A 建設コストが1・5兆~1・8兆円というのは、あまりに巨額だ。海洋環境への影響や漁業関係者との調整も無視できず、投資回収をどう担保するかも明確になっていない。民間企業だけで負いきれるリスクではなく、国の関与が相当必要になると思うよ。電力広域的運営推進機関は、北海道~東北~東京におけるHVDCの費用便益比(B/C)を0・63~ 1・72と評価しているが、仮にその数値が妥当だとしても同じ効果を得るのに他の選択肢がないのか疑問。この費用を別の電力インフラ投資に振り向ければ、より高い効果を得る方法があるのではないか。
B そもそも、洋上風力の適地である北海道では吸収しきれない再生可能エネルギー由来の電気を本州に運ぶことが整備の前提。ところが今や、風力発電事業そのものが資材費高騰の逆風を受けて先行き不透明だ。それに北海道は蓄電池の有力な投資先で、需要を制御できる余地がある。地域内で需要を創出し、蓄電池によるバランシングを図るといった発想を取り入れるべきではないだろうか。
C 二人の主張は理解できる。ただ、メーカーの立場からすれば、世界最先端の技術を日本のマーケットに入れていく視点も必要だ。目の前の課題に慌てるのではなく、どっしり構えて取り組んでほしい。30~40年は使えるはずだから、長期的に見れば有効活用できると思うし、国内のエネルギー供給のレジリエンス向上にも貢献する。それに、優秀な人材を業界が獲得するための一つの呼び水にもなる。日本で導入事例のない最先端の技術に携われるとなれば、エンジニアたちは目を輝かせて挑むはずだ。一つ念押ししておきたいのは、この技術を日本国内にとどめておいては無意味だということ。日本の技術を海外展開することを視野に開発する意気込みが求められる。そのためには、国際的に戦えるコスト水準で設備を作ることが前提となるし、国際規格で開発を進めなければならない。
B 新技術への挑戦は、確かに重要なポイントだな。イノベーションのない業界に若者は興味を持たないだろうから。
C 憶測だが、外資規制の強化が影響している可能性はある。資格検査の発表直前の2月初旬に、財務省が今春、外為法の政令を改正し、基幹インフラへの外資規制を厳格化する方針との報道があった。タイミング的に無関係とは思えないし、基幹インフラの情報漏えいリスクが指摘される中、安全保障の観点から排除されても不思議ではない。
B こちらはあくまでも聞いた話だけど、資源エネルギー庁はスーパー連系線やチャレンジング連系線の資金調達の仕組みとして、財政投融資に近い政府保証付きのファイナンスを検討しているようだ。HVDCは一般送配電事業者ではなく、あくまでも参画した事業者が送電ライセンスを取得して実施する。政府がファイナンス面で深く関与するのであれば、外資系企業を有資格者として認めるのは難しいという判断かもしれない。HVDC事業から外資を排除するというより、このような事情が大きく影響したと理解している。