◆2021年9月29日 自民党総裁選 戦況の振り返り
21年8月26日 岸田文雄前政調会長 総裁選出馬表明
21年9月3日 自民党臨時役員会 菅首相 総裁選不出馬表明
21年9月8日 高市早苗元総務相 総裁選出馬表明
21年9月10日 河野太郎ワクチン担当相 総裁選出馬表明
21年9月15日 石破茂元幹事長 総裁選不出馬表明
21年9月16日 野田聖子幹事長代行 総裁選出馬表明
21年9月17日 総裁選告示
21年9月29日 総裁選
21年10月4日 首班指名、組閣
1.21年8月26日 岸田文雄前政調会長 総裁選出馬表明
◎岸田選対本部の陣容 21年9月17日
顧問 甘利明(麻生派 ←新政権で自民党幹事長)、鈴木俊一(麻生派 ←新政権で財務相)、石原伸晃(石原派)、中谷元(谷垣G)、塩谷立(細田派)ら
選対本部長 遠藤利明(谷垣G ←新政権で自民党選対本部長)
事務総長 根本匠(岸田派)
事務局長 木原誠二(岸田派 ←新政権で首相補佐官)
推薦人
〇歴代宏池会幹部の親族
鈴木俊一(麻生派←新政権で財務相)
堀内詔子(岸田派←新政権でワクチン担当相)
加藤鮎子(谷垣G←新政権で国土交通政務官)
〇エネルギー基本計画における原発議論で苦杯を喫した人たち
山際大志郎(麻生派)自民党総合エネルギー戦略調査会(額賀委員会)事務局長 ←新政権で経済財政相
高木毅(細田派)自民党電力安定供給議連(細田議連)事務局長←新政権で自民党国会対策委員長
※梶山 弘志 経産相(無派閥←新政権で自民党幹事長代行)も推薦人に
(1) 甘利明自民党税調会長(麻生派←新政権で自民党幹事長
21年9月6日 BS日テレ「深層NEWS」での岸田支持表明
出馬表明した岸田文雄前政調会長について「事情が許せば応援してあげたいという気持ちは、正直なところだ」と支持表明。
(2) 梶山弘志経産相 岸田氏の推薦人になった理由
総裁選告示日となった21年9月17日、閣議後大臣記者会見で、岸田候補の推薦人になったことを表明し、その理由を次のように述べた。
○21年9月17日、梶山経産相閣議後大臣記者会見
〈私はこの2年間、経済産業大臣として、中小企業を含む産業政策、そしてエネルギー政策というものも担当してまいりました。そこに重点を置いてこの総裁選を見てみたいと思っております。その前提となるのが、去年、菅 総理が宣言をされた2050年のカーボンニュートラル、ネットゼロ、そして4月にそれに関連してお話しされましたNDCの46%削減というものがあるわけであります。これにより、大きなエネルギーの転換や産業の転換というものが生じてまいります。場合によっては雇用への影響、個人でいえば所得への影響、支出への影響というものは必ず出てくるものだと思っております。……各産業との対話、労働組合も含めた産業との対話というのは非常に重要になってくると思っております。……そういった対話を重ねる姿勢が見える方を私は応援をしたいという点で、岸田候補の推薦者になったということであります。〉
2.21年9月8日 高市早苗元総務相 総裁選出馬表明
◎高市選対本部 21年9月17日
選対本部長 古屋圭司(無派閥)
事務総長 城内実(無派閥)
事務局長 木原稔(竹下派)
推薦人 ※保守系がズラリ 衛藤 晟一、山谷 えり子、山田 宏、青山 繁晴
参考=古屋圭司元国家公安委員長 21年11月談
~自民党総裁選 高市早苗陣営 選対本部長~
〈高市早苗が総裁選に出るという話が出てきたので、本人に電話をして「本当に出るのか」と聞くと、「出る」と言うので、「じゃあ応援しよう」となった。すぐに安倍元首相に電話をすると「応援する」という。自分が選対本部長になり、いろいろな人に電話をすると、勝ち馬ではないのに、意外に食いつきがよかった。世の中の2割が右巻き、2割が左巻きという中で、安倍さんの時はその右巻きの9割を押さえていたが、菅さんになって7割しか取れていない状況だった。これを元に戻したいという思いだったが、高市はSNS上の反応も良く、結果的にこれを戻した。……岸田さんは、前回の総裁選で一度失敗して、1年間じっくり考えてきたのであろう、選挙戦へのスタートも早く、見事に乗り切った。〉
3.21年9月10日 河野太郎ワクチン担当相 総裁選出馬表明
◎河野選対本部
選対本部長 伊藤達也(無派閥)
選対本部長代行 岩屋毅 (麻生派)
事務総長 坂本哲志(石原派) 孤独・孤立対策担当相、
事務局長 井上信治(麻生派)科学技術相
推薦人 ※早々に河野支持を打ち出し、石破不出馬の流れを作った石破派議員 古川禎久(←新政権で法相)、平将明
(1)自民党保守派の河野評
○ある保守派の参院議員は次のように語る。21年9月談
〈河野が首相になったらエネルギー業界も困るだろう。河野を絶対に勝たせてはいけない。エネルギー業界も勝たせないよう頑張ってほしい。〉
○また別の参議院議員は、かつて次のように語っていた。20年10月談
~菅政権発足時にあった河野官房長官説について~
〈菅内閣発足に際し、河野太郎官房長官説があったが、自分は最初からそれはないと思っていた。ご承知のように、河野防衛相は秋田と萩で予定していたイージス・アショア計画を突然止めた。自分は、萩の地元対応を担当していたが、秋田のような地元対応の不手際等もなく、秋田ほど反対が強くなかった。それなのに連絡もなく止めるとなった。そして、河野は責任も取らずに防衛相を替わっていった。〉
4.21年9月15日 石破茂元幹事長 総裁選不出馬表明
21年9月15日。立候補を見送り、河野氏を支持する考えを明らかにした。
~石破氏に近い元官僚の話~
自分は退官後も折に触れ、種々のレクや相談に応じてきたが、石破さんはあまり役所に親しい人がおらず、防衛大臣もしていたが、その時の秘書官もほとんど来ない。「小石河連合」は、第二次世界大戦の「日独伊三国同盟」みたいなもので、3人が全然連携していなかった。石破さんは河野さんに、「総裁選の経験は豊富だから、聞いてくれたらいろいろアドバイスできますよ」と言っていたようだが、河野さんは石破さんの所に2回しか来ず、しかも挨拶程度。結局、一度も聞かれなかった。 河野氏と進次郎氏もそんなに会っていなかった。「小石河連合」は、第二次世界大戦のドイツはドイツ、日本は日本で戦っていた「日独伊三国同盟」のようなもの。石破さんにそう言うと、「じゃあ河野さんと私がドイツか日本で、イタリアは決まりですね。なんの役にも立っていなかった」とすごく喜んでいた。5.総裁選 結果
(1)事前の調査
党員データを持つ共同通信、読売新聞が党員票調査結果を報じた。
共同 河野48.6% 岸田18.5% 高市15.7% (9月17、18日調査)
読売 河野41% 岸田22% 高市20% (9月18、19日調査)
←・「小石河」の連合効果不発 過半数超えず
・高市が追い上げ
議員票の動向 (←河野の議員票は100票を超えていた)
ex) 毎日新聞 議員票 9月24日調査 ( )内の数字は本人確認分
河野105(103) 岸田135(120) 高市82(75) 野田21(21)
(2)選挙結果
一回目投票
岸田 議員票 146票 党員票 110票 計 256票
河野 議員票 86票 党員票 169票 計 255票
高市 議員票 114票 党員票 74票 計 188票
野田 議員票 34票 党員票 29票 計 63票
決選投票
岸田 議員票 249票 党員票 8票 計 257票
河野 議員票 131票 党員票 39票 計 170票
◎自民党総裁選 岸田派の戦い
宮沢洋一自民党税制調査会長・元経産相 21年11月談
〈われわれは総裁選への取組が早かったので、業界団体等にお願いに行けた。霞が関の役人もそうだが、業界団体のほとんどは、河野だけはイヤだと言っていた。党員調査で表向き出ている数字より良い数字が出ると踏んだ。それに加えて、河野は準備不足だった。勉強不足が表れた。原発についてもそうだし、年金のアイデアは相当古くて、20年前に勉強したものというレベルで、すぐにボロが出てきた。〉