【業界スクランブル/火力】
2025年は、電力システム改革の各制度の検証が進められた。その中で、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が容量市場制度に関する意見募集「CfE」を行ったが、説明文の冒頭に「容量市場は日本全体で中長期的な供給力を継続して確保することを目指す」と記されていた点に違和感を覚えた。制度設計の議論の時点では、既設電源と新設電源を区別しない以上、資本費が軽い既設電源が有利になることが容認され、その結果、応札価格には減価償却費などの資本費は含めないとするという明確な方針が示されていたからだ。
しかし実際には、既設電源であっても設備維持や将来に向けた技術更新のための対応が不可欠であり、減価償却費の回収は固定費確保の根幹を成す。そのため近年では老朽火力の退出が加速し、資本費の重い新設電源は、熱効率の大幅向上が見込める一部のガス火力の更新計画に限られ、供給力が急速に市場から失われているのが実情である。
こうした状況を踏まえ、国やOCCTOはいつの頃からか容量市場が「将来の電源投資の予見性向上にも資する」と説明するようになった。しかし、制度の基本構造が変わらない以上、この期待は名目にとどまり、実効性に乏しい。とりわけ電力システム全体の不確実性といった構造的リスクを、減価償却費の回収もままならない発電事業者に一方的に負わせている現行制度では、供給力の安定確保など到底成し得るものではない。
中長期的な供給力確保に資する制度とするには、短期の市場にばかり目を向けるのではなく、中長期のコスト構造といった大局的な視点を持つことが肝要だ。(N)


