自動車工場で計画断念か アンモニア利用に暗雲
脱炭素の鍵を握るアンモニア戦略。JERA碧南火力の混焼事業に続けと、西日本にあるA電力Z発電所でも1年以上前から検討作業を続けている。構想のグランドデザインを描くのはM商社だ。
海外からアンモニアを大量調達し、アンモニアと親和性の高いLPガス貯蔵基地を活用する。地元にあるこの既存インフラを流用して貯蔵し、そこをハブにして近隣へのアンモニア供給拠点に仕立てる算段だ。
石炭火力のZ発電所は供給先候補の一つだが、構想の中で、もう一つ候補として挙がっていたのが自動車メーカーX社だ。
周知の通りグローバルで事業を展開する自動車業界の脱炭素戦略は待ったなしだ。ゆくゆくは調達する部品メーカーへの脱炭素化要請も必須となる。率先垂範と、まずはX社自らが自社工場で進める脱炭素戦略の一つがアンモニア利用というわけだ。
以前から、この工場へのエネルギー供給にはM社グループも関わっていることもあって、アンモニアガスタービンを主軸に工場内のエネルギーを賄う計画だったが、「このX社の計画が白紙になり、コスト増が要因の一つのようだ」とは業界事情通。
大型火力発電所に比べれば、メーカーの一工場における消費量の差は月とすっぽん。M社とすれば、メインのZ発電所向けのボリュームを確保できれば御の字だ。ただ、「脱炭素に向けた多様なアプローチの一つがアンモニア。自動車産業におけるこのモデル確立は産業界からも注目されていただけに、もし事実なら残念」(前述の関係者)

一時は知事選決意も 花角知事の腹の内
柏崎刈羽原発の再稼働を巡り、新潟県では花角英世知事が公聴会や意識調査などで県民の意思を見極めている。今後、花角知事が容認の判断を示し、県議会が何らかの形で追認するのが最もスムーズな決着だ。
花角知事については、以前から「知事職に執着していない」との評があった。そのため、再稼働容認と同時に辞職し、出直し知事選に打って出るのではないかという憶測が絶えない。ただ再稼働に反対する候補が勝利すれば、少なくとも4年は再稼働が遠のいてしまう。経産省や県内選出の国会議員、県議のほとんどは県議会での決着を訴えてきたが、花角知事の真意はどこにあるのか。
「昨年1月の能登半島地震が起きる前は、出直し知事選をやるつもりだったと思う。つまり、地震がなければ、昨年の春か夏に選挙があったはずだ」。こう打ち明けるのは、自民党のT県議だ。「能登半島地震で多くの家屋が倒壊し、原発事故時の屋内退避に不安の声が挙がった。新たな課題が出てきた状況で県民の信は問えないと判断したのだろう」。また知事の任期満了が来年6月ということもあり、この期に及んでの辞職は「ない」と言い切る。 県議会での決着となる場合、過半数を握る自民党県連の動向が鍵だ。現在、党内調整の真っ最中で、地元同意を先延ばしして国からの譲歩を引き出したい重鎮のK県議が首を縦に振らないと難しいという。
安定供給への矜持は絶対 電力社長が見せた剣幕
今年は7月から例年以上の猛暑となっているものの、電力需給に大きな混乱はない。3年ほど前、需給ひっ迫警報が初めて出されて以降、端境期を含め対策が強化されてきたことが奏功したと言える。
3年前の需給危機以前は「電力会社は安定供給を担って当たり前」という空気が広がっていたし、「原発が止まっていても電気は変わらず送られてくる」といった論調の記事まで見られた。そうした中、ある大手紙記者が電力のX社長を取材した際、「いっそのこと停電が起きれば電力の苦労も理解されるのでは?」と口にしたところ、見たことのないような形相で「そういうことは二度と口にするな」と返されてしまった。いつもの温厚な顔からは想像できないような気迫にはっとしたという。
今夏の状況などをみて、国民が「安定供給の矜持」をもう少し感じ取れれば、関係者の苦労も報われるはずなのだが―。

















