グループ一丸で「BX実現」目指す 競争力強化と新たな価値創造に注力
【四国電力】
四国電力ではDX推進の環境を整備しDX人材を中長期的に育成すべく取り組みを推進中だ。
既存サービスの多様化、高付加価値化に加え、新規事業や新サービスの創出も狙う。
四国電力グループは、2021年3月に発表した「よんでんグループ中期経営計画2025」で、「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」を長期重点課題の一つに掲げている。同グループでは、DXを「デジタル技術とデータを活用し、ビジネスモデルや業務プロセス、組織風土、従業員のマインドなどを含むビジネス全般を変革すること」【BX by「D」】(Business Transformation by「Digital & Data」)と定義し、DX推進のための環境整備とDXにつながる取り組み実践を進めている。

昨年3月、DXで目指す姿について、全従業員により分かりやすく伝えることを目的としてグループのBXビジョン「LUCK」を策定した。LUCKは英語の頭文字で(図参照)、各キーワードにビジネス変革への強い思いを込めている。実現までのロードマップでは、23年度までを「フェーズ1」と位置付け、全社大での意識改革に向けた研修や基礎的なDXラーニングプログラムの提供、システム基盤構築などの環境整備に加え、一部の部門で先行的にDXの取組方針を策定の上、具体的な施策の実践に取り組んできた。24年度以降の「フェーズ2」では、データ活用の推進やDX実践の中核となる人材の育成によって、既存事業・サービスの多様化や高付加価値化はもとより、新規事業・新サービスの創出など新たな価値創造にもチャレンジしている。
認定制度で計画的人材育成 表彰で社員の意欲向上狙う
同グループでは、DXを推進する人材を「DXビジネス人材」と「デジタル技術人材」の二つのタイプに大別し、個々のレベルに応じて必要な知識・スキルの習得ができるよう、「四電DXラーニングプログラム」を整備している。今後さらなるDX推進のためには、デジタル技術やデータの力を適切に理解し、事業環境の変化や社会的課題に対応できるDX人材を中長期的視野で育成していく必要がある。このため、「初級」「中級」「上級」の3段階から成る「DX人材認定制度」の運用を開始し、計画的に人材育成を進めている。初級はIT・ビジネス全般に関する基本的な知識を有する人材、中級は組織のDXを推進していくために必要な知識・スキルを有する人材、上級は組織の中心となってDXをリード・マネジメントできる人材と定め、経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が策定した「デジタルスキル標準(DSS)」を参考に、四つの人材タイプを設定して認定を行う。25年度末までに、中級以上の人材を従業員の5%程度、30年度末までに15%程度育成することを目標としている。
また、新たに導入したデジタルツールや技術の業務活用を促進し、従業員が主体的・積極的にDXに取り組む意識の高揚、風土の醸成を図るため、四国電力と四国電力送配電の社員を対象に、デジタルツールの利活用や業務改革に関するテーマについて優れた事例を表彰する「DXテーマ別コンテスト」を企画 し実施している。昨年3月に開催した第1回は、社内専用環境で利用できる生成AIの活用、9月に開催した第2回は、BIツールを用いたデータ活用をテーマとし、多くの業務活用事例が報告された。優れた事例や結果を全社で共有することでDXに取り組む従業員のさらなる意欲向上にもつなげる考えだ。
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