【LPガス大変革時代に挑む】創業100周年を見据え お客さまに寄り添い 海外展開をさらに推進

2026年8月7日

 川本知彦 社長/サイサン

かわもと・ともひこ 獨協大学法学部卒業後、リンナイに入社。香港の現地法人に3年半駐在。02年サイサン入社。25年10月から現職。

全国約190拠点、世界9か国で展開中のガスワングループ。

2045年に売り上げ1兆円、世界一のエネルギー小売りを目指す。

―昨年10月1日、創業80周年という節目に社長に就任されました。その時の思いをお聞かせください。

川本 2012年から副社長として当時の社長と共に経営に携わってきましたが、創業者から二代目、三代目、そして四代目の自分へと80年かけて受け継がれてきたバトンの重みを改めて感じました。ただ、プレッシャーではなく、より責任のあるポジションで思い切り仕事ができるありがたさを感じつつ、職務をしっかり全うしようと思いを新たにしました。

―今、どのような経営ビジョンを描いていますか。

川本 1945年に創業し、2045年に100周年を迎えます。現会長の川本武彦が社長だった時に発表した「100周年ビジョン」で、世界一のエネルギー小売り企業と売上高1兆円の達成を掲げました。私が四代目に就任してもその目標を見据え、従前の歩みを引き継ぎ、着実に前進させ、自分の任期を全うしていきます。そのベースとなるのは、すべての判断基準であり基軸でもある、経営理念「お客さま第一主義」と社員綱領「凡事徹底」です。

変化をチャンスに LPガスの強みが顕在化

―主力のLPガス事業は、昨年の液化石油ガス法(液石法)省令改正など次の世代に向けた大きな変化の局面にあります。LPガス事業の現況についてどうお考えですか。

川本 まず、液石法の改正については非常にポジティブに捉えています。これまで料金などがエンドユーザーにとって不透明だった点を見直し、襟を正す良い機会です。むしろ、ガスワングループのQuality(品質)、Price(値段)、Service(サービス)をお客さまにしっかりお伝えし、ガスワンを選んでいただくチャンスだと考えています。

また、第7次エネルギー基本計画でLPガスの重要性が改めて示されました。現在の中東情勢においても、LPガスの調達はほぼアメリカであり、ホルムズ海峡由来の割合はわずかなものです。そのため供給途絶の心配はないと考えられます。

わが国にとって最も安定的に調達できるエネルギーであり、全国にインフラが整備されていること、災害に強いエネルギーとして注目の分散型であること、そして何より備蓄や可搬性に優れていることはとてつもないメリットです。LPガスの強みが今まさに顕在化している時代だといえます。

―今後の課題についてはどうお考えですか。

川本 やはり最大の課題はカーボンニュートラルです。しかし、これも私はポジティブに捉えています。03年にガスワングループを立ち上げた時から、そのミッションを「お客さまにとって最も身近なホーム・エネルギーパートナー」と定めました。なぜなら、お客さまが本質的に求めているのは、「美味しい料理を作りたい」「ゆっくりお風呂に漬かりたい」「快適な空調が欲しい」という暮らしの目的だからです。ガスというエネルギーはそのための手段に過ぎません。だからこそ、当社はエネルギー供給の担い手として、お客さまの暮らしに寄り添うパートナーでありたいと考えました。この基本理念に忠実であれば、必ず世の中から必要とされる存在になると確信しています。

本社入口に掛かる「凡事徹底」

M&Aを積極展開 充填や配送では他社と協力

―カーボンオフセットLPガスにはどのように対応していますか。

川本 38都道府県にある約190の拠点を通じた幅広いネットワークを生かして、すでに多くのお客さまに供給しています。例えば、埼玉西武ライオンズのベルーナドーム、ラグジュアリーホテルのザ・リッツ・カールトン日光、伊勢神宮参りのお菓子で有名な赤福の工場や、大谷翔平選手の母校・花巻東高校の寮などです。また、電気に関しても供給が進んでおり、埼玉りそな銀行、武蔵野銀行などにも供給しています。

―M&Aの実績が豊富ですが、今後の方針をお聞かせください。

川本 今後も積極的に展開し、地域で築き上げてきた信頼を守っていきたいと考えています。日本全体が人口減少という課題を抱え、産業の成長が見通しにくい現在、世代交代や廃業に直面する企業が増えています。そうした中で、手を携えて、地域で長年培われた信頼を引き継ぎ、両社が納得する形で事業を継続できるのは大変ありがたいことです。

―他社との連携についてはどのように考えていますか。

川本 ボンベの運搬や充填などに関しては、同じエリア内で同じ事業を行っている企業が複数存在していることを踏まえると、信頼できる同業者とパートナーシップを組み、効率化を図っていくべきだと考えています。地域ごとに、信頼できる事業者と共に進んでいきたいと願っています。

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