【四国電力 長井社長】エネルギー情勢混迷の中 リスクマネジメント強化で 電力安定供給を維持する

2022年6月1日

志賀 CNにおけるエネルギーのベストミックスをどのように考えていますか。

長井 原子力の安定稼働や既存水力の最大限の活用に加え、風力・太陽光などの再エネの導入拡大に努めています。特に、再エネに関しては、30年度再エネ開発量を50万kw、50年度200万kwと高い目標を掲げています。火力については、高効率ユニットへのリプレースを進め、将来的にはアンモニア、水素の活用などにより、低炭素化・脱炭素化を目指します。

志賀 「30年再エネ開発量50万kw」の目標は「よんでんグループ中期経営計画2025」に掲げたものです。この計画の狙いは。
長井 「よんでんグループ中期経営計画2025」は、デジタル技術の進展や脱炭素化、分散化などによる電気事業の構造的変化に加え、人口減少や少子高齢化などに伴う社会的課題が顕在化していく中で、「エネルギーを中心として、人々の生活に関わるさまざまなサービスを高い品質で提供し続けることにより、快適・安全・安心な暮らしと四国地域の発展に貢献する」というグループミッションを実現していきたいとの思いを込めて公表しました。

志賀 中期計画の中で特に力を置く事項について教えてください。

長井 現行の中期経営計画のポイントは大きく二つあります。
 一つは、長期目標として30年度における利益目標を掲げ、電気事業と電気事業以外の事業で2分の1ずつの利益獲得を目指すことです。電気事業については発電・販売事業と送配電事業に分け、電気事業以外の事業については、情報通信事業と国際事業とその他事業別にブレイクダウンした上で、それぞれ25年度の利益目標と重点取り組み事項を定め、目標志向で取り組むこととしています。
 もう一つは、ESG(環境・社会・ガバナンス)を軸に持続的な企業価値創出の取り組みを再整理します。それとともに、中期経営計画の期間を超える長期重点課題として、「CNへの挑戦」と「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」を掲げ、今後も積極的に取り組みます。

志賀 今回の中期計画は若手社員のみならず地域社会、四国電力を志す若者への良いメッセージになったと思います。

長井 従来の新入社員は四国出身者が多数でしたが、最近はIターン、四国外から就職する若者も増えてきました。仕事が面白そうだという声や、四国の住みやすさを挙げる人も多くいます。コロナによる分散化もあり、都会での仕事を、生活しやすい環境でできるのが魅力なのだと思います。

志賀 その中でどのような企業でありたいと考えていますか。

長井 四県それぞれの特色を生かしながら、四国全体の活力を高める存在でありたいと考えています。四国に根差し、地域の暮らしや産業を支える企業として、県をまたいでいろいろな働きかけを行う役割を担っていきたいです。

志賀 経営基盤や企業の体力的にも、それができるのは四国電力しかいないと思います。本日はありがとうございました。

対談を終えて

ロシアのウクライナ侵攻でエネルギーセキュリティーの確保、電力の安定供給第一が何よりも重要と痛感した。今後のエネルギー政策については、原子力発電の必要性を明確に発信し、再エネ導入実施にはスケジュールに留意、既設火力への目配りが重要と主張が明快。日本を覆う電力供給不足の事態には、西日本全体で必要な予備力確保で臨む姿勢を見せる。その下で四国全体の活力を高める企業として、県をまたいだ役割があると自覚。思いが熱い。(本誌/志賀正利)

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