【コラム/9月25日】2024年度第2四半期までを振返って
加藤 真一/エネルギーアンドシステムプランニング副社長
9月に入り暑さも一服とはいかず、残暑が続いている状況であり、電力需給も一部エリアで需給改善のための応援融通が複数回実施されているほどである。また、台風や線状降水帯の発生等、自然災害の脅威は増しており、そうした状況下でインフラ設備を守る現場の方々には頭の下がる想いである。そうした中でエネルギーを取り巻く議論も引き続き活発に行われており、関連審議会は日々開催され、足元から中長期に至る多岐にわたる議題が取り上げられている。 今回は、2024年度第2四半期の状況を簡単に振り返ってみることとする。色々と議論が行われているが、大きく4つのポイントに絞ってみた。
1.引き続き、政策立案の大きな動きが進展
第1四半期同様に、中長期の視点で大きな政策の方向性の議論が進んでいる。その中で、エネルギーを単体で考えるのでなく、この数年、国内外で着目されている気候変動(温暖化対策含む)に加え、産業政策も組み合わせた三位一体の政策に仕上げていく方向となっている。
その本丸になるのがGX2040ビジョンである。政府のGX実行会議を筆頭に、有識者との意見交換であるリーダーズパネルでの示唆や専門家WGでの議論を踏まえ、7つの課題を抽出し、「エネルギー」「GX産業立地」「GX産業構造」「市場構造」「グローバル」の視点で計10個の検討のたたき台が提示された。今後、2024年内の取りまとめに向け、議論が加速される予定である。
このうち「エネルギー」については第7次エネルギー基本計画策定に向けた議論が基本政策分科会で着々と行われている。こちらも論点を10個ほど挙げており、それぞれの論点に対して、関連する企業や業界団体、研究機関等からのヒアリングを行っているところである。並行して、各論点について「現状と課題、対応の方向性」を提示し、共通認識が得られたものを整理している段階である。さらに、各分野(例えば、資源燃料、原子力、再エネ、省エネ)については、関連する審議会で方向性の議論や関係団体ヒアリングを行い、おそらくそれらの議論が基本政策分科会での整理に上げられると推測される。
また、エネルギー基本計画の論点には、エネルギーミックスの策定や電力システム改革・事業環境整備が含まれている。こちらは、それぞれ、電力・ガス基本政策小委員会、発電コスト検証WGにタスクアウトされており、今後、検討・取りまとめされたものが反映されてくることになるだろう。
気候変動対策やカーボンニュートラルの観点からは、次期NDC策定を含む地球温暖化対策計画の改定に向けた議論が環境省の中央環境審議会の小委員会と経済産業省の産業構造審議会のWGの合同会合として議論が進められている。まずは関係する業界団体、若者団体、関係府庁、自治体からのヒアリングを行っているところである。併せて、政府実行計画の見直しや地域脱炭素の今後の在り方も環境省の審議会で議論が展開されている。
こうした大きな政策の議論については、①これまでの取組の総括、現状の課題の抽出、②関係者へのヒアリングによる課題・要望の洗い出し、③これらを踏まえた今後の対応の方向性の論点整理や必要な試算の実施、④数字面の目標を含む取りまとめといったステップを踏んで進められており、この春から夏までは、特に①、②を中心に行われ、地固めをしている状況で、今後、秋から冬にかけて最終的な取りまとめに向けた具体議論が展開されることが予想される。