今夏の経済産業省、環境省の主要人事が出揃った。注目は、資源エネルギー庁の組織改編だ。エネルギーの安定供給とカーボンニュートラル(CN)実現の両立に向け、省エネルギー・新エネルギー部、そして資源・燃料部の課室体制を見直し、7月4日付けで施行した。特に資燃部は、CNに向けたエネルギー転換の必要性から大幅な変更となる。「石油も天然ガスも石炭も今回、資源エネルギー庁、経産省からは課の名前としてはなくなる。時代の大きな変化を感じている」(西村康稔経産相)。「エネルギー・金属鉱物資源機構」へ名称変更したJOGMECに続き、エネ庁の部署名からも「化石燃料カラー」がほぼ消えることとなった。

GX時代を見据えた新たな布陣
では、新生資燃部の布陣とは――。
まず政策課の下に、GX(グリーントランスフォーメーション)を見据えた資源外交戦略を担う「国際資源戦略室」を新設した。
石油・天然ガス課は「資源開発課」に改称し、非化石を含めた燃料の上流開発を推進する。また、石油精製備蓄課や石油流通課の名称からも「石油」を抜いた上で統合し、「燃料供給基盤整備課」として、合成燃料やSAF(持続可能な航空燃料)などを含めた燃料の供給体制を担当する。同課には、これら次世代の燃料の安定供給を図る「燃料流通政策室」も設置した。
そして石炭課は、鉱物資源課と統合して「鉱物資源課」に。課の中には、石炭関連政策を実施する主体として「石炭政策室」を置いた。
CCS(CO2回収・貯留)やカーボンリサイクルの推進は、新設の「燃料環境適合利用推進課」が担う。特にCCSに特化した事業化・法制化を行う部署として「CCS政策室」も新たに整備した。
他方、省新部には、水素・アンモニアに特化して需給両面の政策を担う「水素・アンモニア課」を新設した。
経産次官に飯田氏 エネ庁長官は村瀬氏
エネ庁を中心に、経産省の主要人事を見てみよう。※( )内のポストは前職
前経産事務次官の多田明弘氏(1986年入省)は退任し、その後任で、飯田祐二氏(88年、経済産業政策局長)が新たに次官に就任した。エネ庁長官として、政策の大きな節目となったGX関連法成立に尽力した保坂伸氏(87年)は、経済産業審議官のポストに移った。
南亮氏(92年、首席国際カーボンニュートラル政策統括調整官)が総括審議官に、山下隆一氏(89年、製造産業局長)が経済産業政策局長に就く。
そしてGX政策の中枢を担う「GX推進機構」の24年度設立に向け、龍崎孝嗣氏(94年、審議官・経済産業政策局担当)が首席GX機構設立準備政策統括調整官を担う。
保坂氏の後任としてエネ庁長官に就任したのは、村瀬佳史氏(90年、内閣府政策統括官)だ。なお、村瀬氏は2013年に電力・ガス事業部政策課長、電力小売り全面自由化後の2016年6月から4年間は電力・ガス事業部長を務めた。GXだけでなく、電力システム改革の在り方が改めて問われる局面で、どのように政策を主導していくのか、注目される。
エネ庁次長の小澤典明氏(89年)は退任し、後任は松山泰浩氏(92年、電力・ガス事業部長)が務める。松山氏は、首席最終処分政策統括調整官、首席エネルギー・地域政策統括調整官も兼任する。電ガ部長には、2019年に原子力立地・核燃料サイクル産業課長を務めた久米孝氏(94年、大臣官房総務課長)が就いた。
経産省・エネ庁はこうした新体制で、まずは5月末までに成立したGX関連法の実施のほか、国のエネルギー基本計画の改定に向けた議論、東京電力の第五次総合特別事業計画の策定などに取り組むことになる。
主要ポスト人事(入省年次含む) 女性幹部を積極登用
大幅な組織変更となったエネ庁の主要ポスト人事は次の通り(敬称略)。
<長官官房>
総務課長=河野太志(96年、電ガ部政策課長)
大臣官房参事官(総合エネルギー戦略担当)=遠藤量太(01年、電ガ部原子力政策課長)
総務課戦略企画室長=小髙篤志(05年、大臣官房総務課政策企画委員)
国際課長=白井俊行(99年、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局参事官)
<資燃部>
政策課長=貴田仁郎(97年、電力・ガス事業部原子力立地・核燃料サイクル産業課長)
資源開発課長=長谷川裕也(00年、長官官房国際課長)
燃料供給基盤整備課長=永井岳彦(98年、資燃部石油流通課長)
燃料流通政策室長=日置純子(99年、商務情報政策局情報経済課デジタル取引環境整備室長)
燃料環境適合利用推進課長=羽田由美子(99年、資燃部石炭課長)
<省新部>
政策課長=稲邑拓馬(98年、省新部省エネルギー課長)
省エネルギー課長=木村拓也(00年、通商政策局通商機構部参事官)
水素・アンモニア課長=日野由香里(03年、省新部新エネルギーシステム課長)
<電ガ部>
政策課長=曳野潔(98年、前省新部政策課長)
電力産業・市場室長=筑紫正宏(04年、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局企画官)
原子力政策課長=吉瀬周作(03年、電ガ部電力産業・市場室長)
原子力立地・核燃料サイクル産業課長=皆川重治(01年、電ガ部原子力政策課原子力基盤室長)


















