【東京電力パワーグリッド・日立製作所/DCの計算負荷の分散制御を利用したエネマネ】
東京電力パワーグリッドと日立製作所は共同で、複数エリアのデータセンター(DC)間における、系統連携型エネルギーマネジメントに関する基礎技術を確立した。DCを稼働する電力の輸送コストより、DCで処理したデータの輸送コストが経済的なことから、地方エリアに多くある再エネの発電所付近にDCを設置し、発電量に見合った需要を創出することで、地産地消につなげる。実証では茨城県のDCと東京都のサーバールームを接続し、DCの計算負荷の空間シフトやエリア内での計算負荷の時間シフト、DC内の空調などの制御を行った。両社はDCを電力需要の調整力とすることを目指し、安定供給と社会コスト低減の両立に向けて取り組む。
【東京ガス/AEM水電解装置導入でCO2フリー水素を製造・販売】
東京ガスは7月13日、千住水素ステーションでエナプター社製のAEM(陰イオン交換膜)水電解装置を使用した水素の製造・販売を国内で初めて開始した。同ステーションでは2016年から都市ガスから製造した水素を販売。22年度末には非化石証書による実質再エネ100%の電気に切り替えている。同装置の導入で、CO2フリー水素の製造・販売を実現した。構造はシンプルで、小型モジュールを組み合わせることで水素製造量を柔軟に調整できる。限られたスペースへの導入が期待されるほか、セル部材の材料の選択肢が広く、セルスタックの低コスト化なども可能だ。東京ガスは適切なシステム構成や運転管理などの知見を獲得し、水素供給ビジネスの展開を目指す。
【NTTアノード・九州電力・三菱商事/福岡で系統用蓄電池の運用を開始】
NTTアノードエナジーと九州電力、三菱商事の3社は、再エネ出力制御の低減に向け、福岡県香春町に蓄電システムを設置。本格的な運用を開始した。出力は1400kw(容量は4200kW時)。3社は昨年から、出力制御される電力の有効活用と新たな調整力創出に向けて、各社のノウハウなどを活用し、共同で系統用蓄電池事業の開発を進めていた。今回、NTTアノードが国の補助を受け国産の系統用蓄電池を設置。今後は太陽光出力制御の低減と、需給調整市場など各種電力市場で系統用蓄電池をマルチユースする場合の事業性の検証を行う。3社の複数の太陽光発電所の同期運用の検証も実施する予定だ。2025年度以降は容量市場への供給力供出を目指している。
【ヤンマーエネルギーシステム/非発向け遠隔監視サービスを開始】
ヤンマーエネルギーシステムは、非常用発電機向けに、災害時に備えて平時の管理体制を提供する遠隔監視サービスを開始する。同社の主力商品の非常用発電機「AutoPackシリーズ」には新遠隔通信ユニットを標準搭載し、今年7月から出荷を始めている。同社は、GHPやコージェネ向けに提供してきた遠隔監視システム「RESS(レス)」の機能を拡充。停電時にも不具合なく非常用発電機を起動できるように、平時から機器管理をサポートするサービスを提供していく。
【積水ハウス/住宅メーカー初 水素住宅の実証を開始】
積水ハウスは、自宅で水素を作り住宅内の電力を自給自足する、住宅メーカー初の水素住宅の実用化に向け、実証実験を開始した。2025年夏の実用化を目指している。日中は屋根上の太陽光発電パネルからの電力を消費。余剰電力を使って水を電気分解して水素を作り、水素吸蔵合金のタンクで貯蔵する。雨の日や夜間などは貯蔵した水素を利用して燃料電池で発電する仕組みだ。同社のネット・ゼロ・エネルギー・ハウスに組み込むことで、環境性能や利便性、レジリンス性などを向上できるとしている。
【NTTデータ/発電・需要やCO2排出量リアルタイムに予測】
NTTデータは、日新システムズ、ネクステムズと共同で、再生可能エネルギー電源や水道などの家庭インフラに関する情報を収集・可視化・分析する情報流通基盤の実証実験を沖縄県宮古島で実施し、その成果を得た。実証は2022年7月~23年3月に行った。島内の約1000件の需要家に設置した太陽光発電(計5000kW)、蓄電池、ヒートポンプ給湯機などを対象に、電力・水道の需要量や供給量などをリアルタイムに収集・可視化し、翌日から翌々日までの発電・需要やCO2排出量が予測できることを確認した。
【関西電力・岩谷産業/万博で水素船・水素SSのエネマネ採用】
関西電力は7月、岩谷産業が2025 年日本国際博覧会(大阪・関西万博)で水素燃料電池船の旅客運航を行い、また船のエネルギーマネジメントなどは同社が行うことを発表した。この取り組みは、岩谷が船舶建造・運航および船舶用水素ステーションを建設し、関電がエネルギーマネジメントと船舶用充電設備の建設を担うことで、経済性が成立する水素船の商用運航の実現を目指すものだ。水素船は、走行時にCO2などを排出しない高い環境性能を有するだけでなく、匂い、騒音、振動のない優れた快適性が期待されている。同社はこの取り組みを通じて、水素船などのエネルギーマネジメントの商用化に貢献し、水素利活用に対する可能性を検討していく構えだ。
【中部電力ほか/工場内環境を可視化するシステムを開発】
中部電力と中部電力ミライズ、九州計測器の3社は、オイルミストや粉塵の濃度と空間温湿度を4Dで表示できる、ワイヤレス型オイルミスト濃度・温湿度計測システム「Mieru TIME OILMIST」を開発し、販売を開始した。濃度や温湿度を計測するワイヤレス型センサーを工場内に配置して、PCやクラウドにデータを集約。映像化して、工場内環境を見える化できる。リアルタイムで確認できるため、給気や換気量の運用変更などの対策が立てやすくなり、環境改善の精度向上を実現する。
【三井E&S/SAF生産の実証向け 大型圧縮機を受注】
三井E&Sは、国内初となる廃食油を原料とした国産SAFの大規模実証向けに、圧縮機2機を受注した。同実証は国産SAFの大規模生産を目指し、日揮HD、コスモ石油、レボインターナショナル、日揮の4社が取り組む。同社はSAF製造プラントや水素ステーションなどへの圧縮機供給により、ゼロエミッション社会の実現に貢献していく方針だ。
【川崎汽船/ジクシス社向け新造船 液化アンモニア輸送も可】
LPガス元売りであるジクシス向けの新造船となる二元燃料運搬船が、川崎汽船へ引き渡しとなった。「AXIS RIVER(アクシス・リバー)」と命名された同運搬船は、3隻目の契約船となる。重油とLPGを燃料とするデュアルフューエル船で、LPガスに加え、脱炭素化に向けて今後需要の拡大が見込まれる液化アンモニアの輸送も可能となっている。
【伊藤忠エネクス/道路工場でGTL燃料 自家給油は九州初】
伊藤忠エネクスは7月、三井住建道路が運営する大牟田合材工場で稼働するバーナーにおいて、同社が取り扱う『GTL燃料』が使用開始されたことを発表した。GLT燃料は天然ガス由来の製品で、環境負荷の少ない軽油代替燃料だ。軽油対比でCO2排出量を8.5%削減できる。三井住建道路では、昨年からプラント内の重機に小口配送でGTL燃料を使用していたが、4月からは同プラント内に設置したタンクからGTL燃料を自家給油することに切り替えた。同社は、今後も持続可能な社会への貢献を目指す構えだ。