【沖縄電力 横田社長】将来の価値創出に向け 設備投資を着実に進め 強固な基盤を作り上げる

2026年9月2日

災害時に電力供給継続 独立系統の活用進む

井関 脱炭素化に向けた技術開発や実証は順調ですか。

横田 沖縄は広大な用地が少なく、大規模な太陽光発電を急速に増やすことには限界があります。屋根置き太陽光などを地道に拡大しつつ、電源側の技術開発に力を入れています。 例えば、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の実証事業として、吉の浦マルチガスタービン発電所において定格出力で体積比30%の水素混焼試験を実施しました。これは、単に一定出力で水素を燃やしただけではありません。緊急時の遮断試験や再生可能エネルギーの出力変動に合わせた負荷追従など、実際の運用に即した試験を行い、成果を収めることができました。

また、離島におけるマイクログリッドの活用も進んでいます。今年7月に宮古島などを襲った台風で電力設備に被害が出たのですが、復旧作業の途中で事故発生箇所を切り離し、マイクログリッドを発動させて約11時間にわたり一部地域に電力を供給し続けることができました。現地での実証と運用を通じて、災害時における強じん性を確立しつつあります。こうしたディーゼルエンジンやマイクログリッドの制御・メンテナンスノウハウを、JICA(国際協力機構)などを通じて太平洋島嶼国へ技術提供するなど、国際的な貢献にもつながっています。

井関 沖縄でも、データセンター(DC)やAI関連の立地・誘致の動きはありますか。

横田 事前のお問い合わせやご相談はいくつかいただいており、「どのくらいの規模で、どのエリアなら電力供給が可能か」といった具体的な対話を始めている段階です。首都圏から遠い沖縄でDCを建設することが現実的にあり得るのか、と思われるかもしれませんが、土地と電力供給の目処さえ立てることができれば非常に大きな可能性があります。大規模な需要が突然創出されると対応が厳しくなるため、事業者の方々と事前によく対話し、計画的に電源や送配電網の準備を進めていきたいと考えています。

井関 全国に先駆け、低圧部門における経過措置料金の解除に向けた議論が進んでいます。

横田 国の有識者会合において、「解除に向けた蓋然性が高まった」という判断が示され、次のステップへ進みつつあります。当社としては、自由化に向けた内外無差別な卸取引など、国のガイドラインに沿ってしっかり取り組んできましたので、妥当な流れであると受け止めています。とはいえ、経過措置が外れて完全な自由化に移行するということは、競合他社との競争がこれまで以上に激しくなることを意味します。単に「電気を売る」だけではお客さまに選んでいただけません。長年培った信頼感と知名度を維持し、高圧・低圧にかかわらず全てのお客さまに対して「沖縄電力だから選ぶ」と言っていただける価値を提供していかなければなりません。電気と一体となってガスや熱供給を含めた顧客ニーズに合わせた総合的なエネルギーの提案を行っていきます。経営の自由度が増す分、今まで以上に気を引き締めて、競争を勝ち抜いていく覚悟で臨みます。

2024年に運転を開始した牧港ガスエンジン発電所

離島含む安定供給の使命 非常に高度な系統運用も

井関 沖縄は本州と送電網が繋がっていない「独立系統」であり、多くの離島を抱える特有の難しさがあります。

横田 まさにそこが一番の課題であり、当社の使命の核心です。本州であれば他社や他地域からの電力の融通を受けることができますが、沖縄は完全な独立系統ですので、需要の変動や再エネの急拡大に対する調整力を単独で保有しなければなりません。石炭火力機は本土ではベース運転が通常であるところ、沖縄では、年間200回以上のDSS(日間起動停止)を行う年もあるなど、非常に高度な系統運用を行っています。さらに、需要の約1割を占める離島への電力供給を担うという重い責任があります。離島におけるユニバーサルサービスの維持費用は、現在、託送料金を通じて沖縄エリア全体で広くご負担いただいています。

さらに今後、低圧の経過措置料金が解除された場合のセーフティーネット(最終保障供給)についても、送配電部門が担う方向が示されています。私たちは、沖縄本島だけで自由化の競争をして効率性を追求するのではなく、離島を含めた沖縄県全体の成長を支える電力会社としての役割を果たしていかなければなりません。そのため、国の制度議論を注視するとともに、沖縄エリアの実情や離島を抱える地域特有の課題について引き続き丁寧に発信していきたいと考えています。

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