【業界スクランブル/石油】
このところ、原油価格が堅調に推移している。2月初旬には、WTI先物が55ドル前後、ドバイ原油も50ドル台後半に達した。
ワクチン接種開始や米国経済指標改善など早期の経済回復期待、各国の金融緩和効果もあろうが、やはり、サウジアラビアが1月5日に発表した2~3月の自主的な追加減産(日量100万バレル)が大きかった。この発表は、OPEC(石油輸出国機構)プラス合同閣僚監視委員会後の記者会見で、アブドルアジズ・エネルギー相から、同国ムハンマド皇太子の決定だとして発表された。感染再拡大で需要回復が遅れる中、需給改善効果が評価されたのだろう。
ただ、この発表を聞いて、筆者は耳を疑った。事実ならば、35年ぶりのサウジによる石油政策の変更だからだ。確かにその間、減産が必要な局面でサウジ一国が黙って減産したことはあったが、公言したことはなかった。
第2次石油危機後の需要減少にOPEC内のスイングプロデューサーとして、一手に減産を引き受けた結果、1985年夏、サウジの産油量は100万バレルを切る水準まで落ち込んだ反省から、一国での減産は拒否、OPECベースでの生産調整を続け、2017年からは減産負担軽減のため減産のベースを広げOPECプラスによる調整に移行した歴史がある。生産カルテルの原則は、「プロラタ」である。生産シェアを変更することなく負担や痛みを平等に分担するのが基本だ。一国で調整可能であれば、カルテルは不要である。
サウジの石油政策は安定志向で、長期的視野に立ち、こうした原則には忠実で保守的であった。しかし、ムハンマド皇太子が最高実力者となってからは、よくブレる。昨年3月の協議決裂時もそうであったが、今回は35年に及ぶ原則を放棄した。
皇太子の真意はよく分からないが、サウジの石油政策が短期的な政策や思惑でブレるのはよくない。4月以降の生産政策がどうなるか、3月の合同閣僚監視委員会が懸念される。 (H)




