【SNS世論】高市氏、河野氏、小泉氏―政治家から学ぶ賢いSNSの使い方
◆SNSは河野氏を持ち上げ、落とした
河野太郎氏はSNSのXのフォロワーが約263万人と国会議員の中ではトップクラスだ。彼は先駆的にメルマガ、SNS、そしてYouTubeを始めた。10年ほど前は政治家の本音を語り、一般有権者と語り合い面白かった。ところが2015年に初入閣したあたりから、トラブルも目立ち始めた。
政治家にはSNSで当然批判がくる。彼はそれに反論し、またXでブロック(Xの仕様で相手に読めなくすること。現在は読めるようになったが返信はできない)を繰り返し「ブロック太郎」というあだ名がついた。さらにSNSで訴訟威嚇を繰り返し、過激な批判者を名誉毀損として民事訴訟で訴えたこともある。河野氏は勝訴したものの、SNSでは評判は良くなかった。
当然反発も強くなる。河野氏は2021年、行政改革担当大臣の時に、再エネ問題に絡んで経産省幹部を呼び出し怒鳴りつける事件が起きた。幹部はそれを週刊誌にリークしたらしいが、音声と映像はアンチ河野の人たちによってSNSで拡散された。河野氏が内閣府に作った「再エネタスクフォース」で、自然エネルギー財団に在籍するメンバーが、元資料に中国企業の作成のものを使うスキャンダルを24年に起こした。これもSNSで騒ぎになり、オールドメディアが報道を追随した。SNSは河野氏を政治家として有名にした一方で、河野氏の批判を広げた。
そして河野氏は原子力や既存電力会社、経産省への過激な攻撃をリアルな場面で繰り返し、それをSNSで行った。その反発もあった。河野氏は21年の自民党の総裁選挙では1位の岸田文雄氏に次ぐ2位となった。しかし原子力立地県の党員や選出議員は、河野氏にあまり投票しなかった。河野氏は、それを気にしたためか、その後に反原発の姿勢を封印した。しかし石破茂氏が選ばれた自民党の24年には総裁選では、第一回投票で9人の候補者中8位と失速した。前述のSNSでの騒ぎが影響した可能性がある。
今の河野氏はかつてほどSNSで目立たなくなった。他人を攻撃する過激な発信は無くなり、いわゆる「炎上」はなくなった。一方で話題になることが減った。もちろん河野氏は優秀な人なので、また政治家として復活していくだろう。その時は、SNSをどのように使うのだろうか。
◆SNSが大好評の小泉氏
一方で、小泉進次郎氏はSNSを上手に使っている。SNSのXのフォロワーは42万人だ。昨年まで、Xで小泉氏は笑いの対象だった。彼は環境大臣として19年から21年にエネルギー問題に関わった。そこで奇妙な行動、知識不足の発言をからかわれ、それがSNSで蒸し返された。25年10月発足の高市政権で防衛大臣に就任すると、急に上手にSNSを使うようになった。
防衛大臣の仕事をSNS、自分のYouTubeチャンネルを使い、効果的にPRしている。内容も面白く、前向きだ。自衛官の活動、また兵器や装備は一般国民には珍しいものが多く、それを解説付きで掲載する。そこで自衛隊員と語らい、要望を聞き、その実現のための取り組みをSNSで報告する。政策の見える化も行っている。
自衛隊員は守秘義務がありSNSはできない。しかし家族はいる。また退官した自衛官も多い。そうした人々がSNSで小泉氏をほめ、自然と応援団ができた。そして一般国民の評判も好転した。小泉氏の批判はあまり目立たなくなった。専門の広報コンサルタントを介入させているようだ。
小泉氏は「自衛隊が他の国のように国民に評価されてほしい。そして隊員は立派に仕事をしている。そのために広報している」との趣旨の発言を繰り返す。その誠意は見ていて気持ちが良いものだし、自衛隊の評価を高め、その結果として大臣としての自分の評価も高めている。
しかし小泉氏のエネルギー問題の認識が正しいものになったかは不明だ。このように真実がSNSで見えないことも注意しなければならない。
◆小泉式のSNS活用は参考に
「握れば拳(こぶし)、開けば掌(てのひら)」という日本のことわざがある。同じ手であっても、心の持ちようと使い方で人を攻撃する「拳」にも、慈しむ「掌」にも変化する。SNSはまさにこの言葉通りで、使う人の心と、その表れの使い方で効果が変わってくる。
政治家3人のSNS使い方をまとめたが、かつての河野氏、今の小泉氏の使い方が参考になる。他人に不快感を与えない、前向きの情報を流し、それによって味方を増やす。高市氏のような、防衛手段としても使えるが、効果は限定的になる
そして私の属するエネルギー業界の使い方を考えてみる。真面目な広報一辺倒のSNSが多い。少し硬すぎるように思う。装置産業で自社設備が巨大で、「SNS映え」する素材があり、お客さまは多様で多数で、さまざまなサービスの提供局面がある。それを上手に発信していない。珍しいものを、親近感を持たせる形で発信する小泉流の取り組みは参考になるはずだ。
1 2


