NEWS 01:釧路が2例目ノーモア宣言 規制条例も拡大止まらず
釧路湿原などでの大規模太陽光開発に揺れる北海道釧路市が6月1日、「ノーモア・メガソーラー宣言」を行うに至った。2023年8月に宣言した福島市に続く全国2例目。政府は太陽光の長期安定電源化を目指し適切な事業者に集約させる仕組みを今春始めたが、各地で再エネ設備を規制する動きは当面続きそうだ。
鶴間秀典・釧路市長名で発した宣言では、太陽光の建設進行に伴い野生動植物の生育・生息地がおびやかされていることを問題視。生態系の崩壊、減災・防災機能の低下、すみかを失った動物による人里での被害拡大が懸念され、「自然環境と調和が成されない太陽光発電施設の設置を望まない」と表明した。
タンチョウなど釧路の自然が危機に
そして1例目の福島市は、今年4月1日に規制条例を施行。太陽光・風力の設置禁止区域を設定し、禁止区域外では許可制を導入。既設にも管理などの義務を一部適用する。本紙が昨夏取材した際は、ノーモア宣言やガイドラインを機にいくつかの計画が撤回され、「条例化の実効性も研究中。どんな手法が有効か引き続き検討する」としていた。ただ、宣言のきっかけである先達山の開発は25年の運開を目指し進行中で、市民からいまだ多くの問い合わせがある。
地方自治研究機構によると、3月末時点で公布を確認した規制条例は都道府県9、市町村302。昨年7月の前者8、後者277から着実に増えている。
NEWS 02:13兆円が一転ゼロに 東京高裁で逆転判決
「巨大津波を予測できる事情があったとは言えない」東京高裁は6月6日、2011年の福島第一原発事故を巡る株主代表訴訟で、東京電力の旧経営陣に約13兆円の賠償を求めた一審判決を取り消した。争点となった巨大津波の予見性について、木納敏和裁判長は冒頭のように指摘して否定。原告側は最高裁へ上告する方針だ。
福島事故を巡って東電や旧経営陣が被告となった裁判は、①刑事裁判、②民事裁判(株主代表訴訟)、③民事裁判(住民集団訴訟)─の三つがある。
業務上過失致死傷罪が争われた①の刑事裁判では3月、最高裁が1審、2審判決を支持し、旧経営陣の無罪が確定した。今回の高裁判決は②で、22年7月の東京地裁判決では「疑わしきは罰せず」が原則の刑事裁判と異なり、津波の予見可能性と対策の不備を認定し、旧経営陣4人に13兆3210億円という天文学的な賠償額を支払うように命じていた。しかし、今回の高裁判決は刑事裁判と同様に予見可能性と対策の不備を否定したことで、刑事と民事で異なる判断が出ている状況が覆された。
③の集団訴訟は国の責任の有無が争点となったが、最高裁は22年6月、国の責任を認めないとする判決を出した。一方、原子力損害賠償法は事業者の無過失・無限責任を規定しているため、東電に多額の賠償を命じる判決が相次いでいる。
原子力の最大限活用に向けては、事業者の責任範囲を明確にするため、原賠法の規定見直しを求める声が多い。実際に米国や英国、フランスなどは賠償額の上限を定めている。
電力自由化で総括原価方式が廃止となった以上、現行の原賠法は国策である原子力政策を担う事業者にとって重荷となっている。
NEWS 03:梅雨明け前に猛暑到来 早くも追加供給対策
6月中旬、梅雨真っ只中にもかかわらず関東や東海地方の各地で35度を超える猛暑日を記録した。冷房需要が急増し、比較的過ごしやすかった6月前半は3200万~3500万kW程度だった東京エリアの平日の最大電力が、17日には一気に4800万kWまで上昇した。
この時期は通常、夏季の高需要に備え、点検や補修のために火力発電所の多くが稼働を停止している。その上、連系線が作業停止するため他エリアからの受電にも制約がかかる。そうした中での高温予想により、電力広域的運営推進機関が13日に公表した翌週の広域予備率は、17日が最小でマイナス0・4%、18日がマイナス0・7%と、基準の8%を大きく下回ることになった。
これに伴い広域機関は、今年度初の「供給力提供準備通知」を発出。東京電力パワーグリッド(PG)と中部電力PGは、揚水発電設備の運用を発電事業者から送配電事業者に切り替えるなどの追加供給力対策を実施し、東電PGは、11~24日に計画していた周波数変換設備(FC)の新信濃2号機の作業停止を17、18の両日で取りやめた。一連の対策により、両エリアでは安定供給を維持することができた。
需要側でもDR(デマンドレスポンス)の要請を受け、節電対応が取られた。ただし、新電力の関係者は「この時期のDRを想定して準備しておらず、対応できなかった」という。異常気象の常態化が、火力の退出による予備力低下の影響をより深刻なものにしていることがうかがえる。
端境期の需給ひっ迫が繰り返される現状を直視し、調整力を確保し安定供給に万全を期すための抜本的な対策が求められる。
NEWS 04:バイオエタ拡大へ行動計画 28年度E10導入を巡る課題
資源エネルギー庁は6月10日の脱炭素燃料政策小委員会で、ガソリンへのバイオエタノール導入拡大に向けたアクションプラン(行動計画)を取りまとめた。
2030年度までに最大混合率10%(E10)、40年度以降に同20%(E20)の低炭素ガソリンを供給することが柱。30年度のE10本格展開前には、28年度をめどに一部地域で先行導入する。
今後の議論の焦点は、導入に伴う設備コストへの対応だ。
事業者の実情に即した支援が不可欠だ
バイオエタノールの混合方式には、10年施行のエネルギー供給構造高度化法以降、国内で一定の導入実績のあるETBE(エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)方式と、海外で主流の直接混合方式の2種類がある。エネ庁は、エタノールをイソブテンと反応させる工程が必要なETBE方式について、製造コストが高く、イソブテンの安定調達も難しいことから、直接混合方式の採用に前向きな姿勢を示している。
ただ、直接混合には水分混入や腐食への対策が不可欠で、サービスステーション(SS)を含むインフラ整備に多額の費用を要する。石油連盟の試算では、E10化を全国展開した場合の対応コストは9000億円弱に上るという。
石油業界は足元でSS過疎地対策などの課題に直面しており、さらなる負担増には慎重な対応が求められる。事業者の実情に即した支援が不可欠だ。