【沖縄電力 横田社長】将来の価値創出に向け 設備投資を着実に進め 強固な基盤を作り上げる

2026年9月2日

燃料価格高騰や小売り料金規制の見直し、そして脱炭素化への要請など、課題が山積する中で社長に就任した。

設備投資と業務効率の改善を進め、価値創出に向けた基盤を構築する。

【インタビュー:横田 哲/沖縄電力社長】

よこだ・てつ 1991年琉球大工学部電気工学科卒、沖縄電力入社。取締役送配電本部電力流通部長、取締役常務執行役員・IT推進本部長、副社長・経営戦略本部長などを経て2026年4月から現職。

井関 4月に沖縄電力社長に就任しました。どのような思いで引き受けましたか。

横田 打診があったのは年が明けた頃でした。全く想像もしていなかったことで非常に驚きましたし、即座に返事をすることができず「少し考えさせてください」と伝えるのが精いっぱいでしたね。その後、家族にも相談しながら1週間ほど悩み抜きました。最終的に引き受ける決め手となったのは、当社が直面している課題の性質と、自分自身のキャリアが合致していると思い至ったからです。私は入社当初から送配電部門で鉄塔巡視や設備の更新作業、基幹系統の建設現場での検査といった技術の現場を歩んできました。当社は現在、送配電部門だけでなく、発電側でも老朽化した設備の更新時期を迎えており、設備投資が非常に膨む時期にあります。同時に、脱炭素に向けた取り組みも進めていかなければなりません。さらに、2022年のウクライナ危機で燃料価格が高騰し、当社の財務基盤が大きく毀損してしまっている状況にあります。こうしたバランスを考慮しながら確実に対応していかなければならない重要な局面において、一つひとつ丁寧に課題を解決していくことが今の時期に求められているのではないか、現場で鍛えていただいた私だからこそできる対応があるのではないか―と考え、バトンを受け取る決意をしました。

また、これまでAIやDX(デジタルトランスフォーメーション)の活用による業務効率化、資機材調達の効率化を図る「PXプロジェクト」などにも携わってきました。物価高騰が続く中で適切な資機材調達を行うため、現場と調達部門が一体となった改革に取り組み、成果を上げています。この取り組みを調達分野に留めることなく、全社的な業務効率化へと推し進めていく役割を担っていきたいと考えています。

業務効率改善に成果 4期連続の増配を発表

井関 25年度の業績は減収増益となり、業務効率改善の成果が着実に出ている印象です。

横田 中期経営計画における25年度の連結経常利益120億円という財務目標には届きませんでしたが、厳しい事業環境下で81億円の連結経常利益を確保できたことは一定の成果だと捉えています。目標未達の背景には、想定以上の物価高騰がありました。資機材によっては20%以上値上がりしており、それらが利益を圧迫しました。一方で、株主還元については、財務基盤が着実に回復してきたことを踏まえ、26年度の年間配当予想を前年度から20円増配の1株当たり50円としました。今後も安定供給や成長投資、財務状況とのバランスを図りながら、DOE2・0%以上を維持する方針のもと、安定的かつ持続可能な株主還元に努めていきます。

井関 足元ではイラン情勢などの燃料調達や価格面への影響が懸念されています。

横田 当社はLNGをオーストラリア、石炭をオーストラリアおよびインドネシアから調達しているので、ホルムズ海峡の封鎖などが調達を直接的に脅かすことはありません。とはいえ、価格面での影響は避けられません。石油価格の上昇に連動してさまざまな物価が上がっており、世界的な船舶用燃料のひっ迫などにより、輸送コストへの影響も生じています。特に当社の場合、離島での発電燃料の全てが石油です。石油自体は国内の製油所からしっかり確保できているため調達量の問題はありませんが、価格面での影響を注視している状況です。

井関 新たな中期経営計画がスタートしました。

横田 県内の経済団体などが主導する「GW2050 PROJECTS」において、50年に向けた沖縄の成長戦略として、県内総生産を現在の約4・9兆円から11兆円規模に拡大していくといったビジョンが示されています。当社もこの動きと連動しながら成長していくに当たって、26年から30年までの足元5年間を「未来基盤創造フェーズ」、その後は「価値創出フェーズ」へと移行し、50年のありたい姿の実現を目指します。2段階に分けたのは、送電網の増強や供給力の確保といった成長に必要な設備投資が目白押しだからです。利益を確保しながらしっかりと投資を行い、まずは電気事業における強固な基盤を作らなければ、将来の大きな需要を取り込む「価値創出」を実現することなど、とてもできません。

井関 未来基盤創造フェーズにおける具体的な取り組みは。

横田 主に四つの経営テーマを設定しています。一つ目が、発電・送配電・小売の各部門でサプライチェーン全体を強化し、安定供給と収益力の向上を両立することです。二つ目が、AIやデジタル技術を活用する「AX」によって業務オペレーションの改革を進めること。三つ目が、低炭素化に向けた沖縄エリアの「ジャスト・トランジション」を進めることです。24年に運転を開始した牧港ガスエンジン発電所(浦添市、4万5000kW)に続き、牧港火力発電所では、天然ガスを燃料とする高効率な新規電源(約13万kW)を、32年度中の運転開始を目指しています。そして四つ目が、 沖縄の成長と連動し、まちづくりや新産業の創出などグループの強みを生かした事業領域の拡大を進めることです。

未来基盤創造フェーズを経て価値創出フェーズへ

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