【LPガス大変革時代に挑む】岩谷産業が果たすエッセンシャルサービスの役割 27年度に直売130万件目指す
間島 寛 社長/岩谷産業

輸入から小売りまで一気通貫で担う、国内最大級の事業者。
コロナ禍に就任した間島社長に今後の展望などを聞いた。
―コロナ禍に見舞われた2020年に社長に就任されました。その後、ウクライナ戦争や今年の春に世界中を混乱に陥れた中東危機などさまざま事業環境の変化がありましたが、LPガス事業者としてどのように受け止めていますか。
間島 今回の中東危機を受け、改めてLPガスという分散型エネルギーの重要性が再認識されたのではないかと思います。中東依存度が高かったひと昔前に比べ、現在日本が調達するLPガスの90%以上がアメリカからです。中東依存度が高い原油に見られるような「モノ」が届かないといった影響をさほど受けていません。エネルギーの安全保障の観点からも、改めてLPガスの意義を確認できました。
また、各地でさまざまな自然災害が発生している中で、分散型エネルギーとしての重要性も見直されていると感じています。例えば24年に北陸を襲った能登半島地震では、さまざまなインフラと同様にLPガス供給設備も被災しましたが、分散型という特性を生かして早期の復旧を実現し、地元に住まう方々の真冬のエネルギー利用を支えることができました。
広がる石油への不安 燃料転換へのニーズ高まる
―供給安定性の面で非常に優れているということが、今回のイラン危機などを通じて浮かび上がってきているわけですね。
間島 そうですね。特に産業用分野では油の調達に不安を持つお客さまが増えてきていると感じています。ボイラーなどの熱源を重油からLPガスやLNGへ燃料転換したいというリクエストが各支社の営業現場に来ています。
当社には産業エネルギー部というセクションがありまして、日頃からカーボンニュートラル(CN)や低炭素化に資するソリューションの観点で「油からLPガス、あるいはLNGへと転換しましょう。炭素量が少ない方が地球環境に優しいですよ」と提案活動を続けています。
しかし今は、従来とは異なる観点でお客さま側から「供給不安があるから燃料転換を考えたい」との声が寄せられているのが実態です。
―23年から27年を対象年度とする中期経営計画「PLAN27」が進行中です。ちょうど後半戦に突入したところですが進ちょくはいかがですか。
間島 一番分かりやすい数値目標として掲げているのは家庭用LPガスの直売件数です。中期経営計画(中計)がスタートする直前の23年3月末時点ではおよそ110万世帯でしたが、中計の最終年度の27年度に130万世帯にするという目標を掲げています。
―現在の達成度は。
間島 3月末時点で121万世帯となりました。人口減少の影響で件数が減ったり、企業間競争で苦戦したりしていた時期もありましたが、それほど大きなずれはなく進ちょくしていると思います。
―M&A(企業の合併・買収)によって事業を継承するケースも増えているのでしょうか。
間島 25年度だけ見ても、直売件数の増加に貢献したのはM&Aでした。その他、新築戸建住宅における新規開拓、そして通常の営業努力といったことも増加要因となっています。


