【特集2】主力化を支える「良い再エネ」 多様な発想と技術で「共生」へ

2022年1月3日

【インタビュー能村幸輝/資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギー課 課長

プッシュ型情報発信で自治体と連携 「30年36~38%」へ健全な普及を目指す

太陽光発電所の乱開発防止に向けて政府は各種方針を打ち出した。 再エネ電源比率「36~38%」の難問をどう実現するのか。

―政府は30年までに電源構成のうち再生可能エネルギー比率を36~38%まで高める目標を掲げています。核となる太陽光発電のさらなる普及に向けた方策は。

能村 法令の順守など参入企業に事業規律の順守を求めると同時に、省庁が事業者・自治体・住民の架け橋になることが重要です。FITの申請情報を自治体と共有する、認定情報のマッピング、自治体が定めた条例のデータベース化など、プッシュ型の情報発信を行うことで、関係各所のコミュニケーションの質を高める取り組みを今夏からスタートしました。健全な太陽光導入に資する取り組みを自治体とともに進めます。

―産業界でも再エネ電源を採用する企業が増えています。非FITの太陽光普及に何が必要か。

能村 製造業だけではなく、情報通信業やサービス業でも、グリーン電力証書の採用や需要家と発電事業者が一緒になって再エネ電源を設置するコーポレートPPA(電力購入契約)の取り組みが加速しています。さまざまなエネルギー事業者がビジネスに参入することで、市場の活性化や再エネ導入コストの低減にもつながります。経済産業省としても需要家主導による太陽光設備の導入補助を行うなどして、再エネ導入に取り組む企業を支援します。

熱・電気需要の最適化へ 分散型システム構築を支援

―太陽光とガスエンジンやバイオマス、ガスコージェネレーションを組み合わせた、分散型エネルギーシステムが各地で始まりました。

能村 マイクログリッドなど分散型エネルギーシステム導入は、地域の防災力を高める意味でも大事な取り組みです。これからは電気需要・熱需要を別々に考えるのではなく、カーボンニュートラル(CN)を実現するという観点から、全体を最適化していかなければなりません。分散型システムへの構築支援のほか、環境省や農林水産省、国土交通省などの関連省庁と連携しながら検討します。

―30年電源構成目標や50年CN実現への意気込みを。 能村 太陽光を増やすためには適地の確保に加えて、軽量式の「ペロブスカイト型太陽電池」といったブレークスルー技術の開発も求められます。また再エネ全体では洋上風力のポテンシャルを実現することも求められます。これらの取り組みを積み上げることで政府目標を実現します。

FIT認定情報を地図化する取り組みを開始した

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