【原子力】需給シナリオ分析 原子力の増加を想定せず


【業界スクランブル/原子力】

第7次エネ基を議論中の基本政策分科会で、6機関がシナリオ分析の結果を提出した。2040年にCO2排出量を13年比73%減とすることを前提にコスト最小の配分を探るもので、変数は再エネ技術革新、水素・アンモニア普及、CCS活用である。いずれの機関も5割以上の再エネ拡大を必要とし、CO2限界削減費用、エネルギーコストは上昇せざるを得ないとしている。「73%減」だけが一人歩きし、コスト上昇の問題がマスコミ報道から消えてしまうことを懸念する。

分析では原子力の発電比率はおおむね20%に固定され、変数とされていない。新増設のファイナンスを支える制度導入にまだ年数を要すると考えると、暗たんたる気持ちになる。一方、地球環境産業技術研究機構(RITE)の参考資料に載る原子力ゼロシナリオでは、電力コストが数割上昇し、CO2限界削減費用は倍増するとしている。つまり逆に原子力を20%から増やせば、日本全体の電力コスト低減、国際市場での産業競争力の改善につながるのだ。女川、島根とBWR再稼働が加わり、原子力の比率増に伴うCO2排出量と電力コストの低減、供給危機回避が実績として表れ、国民の納得を得られることを期待する。

第7次エネ基策定における経済産業省の最大の挑戦は「原発依存度を可能な限り低減する」という文言を消せるかどうかにある。水面下で奮闘中だろうが、新たな政治情勢のもとでいかなる結果となるか、それは間もなく明らかになるはずだ。新設は廃炉と同一サイトでなくとも、同一会社の保有サイトであれば良いとするのが精一杯の前進なのだろうか。(H)

【シン・メディア放談】一般紙記者注目の2025年動向 政治・エネルギーニュースを大予想


〈エネルギー人編〉大手A紙・大手B紙・大手C紙

振り返ればさまざまなニュースがあった2024年。

続く25年を一般紙記者はどう見通すのか。

―2025年6月に新潟県の柏崎刈羽原子力発電所6号機に燃料装荷すると東京電力が発表。政府も対応を加速させている。

A紙 現地の記者に聞くと、24年2月頃から政府や県の動きが活発化し、詳細な報道が増えてきた。また、さまざまな世論調査で再稼働に賛成と反対が5分5分に近づいてきた。新潟日報の衆院選時の世論調査も興味深い。全体は反対46・5%、賛成36・2%だが、30代では賛成が46・1%となり、現役世代の方が賛成が多くなっている。

B紙 東京から見ると、花角英世知事の姿勢が明確でない。県議会も慎重姿勢で、東電や政府の焦りは感じるが、急速に物事が進むようには思えない。キーマンは知事かと思うが、衆院選の新潟小選挙区での自民候補全敗がどう影響するだろうか?

A紙 今、衆参で自民党議員は2人となり、しかも党の中枢にいる人はゼロ。花角氏は基本、自民のバックアップで選挙をやってきた。特に花角氏が官僚時代からパイプがあったのが引退した二階俊博氏。しかし状況が変わり、政府の意向が県に伝わりにくくなったと言えそうだ。しかも新潟は県議の力が強く、ベテラン中心に再稼働慎重派がいる。25年7月に任期満了となる参院選を控える中、花角氏が「県民の信を問う」方法はやはり知事選になるが、動きづらくなっていることは事実だ。

―26年6月任期満了となる次の知事選まで花角氏が判断を示さないのでは、との見方もある。

A紙 市町村長との非公開の懇談会で「県の判断はいつになるのか」との質問に対し、花角氏が「次の知事選より前には県民の意思が固まるのでは」と答えたという。つまりお尻が決まった感じだ。

ただ、私は25年春に一つの山場が来ると思っている。花角氏の指示の下、県民が判断するための議論が広範にわたり行われ、その結果が3月末に出そろう。となれば、何らかのアクションを迫られるのではないか。


いよいよ柏崎動くか 連立組み変えの行方は?

―24年も足早に過ぎ去った。印象に残ったニュースは?

B紙 女川2号機、島根2号機とBWR(沸騰水型炉)が動き出したこともあるが、一番大きかったのは敦賀2号機の基準不適合だ。また、六ヶ所再処理工場は27回目の完成延期が発表された。日本原子力発電と日本原燃、2社の在り方を真剣に議論してほしい。そして、脱炭素にブレーキをかける燃料油補助金を継続させ続けることも、いい加減にやめてほしい。

A紙 原子力を取り巻く変化は確実にあった。衆院選の公約を見ると、共産以外は再稼働に基本賛成。特に立民は野田佳彦氏が代表になったこともあり、既存原発の稼働は条件付きで容認した。そして、エネルギー基本計画では原発のリプレース方針に踏み込んだ。

C紙 メディアや市民団体のトーンも変わってきた。使用済み燃料の乾式貯蔵などに市民団体が意外と騒がなくなり、「原子力がなくても乗り切れた」報道も盛り上がらず。また、NDC(国別目標)を決める審議会で環境省側の委員のハチドリ電力社長が「欠席時に意見書を出そうとしたら止められた」と訴えたが、朝日でもかつてのようにキャンペーンを張らなかった。

B紙 25年は数十年ぶりの衆参同時選挙となるのかが焦点だ。各党連携の在り方を模索しており、立民と維新が選挙区を調整し始めたら面白いね。

C紙 少数与党ともなれば普通は多数派工作をする、あるいは石破茂首相は辞めているはずだが、森山裕幹事長は何も動いていない。いろいろなオプションがあるのに、本予算を人質に3月に政局が起きるのを待っているようにしか見えない。

―その他の注目点、あるいはニュースを大胆予想してほしい。

C紙 まず、予算がどのタイミングで通過するのか。立民の安住淳・予算委員長は今、優等生然としているが、今後暴れるのか。その後も自民をがたがたにするカードとして夫婦別姓がある。エネルギーとは無縁そうだが、閣議決定した新エネ基を動かす段階で、自民党に一悶着あると大変だ。

ズバリ予想するなら、参院選を見据えた連立組み替え。自・公・国、あるいは考えにくいが立・維主導で自民が割れるという展開もゼロではない。

A紙 大胆に予想すれば、柏崎6号機の再稼働方針が決まるのではないか。先に燃料装荷した7号機は10月に特重(特定重大事故等対処施設)の期限が来るため、東電は6月に燃料装荷予定の6号機優先に切り替えるように思える。また、先述のように議論疲れがある。花角氏はぶら下がりでも強硬な姿勢の時があり、やる時はやる人のようだ。さらに避難道に関する議論が市町村長を交え進んでおり、具体化していけば首長が「再稼働反対」とは言えないだろう。

B紙 いや、個人的には柏崎は国政に振り回され、苦しい状況が続くように思う。それより、北海道電力の泊3号機は審査がかなり前進した。また、東北は女川3号の審査をなぜ申請しないのかな。どうせ動かすなら新しい方がいい。そして先ほど指摘した原電、原燃のトップをいつまで東電が出し続けるのか―。最後に、エネ基でリプレースに踏み込んだけど、タイムリミットはもう過ぎていると思う。それでも電力会社がメリットを享受できる仕組みを作れるのか、政府の手腕が問われる。

―25年も喧々諤々のメディア放談をお届けできるよう、引き続きお付き合い願いたい。

【石油】ガソリン補助の段階的削減 混乱防止へ周知を


【業界スクランブル/石油】

石油元売り・販売業界は、難題に直面している。2024年11月決定の総合経済対策で12月19日と25年1月16日に約5円ずつ2段階の「ガソリン補助金」縮小が決まったことで、石油業界はサービスステーション(SS)などの小売価格への計10円前後の値上げが必要になる。一度に5円の2段階転嫁が可能か、消費者や需要家に受け入れられるかが、大きな問題だ。

業界全体で製品価格5円の価格転嫁は、月間収益約500億円に相当するから頭が痛い。対策には、補助金の段階的縮小と新年以降の延長がセットで明記されたが、報道では「燃料油価格激変緩和補助金」の延長だけが前面に出ており、縮小を報じる向きはごく少数。対策には2段階の補助率縮小は明記されたが、それが5円の値上がりに相当するとは書いていない。手取り増加と物価対策が目的の対策なので、物価上昇の話は書けなかったかも知れない。国民民主党にすれば値上げは「話が違う」ということになる。

補助金が縮小する直前の仮需(買い急ぎや駆け込み購入)も心配だ。石油商社や独立系特約店がタンクローリーを手配したとの噂も聞こえてくる。直前は発注が急増するだろうし、SSには給油待ちの行列ができるであろう。現場で混乱が起きないか不安だ。

補助金は、灯油や軽油、重油、ジェット燃料向けにも支給されている。このため暖房需要期の灯油、ハウス栽培や漁船で使う重油の値上げも憂慮される。トラックやバスなどの物流コストの上昇、航空運賃のサーチャージ値上げもありうる。国民は穏やかな新年を望んでいる。混乱防止には、製品価格値上げの事前周知が必要不可欠だ。(H)

【コラム/1月20日】仕掛けの24年から仕込みの25年へ


加藤真一/エネルギーアンドシステムプランニング副社長

2025年が明けて、はや3週間ほど経つが、国内のエネルギー業界は昨年末までの慌ただしさから一服して、落ち着きを見せている。
昨年末には、GX2040ビジョン、第七次エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画と、令和の政策3本柱とも言える政策の原案が提示され、パブリックコメントが1月下旬まで行われている。

24年は、その他の制度設計も忙しなく行われてきたことは、このコラムでもお伝えしているが、今回は、昨年の振り返りと今年の展望を記していく。


24年の審議会はどのようなものだったか

著者は、毎月、経産省(資源エネルギー庁含む)と環境省を中心に審議会の動向を追っているが、24年の1年間の特徴を整理してみた。

ご存知のとおり、各審議会は、毎回、複数の議題の報告や決議が行われているが、それらを各月、電力のバリューチェーンとその他関連キーワードで分類してみた。全体的にバランスの取れた議論が展開されているが、カーボンニュートラルや脱炭素が、ある意味、デファクト的に織り込まれるようになっており、全体に占める割合も2割を超えている。

電力バリューチェーンでは、やはり再エネの話題が多く、それに紐付く系統増強や運用面が関わることから送配電分野の議論も活発である。


24年度第三四半期は取りまとめと足元の制度の並行運用の季節

直近の四半期である24年10〜12月は多くの取りまとめが行われたほか、足元の制度設計や例年通り、多くの入札が行われた。

第3四半期の政策・制度設計の状況を見ると、大きく4つのポイントに整理される。

まずは、今後の政策の柱に関する取りまとめ作業・議論が加速したこと。言わずもがな、上述の3つの政策・計画が取り纏められたことが挙げられる。他にも、付随して26年度から本格運用が始まる排出量取引制度の制度設計や同じく26年度から実行フェーズに入る地域脱炭素のあり方、政府実行計画、ペロブスカイト太陽電池に代表される次世代太陽電池の戦略、30年度半ばから後半にかけて排出ピークを迎えるとされる使用済み太陽光パネルのリサイクルのあり方等が整理された。

2つ目は、足下の制度設計・運用は着々と進展していることである。例えば、昨年の通常国会で成立・公布された水素社会推進法やCCS事業法の具体設計や、事業用のFIT・FIP太陽光発電を卒FIT・FIP後も長期に活用するための新たな認定制度、託送料金レベニューキャップ制度の第1次規制期間初年度の期中評価等が挙げられる。

転換期の世界の勢力図〈上〉ウクライナ・中東で新展開


【ワールドワイド/コラム】国際政治とエネルギー問題

2024年は分断と統合が同時進行した。BRICSは拡大する一方、G20(20カ国・地域)あるいはグローバルサウス諸国が目指す方向は一つではない。エネルギー動向に関してはクリーン化の流れは変わらない中で、エネルギー価格は横ばいで推移した。その中で原油価格動向を見ると、OPECプラスは12月5日、閣僚級会合を開催し、日量220万バレルの自主減産に関し、減産幅の縮小開始を25年1月から4月へと延期することを決めた。

エネルギー資源の増産を唱える米国のトランプ次期大統領就任後の原油価格への影響を見定める構えだ。米国新政権は、エネルギー開発の規制撤廃と再生可能エネルギー向けの税額控除廃止を打ち出しており、燃料供給増は中国の景気減速を主因とする燃料需要の停滞と相まって石油価格を下落に導く恐れがある。他方、産油国であるイラン制裁の強化で供給を引き締める可能性も指摘され、トランプ政権の政策がエネルギー価格にどう影響するのかが読みづらい年明けとなった。

では、国際政治の主要な懸案であるウクライナと中東に対し、25年、国際社会はどう対応しようとするか。ウクライナに関しては、トランプ氏の再登場で、ロシアが侵攻を断念する可能性は基本的に遠のいた。日々の戦闘がなくなり、紛争凍結のシナリオはあり得るとしても、ウクライナが奪われた領土を取り戻すことはなくなった。未来志向で、ウクライナへの侵攻を許してしまった過ちを繰り返さない方策を考えることが重要である。ウクライナ国内に西側諸国の部隊を派遣し、ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加盟構想を維持すれば、ロシアが再び攻撃することは防げる。換言すれば、こうした措置が採られない限り、紛争凍結の後、ロシアが再びウクライナを攻撃するのを抑止することはできない。

目を中東に転じると、中東地域の鎮静化のシナリオが進行している。ガザでは、鎮静化の兆しは既に現れている。イスラエルにはもはや攻撃する標的が多くは残存していない。多くの指導者を殺害し、トンネルを爆破し、ミサイルや兵器の保管場所を破壊した現在、イスラエルにとって大規模な軍事作戦は終了した。

ガザとは異なりレバノンについては、いまだそこまでには至っていないが、早晩同じ状況がもたらされる公算が大きい。イランは、イスラエルにとって大敵であり続けるが、両国は国境を接しておらず、エネルギー問題との接点でいえば、両国の軍事作戦の展開により、ペルシャ湾の原油航行に支障を来さない限り、重大な原油供給問題へのエスカレートは考えにくい。

注目がシリアに移るや否や12月8日、反政府軍の進攻開始後わずか12日でアサド政権が崩壊した。ダマスカスの制圧はシャーム解放機構(HTS)が主導したが、国内勢力の分布はモザイク状態である。新たな国造りには紆余曲折が予想され、注視する必要はあるものの、国際エネルギー供給の基本的構図は当面変わらない。

(須藤 繁/エネルギーアナリスト)

「死の谷」にとらわれる欧州石油メジャー


【ワールドワイド/コラム】海外メディアを読む

英紙フィナンシャルタイムズは2024年12月11日、「BPとシェルは『死の谷』から脱出するため電力事業の野望を抑制」と題する記事を発信した。記事では、欧州の石油メジャーであるBPとシェルが、電力業界の大手になるために5年間で合計180億ドルを費やしたものの、現在では進捗の遅れと懐疑論の広がりを受け、電力事業を縮小させている実態について報じている。

シェルは19年に世界最大の電力会社になるという目標を掲げ、30年代までに電力収入が石油・ガスからの収入と同等になるとした。BPは翌年、大胆な移行計画を打ち出し、30年までにグリーンエネルギーへの支出を10倍の年間50億ドルに増やし、再生可能エネルギー事業を20倍の約5000万kWに拡大すると約束した。

しかしその後、シェルは約118億ドル、BPは約68億ドルを電力事業に費やしたものの、株主の期待に応えるほどの優位性を発揮できず、既に多くの事業で規模を縮小させている。特に、金利上昇やインフレのあおりを受ける洋上風力開発については、シェルは新規事業から撤退、BPは日本のJERAとの合弁事業に移行させると発表している。他の欧州の石油会社も同様に電力や再エネ事業の見直しをしている。あるエネルギー業界のトップは、これらの石油会社は、従来の化石燃料支持派の株主と、新たな気候変動支持派の株主の間にある「死の谷」にとらわれていると述べた。

現在の株主はグリーン比率が20%に達した時点で売却するだろうが、新規株主はグリーン比率が50%に達するまで買わないので、その間に「死の谷」があるのだという。

両社の戦略の変化は、上場石油会社がエネルギー転換を行うことの困難さをあらわしている。

(大場紀章/ポスト石油戦略研究所代表)

【ガス】天然ガス復権が世界的潮流 どうする日本?


【業界スクランブル/ガス】

一方向に極端に振られた振り子は、バランスを取り戻すために揺り戻しを起こすものだ。まさに、脱炭素化の動きがそうした状況にある。典型的な事例がEVの勢いの鈍化だ。欧米自動車メーカーは極端なEV移行戦略からハイブリッドを主力化する現実路線へと軌道修正を進めている。

天然ガスを取り巻く環境も同様だ。トランプ次期米大統領は天然ガスの段階的廃止などバイデン政権下で制定された気候変動関連法や規制を見直す意向を表明している。豪州政府は2024年5月に「将来のガス戦略」を発表し、再エネへの移行を支えるために、50年以降も天然ガスの役割を維持するバランス戦略を明確に打ち出した。

欧州でも脱炭素化を推進しつつエネルギー安全保障を実現するため、再エネと天然ガスを組み合わせたバランス戦略へ移行、LNG輸入を増加させている。アジアも経済成長と脱炭素化の両立に向けLNGを将来の重要なエネルギーと位置付けている。上流側のシェルやエクソンモービルも、脱炭素化推進と収益性確保を両立させるため、再エネ投資一辺倒を改め天然ガス開発投資を復活させている。

一方、日本を見ると、将来の天然ガスの位置付けがいまだ明確になっていない。現在、「第7次エネルギー基本計画」策定に向けて作業が進められている。今後エネルギー需要拡大が予想される中、原子力発電所の再稼働は進んでおらず、日本ガス協会の内田高史会長が10月の記者会見で述べたように、天然ガスをエネルギー安定供給と脱炭素化実現の「最有力の手段」として、エネ基に明確に位置付けるべきである。(G)

【新電力】電源の脱炭素化へ FIP活用の着想に注目


【業界スクランブル/新電力】

温室効果ガスの削減目標として、2035年に13年度比60%減、49年に73%減という案が示された。カーボンニュートラル達成に必要な削減のレベル感を、数字に落とし込んだ形である。現行のエネルギー基本計画は、30年に13年度比46%削減するという21年の地球温暖化対策計画をにらみながら策定されたものだが、今回、さらに踏み込んだ目標の目線案が出たことで、第7次エネ基における再エネ・原子力比率に求められる水準が定まったと言えるだろう。現行エネ基の達成が不安視される中、実効性のある計画と対応が出てくることを期待したい。

脱炭素電源の導入促進につながるのは「Non―FIT/FIP」を活用した、持続可能性の高い再エネの活用である。その実現のために小売電気事業者が果たす役割は幅広くあるが、FIT電源とは異なり非化石価値を需要家が自ら評価し、自らに帰属させる「Non・FIT/FIP」の活用を促すようなビジネスモデルの推進が、より重要視されていくことになると考えられる。

FIPはいまだFITに対して2%程度の導入量にとどまっており、その活用の難しさが数字にも表れている。これを受け、政府は、国民負担を増やさないことに留意しながら、25%程度になるまでFIPの活用促進を支援することを表明した。 発電事業者や金融機関による理解促進もさることながら、最終的にその電源を活用する小売電気事業者が、FIP電源を活用してどのようなメニューを需要家に届けることができるのか―。エネ基の改定を横目に、注目していきたいところだ。(K)

COP29の苦い結末 1・5℃目標の「死」は近い?


【ワールドワイド/環境】

2024年11月にアゼルバイジャンで開催された地球温暖化防止国際会議・COP29の最大の焦点は25年以降の新規合同数値目標(NCQG)を決定することであった。

NCQGの議論において途上国は自分たちの緩和、適応行動、損失と損害を含め、少なくとも年間1・3兆ドルを先進国が支払うこと、1・3兆ドルは譲許的な公的資金であること―などを要求した。対し先進国は、NCQGのドナーを能力のある途上国にも広げること、民間資金を含む多様な資金源から調達すること、受益国を小島しょ国、低開発国などのぜい弱国に絞ること―などを主張。具体的な資金援助目標については交渉終盤に2000億ドルという数字を提示したが、途上国は「冗談か?」と相手にしなかった。

最終的な合意は、①全ての関係者に対し、途上国への気候変動対策のための資金を35年までに、官民全ての資金源から年間少なくとも1兆3000億米ドルまで拡大できるよう協力するよう求める、②先進国が主導する形で、途上国に対し35年までに少なくとも年間3000億米ドルの気候行動目標を設定する―というものだった。1・3兆ドルに言及はされたものの、資金ソースも資金の出し手も大きく拡大され、途上国の主張する先進国からの支援は3000億ドルにとどまったため、インドなどは「この合意を受け入れられない」と強く反発した。他方、先進国はCOP28に盛り込まれた化石燃料からの転換、野心レベルの強化などのフォローアップといった緩和行動の強化を強く主張していたが、全く盛り込まれなかった。

このようにCOP29は先進国、途上国双方に強い不満を残す苦い結末となった。それでも合意したのは25年1月にトランプ政権が誕生し、温暖化防止に関する国際合意が難しくなるとの計算が働いたと言われている。しかし3000億ドルという数字の実現可能性も決して楽観できない。トランプの米国は資金拠出を一切しないだろうし、日本やEUが米国の肩代わりもできない。先進国からの資金援助が積み上がらなければ途上国のNDC(国別目標)の野心レベル引き上げも期待できない。もともと実現可能性のなかった1・5℃目標の「死」が、いよいよ明らかになるだろう。

(有馬 純/東京大学公共政策大学院特任教授)

英国で電力脱炭素化目標前倒し 道筋示されるも課題浮き彫り


【ワールドワイド/市場】

2024年7月の英国総選挙で政権交代を果たした労働党は、30年までの電力部門の脱炭素化を掲げている。化石燃料依存からの早期脱却を図り、低廉な電気料金を実現するとしている。

目標までの期間が短い中、労働党は政権発足直後から、再生可能エネルギー支援制度の予算増額や導入促進に向けた施策の見直しなどを実施している。

再エネプロジェクトへの投資を促進するため、再エネ発電公社の設立も予定している。公社の役割は、着床式洋上風力など成熟技術に民間プロジェクトの開発支援とサプライチェーンなどへの投資、グリーン水素製造や浮体式洋上風力などの未成熟技術に、先行投資・保有を通じた導入支援が想定されている。

他方、英国では10年代に老朽化した石炭火力や原子力が退役し、洋上風力を中心に再エネの導入が進んだが、調整電源としてのガス火力の重要性が増している。23年は発電シェアの約3割をガス火力が占めた。

前保守党政権はエネルギー安全保障を念頭に、現実路線として脱炭素目標を35年に設定、ガス火力の新設も厭わないとしていた。目標が前倒しされた現在、調整力の脱炭素化を短期間で如いかに実現するかが課題だ。

新政権に30年までの道筋を諮られた系統運用者は、11月に報告書を発表した。そこでは、洋上風力を最大限導入しながら調整力を需要側のフレキシビリティや電力貯蔵に頼るシナリオと、洋上風力をある程度導入しながら調整力をCCS(CO2回収・貯留)技術や水素発電の小規模な実用化に頼るシナリオの2通りが示された。いずれのシナリオも電化の急速な進展、国際連系線の活用、一部既存原子炉の運転延長、陸上風力の導入量倍増、太陽光の導入量3倍増、蓄電池の導入量4倍増などをベースとしている。既存のガス火力は厳冬期などにおける調整力の最終手段として維持されるが、年間発電シェアは5%以下となる想定だ。CCSや水素の実用化が前提となるが、既存ガス火力の脱炭素転換が本格化するのは30年以降とされる。

これらのシナリオでは30年時点の電力部門の排出量は500万CO2換算t程度となる見込みで、目標のおおよその達成とされる。報告書は、サプライチェーンを破綻させないよう、いかに必要技術の導入を同時並行で進めるかが課題と指摘している。英国政府は報告書を参考に近く政策をまとめるとみられ、その行方が注目される。

(宮岡秀知/海外電力調査会 調査第一部)

【電力】電力政策を歪ませる 不都合な真実


【業界スクランブル/電力】

「『原発〇基分の再エネ』と繰り返し報道される割には、石炭火力や原子力が減らないのはなぜ?」「なぜ欧州のように日本では洋上風力の開発が進まないの?」「今や一番安い太陽光発電(PV)が、もっと導入されないのはなぜ?」「再エネ普及に不可欠な送電網の拡充が遅れるのは誰のせい?」―。新たなエネルギー基本計画の議論と並行して、ちまたではこうした声が飛び交う。

本誌の読者なら「何をバカな」と言うレベルの話かもしれない。しかし考えてみると、例えばPVは設備能力の15%しか発電せず、火力や蓄電池がないと使えないと知る人は世の中に1%いるだろうか。PVの増加で昼間の電気は余りはじめていること、日本の洋上風力の設備利用率はせいぜい30%程度で欧州北海沿岸の約6割しかないこと、そしてその設備利用率の低さゆえ、大需要地までの長い送電線に投資をしても採算が極めて悪いことなどもほとんど知られていない事実であろう。

電力業界に関わる者ならば当たり前の前提であるにもかかわらず、政策決定の場ではほとんど議論されず、報道もされない。当事者の一角であるはずの大手電力会社は寡黙である。今や自ら風力・太陽光事業に関与するからなのか、再エネに否定的な発信は印象が悪いからなのか。はたまた、この手の話は業界出身のA氏やB氏に任せておけば良いとでも考えているのか。

政治家や官僚は“再エネ”という美しい言葉を決して手放さそうとせず、彼らから本当の話は聞こえてこない。このようにして、電力政策は軌道修正されるどころか、ますます歪んでいくような気がするのだ。(M)

急速な石油需要増の鈍化 中東情勢不安定化に懸念


【ワールドワイド/資源】

中国石油天然気集団(CNPC)傘下のシンクタンクCNPC―ETRIが、2024年12月12日に「世界・中国の石油展望」について報告した。中国の石油の輸送燃料需要はピークに達し、25年の需要は7・7億t(日量1546万バレル)と予測した。石化原料向けの需要は伸びているがEV販売シェアが自動車販売の5割を超え、LNG燃料トラックが増加したことで軽油需要の減少ペースが加速し、同機関の過去の予測に比べピークは5年前倒し、量も下方修正された。国家統計局によると1~10月の原油生産量は前年同期比2%増加したが、輸入量は3・4%減の日量約1109万バレル、精製処理量は2%減の日量1418万バレルだった。

中国の経済低迷、輸送分野のエネルギー転換、貯蔵インフラの充足などの構造的な要因による。公安局によると9月時点でEV、PHEV、FCV保有台数は1821万台で自家用車の5・5%に達した。ただし、輸送分野における石油代替の主役は天然ガス自動車である。石油消費の7割を輸入に依存(天然ガスは4割)しており、代替促進のため、自動車向けの天然ガス価格を軽油より低く統制した。その結果、天然ガス産地を中心にCNG車保有台数は600万台に増加。さらに近年の軽油価格上昇でLNG燃料トラックブームが起き、23年の販売量は20万台、保有台数は推計100万台に達した。

また原油、石油製品タンク増設により石油在庫は国家備蓄と商業在庫を合わせ米国並みの13億バレル(23年石油消費の約90日)前後で推移している。

さらに中国は30年排出ピークアウト目標実現のため、30年に原油精製処理能力上限を日量2000万バレル(23年は約1850万バレル)とする目標を設定している。精力的に製油所の新設を進めてきたが、27年以降の予定はない。政府は25年以降、日量4万~10万バレル以下の製油所50カ所以上、処理能力合計日量260万バレル相当の統廃合を段階的に進める計画だ。 中国は過去20年、世界の石油需要をけん引してきた。IEA(国際エネルギー機関)によると23年に世界の石油需要増加の8割に当たる日量170万バレルを占めたが、24年は15万、25年は21万と2割未満に減速する。次のけん引役と目されるインドの需要増加は日量20万バレル程度。急速な需要鈍化が一部資源国を追い詰め、中東情勢不安定化につながらないか懸念される。

(竹原美佳/エネルギー・金属鉱物資源機構査部)

【コラム/1月16日】原子力発電に関する世論の世界動向とわが国の課題


矢島正之/電力中央研究所名誉研究アドバイザー

最近、世界的に原子力発電を支持する世論が増大している。このことは、業界関係者には歓迎すべきものとして受け止められているものの、わが国の世論の実態を見ると、原子力発電に対するパブリックアクセプタンス(PA)は十分得られているとは言えない。本コラムでは、原子力発電に関する世論の世界動向とわが国における原子力PA向上のための課題について述べてみたい。

英国の調査会社Savantaが、20か国を対象に、2023年10月17日~11月14日に行った調査では、20,000人以上の回答者のうち、原子力エネルギーの利用への支持は46%、不支持は28%で、前者は後者の1.5倍以上となった(どちらか言えば支持、不支持を含む)。原子力への支持が不支持を上回る国は17か国で、世界で最も人口の多い中国とインドでは、支持が不支持の3倍以上となっている。エネルギー転換に際して重点を置くべき電源の選好に関しては、原子力は、陸上風力、木質バイオマス、CCS付きガス火力よりも高く、大規模太陽光よりも低い(大規模太陽光33%、原子力25%)。また、運転の安定性(信頼性)について肯定的な回答は66%に上る。そのうち原子力エネルギーの利用への支持は、不支持の4倍以上である。

原子力発電のコストについては、安価との回答が40%で高価との回答27%を上回っている。興味深いのは、過去に原子力発電の段階的廃止を決定したことのあるドイツ、日本、韓国、スウェーデンでは、安価との回答が高価との回答を大きく上回っていることである(ドイツ46%対20%、日本44%対15%、韓国51%対26%、スウェーデン54%対14%)。さらに、これらの国では、原子力は、大規模太陽光や陸上風力よりも安価と考えている回答者が多いことも特筆に値する。

また、健康への影響や安全性に関しては、回答者の79%が懸念していると回答しているものの、この回答グループでは、原子力エネルギーの利用への支持が40%と、不支持の33%を上回っている。さらに、原子力発電の利用国では、その維持を望む回答者は、廃止を望む回答者の3倍以上となっている。また、原子力発電を保有していない国では、新設を望む回答者は、禁止を望む回答者の2倍となっている。2023年12月のCOP28では、2050年までに世界の原子力発電能力を3倍にするという誓約が採択されたが、これは世界的な原子力に対する期待を反映したものといえるだろう。

原子力に対する支持が世界的に高まっているが、調査対象となった20か国のうち、不支持が支持を上回る国は3か国であり、それらは、日本、スペイン、ブラジルである。日本は、不支持40%に対して支持29%となっている。回答からは、わが国では、原子力の信頼性や安全性への懸念が大きいことがわかる。このことは、2011年における東日本大震災とそれに伴う原子力事故が影響しているようだ。

本調査からは、原子力PAの改善のためのヒントを得ることができる。調査回答では、世界的に、原子力発電の仕組みについて高い知識を有する回答者では支持が不支持を大きく(35%ほど)上回ることが示されており、知識の無い回答者では、支持と不支持はほぼ同数となっている。わが国については、原子力発電の仕組みについて高い知識を有する回答者では、支持と不支持がほぼ同数となっており、知識の無い回答者では、不支持が支持を20%ほど上回っている。このことは、原子力発電に関する理解レベルの深化が大変重要であることを示唆するものと言えるだろう。

ある目標達成のためには、一つではなく複数の手段を使うほうが効率的であることは明白である。一つだけの手段では、目標達成のための限界費用は著しく高くなるからだ。わが国では、CN達成のためには、再生可能エネルギーだけでなく原子力も主要な役割を担う。両者いずれかといった二項対立ではなく、利用可能な脱炭素電源は適切に活用していかなくてはならない。エネルギー転換を成功させるためには、必要となる技術の知識基盤の拡大と国民への教育が、必須条件となるだろう。


【プロフィール】国際基督教大修士卒。電力中央研究所を経て、学習院大学経済学部特別客員教授、慶應義塾大学大学院特別招聘教授、東北電力経営アドバイザーなどを歴任。専門は公益事業論、電気事業経営論。著書に、「電力改革」「エネルギーセキュリティ」「電力政策再考」など。

理想のSDV実現 遠く険しい道


【モビリティ社会の未来像】古川 修/電動モビリティシステム専門職大学教授・学長上席補佐

SDV(Software Defined Vehicle)には、いろいろなメリットがあると言われている。消費者にとっては、いちいちディーラーにクルマを持ち込まなくてもOTA(Over The Air)を利用して機能を向上させたり、新たな機能を取得できたりすることが挙げられる。また、自分の好みの特性にカスタマイズすることも可能となる。

自動車メーカー側にとっては、販売後も消費者とつながりを持つことで、継続的にいろいろなサービスを提供することで収益を得たり、運転データを取得・解析してその後の開発の指針を得たりと、新たなビジネスモデルの創出に寄与することも期待されている。しかし、このようなメリットを具現化するためには、さまざまな課題があることも事実だ。

SDVのメリット・デメリット

一つには、クルマの機能をソフトウエアで自由に設定できるという構造がもたらす、走行安全性の失陥への防護施策の困難さが挙げられる。ソフトのバグやハードウエアの欠陥、そしてサイバー攻撃などが、クルマの走行機能に直接影響することになるため、それが不安全性につながることを避けなければならない。そのためには、SDV機能を担うコンピューターのハードとソフトのシステム構成を工夫することが必要となる。SDVでは集中型のコンピューターの方がより柔軟な機能設定が可能となるが、上記の安全性の失陥につながる可能性は高くなる。コンピューターのハードとソフトをどこまで集約して、どの部分を分散させれば安全性の確保ができるかというシステムデザインの検討が必要である。

次に、ビジネスの観点からの課題として、車載コンピューターの容量をどこまで余裕を持たせるべきか、ということが挙げられる。これまでのクルマ作りでは、機能が満たされる最低限の容量にして、コストを低減するデザインが採られていた。しかし、SDVではバージョンアップや新機能追加のための余裕を持たせる必要があり、それにはコスト増を容認しなければならない。さらに、容量に余裕を持たせていても、スマートフォンなどの例でもわかるように、新たなソフトに対応するにはハードも刷新する必要がある。

もう一つ大きな課題は、国土交通省の道路運送車両法に基づくクルマの機能の認可への対応が挙げられる。例えばブレーキ装置など安全にかかわる機器は、モデルチェンジなどの際に同省の認可が必要となる。そのためには、その装置の試験データを添えて規定に適合させる手続きが必須であるが、ソフトの更新時に毎回その手間をかけられるのかどうか―、ということがメーカー側の課題となる。

このように、SDVの機能を柔軟にすればするほど、解決すべき壁はより高くなっていく。それゆえに、当面はSDVといってもナビゲーションシステムや表示系などの走行安全に影響の少ないものから取り入れていくことになると考えられる。そして、理想のSDVを実現させる道は遠く険しいものであり、その事実が現在の多くの自動車メーカーの技術開発陣を悩ませている。

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ふるかわ・よしみ 東京大学大学院工学研究科修了。博士(工学)。ホンダで4輪操舵システムなどの研究開発に従事。芝浦工業大教授を経て現職。

【インフォメーション】エネルギー企業・団体の最新動向(2025年1月号)


【三浦工業/新型のガス焚き小型貫流蒸気ボイラーでCN貢献】

ボイラーメーカー大手の三浦工業は、産業用熱源として使用されている主力製品「ガス焚き小型貫流蒸気ボイラSQ-AS型」をモデルチェンジし、「SQ-CS型」を25年3月から順次発売する。CS型は排ガス中のO2濃度を常時計測し濃度が一定になるよう制御する「O2センサ」を搭載したことが特徴。これにより、細かな燃焼調整が可能となった。さらに排ガスと給水を熱交換する装置「エコノマイザ」を改良することで、従来機より1%高いボイラー効率99%を達成したという。同社は新製品を通じて、カーボンニュートラル(CN)の実現に貢献していく構えだ。


【NEDO/液化CO2大量輸送に向けた実証試験の説明会】

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、工場や火力発電所などから回収したCO2を液化し貯蔵や荷役を経て船舶で運ぶ一貫輸送システムの確立に向けた技術開発の説明会を開いた。CO2を低コストで大量輸送する役割が期待される実証試験船「えくすくぅる」で、京都府舞鶴市と北海道苫小牧市の間を往復する試験を開始した。NEDOの布川信サーキュラーエコノミー部CSSチーム長は、輸送船用貨物タンクの開発や液化CO2を安定した状態で運ぶ技術などを追求し、CCUS(CO2回収・有効利用・貯留技術)の社会実装を促すことへの意欲を示した。


【岩谷産業/LPガス配送の合理化へ横須賀デポステを新設】

LPガス配送の合理化に向け、岩谷産業はこのほど、神奈川県横須賀市内のLPガス充てん所を改良し大型トレーラーを受け入れるデポステーション(ボンベ置き場)としての機能を新たに追加した。出荷機能を高めるため、24年4月に横浜市内に整備した根岸LPガス液化ターミナルと横須賀デポステとの間を、トレーラーが毎日2往復をめどにピストン輸送する。1車両当たり12.5tを積載する大型トレーラーを8台活用する予定で、輸送能力は年間で約1万4000t。同社は、人口が約70万人の横須賀エリアにおけるシェアを現行の約4割から将来は6割まで高めたいとしている。


【東邦ガスほか/四日市市に地域新電力設立、公共施設に供給】

東邦ガスはこのほど、三重県四日市市、日鉄エンジニアリング、三十三銀行との共同出資で地域新電力会社「よっかいちクリーンエネルギー」を設立したと発表した。25年4月以降の電力供給を目指す。同市のごみ処理施設で発電した電力などを市内の公共施設に供給し、エネルギーの地産地消を進める。事業で得た利益は脱炭素化に役立つ取り組みなどに活用する。


【JPEC、産総研/液体合成燃料の製造プラントで連続運転に成功】

カーボンニュートラル燃料技術センター(JPEC)は、産業技術総合研究所と共同で、CO2と水から液体合成燃料を一貫製造するベンチプラントを開発し、連続運転に成功した。液体合成燃料は既存インフラを有効活用し、ガソリンや軽油、ジェット燃料などを代替できる利点を持つ。両者はシステムの規模を拡大し、社会実装に向けた取り組みを進めたい考えだ。


【茨城大学/カーボンリサイクルのシンポで最新動向を紹介】

茨城大学カーボンリサイクルエネルギー研究センター主催のシンポジウムが、11月末に開催された。元トヨタの中田雅彦氏が「エネルギー、CO2/気候変動問題などの最近の動向」をテーマに基調講演。また、同センターの田中光太郎教授が「湿度スイング式DAC(CO2の直接回収技術)」研究の進捗を紹介し、社会実装に向け企業と基盤技術を共有する意向を示した。