【特集2 ライフライン強靭化】予防保全支える新端末を導入 鉄塔の遠隔監視業務を進化させる東電設計
東電設計は鉄塔遠隔監視の新サービスを開始した。端末の改良により、予防保全の利便性が向上している。
東電設計は、鉄塔管理者向け遠隔監視センサー「DELI-FACT II」のサービスを7月に開始した。同サービスは鉄塔計測用の傾斜、振動、気象などの各センサーに通信機、太陽光発電を組み合わせた端末を設置し、データを携帯電話回線「LTE-M」を介してセンターへ伝送する。取得したデータを活用し、設備の予防保全と二次災害防止につなげる。
先代タイプ「DELI-FACT」が普及する契機となったのは、千葉県に大きな被害をもたらした2019年の台風19号だ。送電鉄塔の近くの土砂崩壊により基礎が露出するなどの被害が発生。東京電力パワーグリッドから補修状態を定量的に監視したいとの要望を受けて傾斜センサーを設置した。これが評価され、全国の鉄塔への採用が広がっている。
同社の強みは送電鉄塔の設計・調査事業から得た豊富な知見にある。これを基に独自の保安基準を設けており、この基準を超えた数値を端末が検知すると、携帯電話回線を通じて管理者にアラートを通知する。先代機では鉄塔が山間部の携帯電話回線の圏外にあっても、中継器を介したマルチホップ伝送を使うことで、傾斜データを送ることが可能だ。

軽量化・カメラ搭載で負担軽減 他インフラへの応用も視野に
後継機種の「DELI-FACT Ⅱ」では、初期型の端末は架台込みで20kgを超えていたのに対し、約1kgと大幅に小型・軽量化した。これにより、設置作業の負担を軽減し、メンテナンス性も高めている。また、顧客から要望の多かったカメラを標準搭載し、傾斜などの数値データを画像で裏付けできるようにした。画像で現場の状況を把握し必要な装備を持って出動できるため、保全業務の効率も上がっている。さらに、データ管理用サーバーをクラウド(AWS)に移行しスマートフォンで簡単に閲覧できるようにするなど、管理者の利便性も向上した。また、先代機に搭載されているマルチホップ伝送に画像データも追加できるよう開発中であり、さらにはAI 分析機能の実装も進めている。
同サービスの普及には、災害の激甚化と保安人材の不足・高齢化などが背景にあった。こうした課題は他のインフラにも存在する。同社は、河川や盛り土、太陽光発電所などの保守への展開も視野に、ニーズに応じた開発を進めていく考えだ。


