【特集2】バイオマス業界の変化 重要視される「持続可能性」

2021年7月3日

林野庁林政部木材利用課の山下孝課長補佐(木質バイオマス推進班担当)は「現状ではFITのみで投資回収が可能なため、事業者が卒FIT後に事業を行える環境をつくる上でも熱を利用することは重要。FIT期間終了後も林業が活性化し、地域に根付いた施設になるように政策を展開していく必要がある」と話した。

一方でPKSをはじめとした輸入バイオマスについても、第三者認証を取得した燃料のみFITの対象になるよう制度が変更された。国内産、海外産ともに、バイオマス発電が持続可能性のあるものになるべく進化を続けている。

進む地域エコシステム事業 地域活用電源として活用

国産バイオマスの積極的な活用には、官民の協力が不可欠だ。両者の橋渡し役となるべく、農水省は「地域内エコシステム」事業を進めている。

地域内エコシステムとは、地元で産出する森林資源が地域内で持続的に循環するエコシステム(経済圏)の構築を支援する事業。発電ではなく、ボイラーや薪ストーブによる熱利用・熱電併給を推進する事業で、17年度からスタートし現在は31の地点で協議会が立ち上がった。

既に奈良県天川村ではボイラーの導入も決まっており、このほかにも本格操業を控えている地域もあるという。山下課長補佐は「地域によって課題は異なるが、都市計画に関わる行政の協力は必須だ。

今後もさまざまな事例を他地域に展開できるように自治体と事業者・需要家をつなぎ、事業の相談やサポートなどを行えるプラットフォームを目指していく」と説明する。 国内林業の振興とともに、真の意味で地産地消が実現すれば、地域に根差した分散型電源としてもバイオマス発電が重要な役割を担っていく。

ベースロードを担うことができる再エネの中でも高い稼働率を誇り、国内の産業振興および地方創生、さらに地域のレジリエンス(強靭性)を強化する観点からも、バイオマス発電にかかる期待は間違いなく大きい。

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