【LPガス大変革時代に挑む】岩谷産業が果たすエッセンシャルサービスの役割 27年度に直売130万件目指す

2026年7月7日

―不透明な料金体系を含め、昔から続いてきた商慣行です。地域にもよるかと思いますが、業界に浸透していくには、まだまだ時間が掛かるかと思います。
さて、昨年の大阪・関西万博(日本国際博覧会)では、水素燃料電池船「まほろば」が会場へのアクセスツールとなりました。岩谷産業としては、ゼロベースから設計して運用にこぎつけて水素社会の未来像を示しました。水素のリーディングカンパニーとして、水素社会の到来に向けて世間からの期待は大きいかと思います。水素事業の現状を教えてください。

間島 現在、水素においては需要側、つまり水素を使う側の取り組みが想定以上に進んでいるという印象を持っています。特にグローバルに事業展開をしている企業は、電気を使うにしても「CO2排出係数の低い電気がほしい」などと、CNに対する要求がどんどん厳しくなっています。そうした要望の高まりを背景に、モノづくりの現場では水素ボイラーや水素バーナーを使った導入事例が着実に増えています。それ以外では、乗り物が増えています。

万博で注目された「まほろば」

―以前は燃料電池乗用車が中心でしたが、最近は規模の大きな商用トラックやバスを見かける機会が増えています。

間島 われわれとしても、大型車両に水素を供給できる能力を持ったステーション整備に取り組んでいるところです。資本業務提携をした石油元売りのコスモエネルギーホールディングスと共に岩谷コスモ水素ステーション、コスモ岩谷エンジニアリングの2社を立ち上げました。

そして東京都内に岩谷コスモ水素ステーション平和島(東京・太田)、岩谷コスモ水素ステーション有明自動車営業所(東京・江東)の2拠点を開設して運用を始めています。現在、都内でもう一カ所、準備を進めており、いずれも大型商用車向けにも供給できる拠点です。


再エネ由来の水素製造 値差支援後が正念場

―水素社会に向け国からの値差支援制度も始まりました。

間島 例えば鋼材メーカー、愛知製鋼の知多工場(愛知・東海)で、豊田通商、ユーラスエナジーホールディングスと一緒に再エネ由来の電気を使って水素を製造するオンサイト型モデルの構築に向けて取り組んでいます。経済産業省の値差支援をいただき工場向けに年間約1600tの水素を製造・供給します。

30年からの運用を目指しその後、向こう15年の長期間にわたって支援をいただきます。問題はその先です。支援がなくなった段階で水素価格を維持できるか、あるいはできなかったとしても、その差分の価格をお客さまが受け入れていただけるのかが最大のポイントです。

また、その時分でCO2削減の価値を評価するカーボンプライシング市場がどれほど成熟しているか、複雑な方程式を解く必要があります。われわれとしても水素生産に関わるコストをいかに削減できるのか、企業努力を進めていきます。

商用バスやトラック向けの供給能力を持つ

―今後の岩谷産業を支える社員へメッセージはありますか。

間島 当社には総合エネルギー事業本部と産業ガス・機械事業本部とマテリアル事業本部―の三つがあります。共通して期待するのは「こういったアイデアがあるから、ほかの企業との協業含めてこんなことに取り組みたい」と自発的に考えてもらいたいということです。

例えばLPガス小売りサービスだけを取り上げても、われわれが持つ事業資産や基盤、インフラは宝の山で、これらを有効に活用することで、コンビニ、警備会社、あるいは医療機関などと協業できるポイントはあります。LPガスを運ぶ配送インフラを活用して、協業相手の「物資」を運ぶ、ガスメーターの特徴を生かして警備会社とコラボすることでお客さまの安否を確認するなど、事業領域は広がる可能性を秘めています。

デジタルネイティブでもある彼ら彼女らには、既成概念を取り払って、われわれでは思いも付かないことにワクワクしながら取り組んでもらいたいですね。

岩谷産業
ガス&エネルギーを中心に、総合エネルギー、産業ガス・機械、マテリアルの三つの事業を展開している。水素販売の歴史が長く、CN時代を見据え水素にも注力する。液体水素の製造拠点も整備しており、販売シェアは国内トップ。

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