設火力発電所での混焼や将来的な燃料転換に向けた検討を行っていきます。

バイオマス混焼拡大に向け工事が進む敦賀火力

志賀 再エネについても高い導入拡大目標を掲げています。

松田 当社は従来から水力発電比率が約3割と高く、電源構成に占める再エネ比率は全国トップクラスではありますが、22年4月には再エネ開発目標を18年度比20億kW時以上増やすという従来目標を30年代早期に発電電力量ベースで30億kW時以上、設備容量ベースで100万kW‌以上へと引き上げました。これは、発電電力量ベースで約4割増、設備容量ベースで約5割増にするという、当社にとっては非常に高い目標です。

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