【特集2】「夢の絆」オープンで他業界から注目 ニチガスが取り組むDXのすゝめ


【ニチガス】

デジタル技術の粋が詰まった「夢の絆・川崎」をオープンさせるなど、「データ×エネルギー」の分野でひときわ異彩を放つニチガス。 同社のDX戦略はエネルギー業界を変革させる可能性を秘めている。

3月16日にオープンした「夢の絆・川崎」

3月16日にオープンした「夢の絆・川崎」を筆頭に、IoT機器「スペース蛍」、自社運用クラウドサービス「雲の宇宙船」など、ニチガスはLPガス業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)化を強力に推進している。夢の絆では容器の仕分け、ガス充填、配送車への積み込み指示、車両の管理―をはじめとしたLPガス充填所で行う一連の業務全てについて、無人かつ自動化を図っている。

配送車やLPガスボンベは全てバーコードによるタグ付けがされており、基地内の各所に設置された赤外線カメラでバーコードを読み取り、その残量に合わせてボンベが自動的に仕分けされる。さらに、配送車にどのボンベを何本積むのか、関東を中心とした各地に立地するデポステーションに何本降ろすのか、デポステーションから各需要家への配送ルート案内など、配送員への指示も全てアプリ上で完結する。設備のDX化を徹底的に図ることで業務効率化を成し遂げているのが、ニチガス最大の特徴だ。

鍵握る10TBのビッグデータ 新技術を織り込み設備設計

3月中旬の夢の絆の運用開始から2カ月弱が経過したが、本基地をはじめとする同社システム設計を手掛けた情報通信技術部の松田祐毅部長は「設備面ではひと段落したところですが、システムや設備が完成したら終わりではありません。きちんと運用し、当初期待していた通りの成果を得ることが本当に重要なことなので、まだまだこれからです」と、今後の運用に気を引き締めている。

配送業務のDX化の鍵を握るのが、各所から集められた多様なデータだ。同社は需要家宅のLPガスボンベに設置する「スペース蛍」で、ボンベ残量、需要家のガス使用量をセンシングしており、収集したデータは「雲の宇宙船」へと転送される。これらビッグデータは、夢の絆や、各デポステーションや従業員向けのアプリで有効活用されている。

スペース蛍(右下)