エネルギーインフラ投資ファンドのIDIインフラストラクチャーズで不可解なトップ交代劇が起きた。10月30日開かれた取締役会で埼玉浩史氏が代表取締役社長を解職され、大和証券グループ本社常務執行役員の荒木秀輝氏が後任の社長に就任したのだ。ガス、石炭、水力、太陽光などの発電所を運営し、新電力大手Fパワー(埼玉会長兼社長)の株主として活躍してきた同社だが、2018年に発生したFパワーの経営危機と前後して、エネルギー業界内では不穏なうわさが飛び交っていた。突然のトップ交代の舞台裏では、一体何が起きていたのか。渦中の埼玉氏がこのほどエネルギーフォーラムの単独インタビューに応じ、真相を激白した。(埼玉氏のインタビューのうち、Fパワーの経営再建・改革に関する部分はエネルギーフォーラム1月号=12月25日発売=に掲載いたします)
聞き手・井関晶エネルギーフォーラム編集部長
埼玉浩史 IDIインフラストラクチャーズ(以下、IDIインフラ)は、エネルギー専門のインフラファンドです。現在、IDIグループと大和証券グループ本社の株主比率は、50対50のジョイントファンドになっています。
今回起きた事件(社長解職騒動)のいきさつを申し上げると、大和証券グループが株主間契約違反を犯して株主に何の相談もなく、すでに退職した元従業員から内部通報があったとして、IDIインフラのコンプライアンス規定も無視する格好で突如、IDIインフラの取締役会を使って大和証券グループと親密な弁護士事務所を指名し、外部調査をするという暴挙から始まりました。大和証券グループ本社所属の木曽慎二監査役が、すでに退職した元従業員数人にインタビューしたという事実不明の理由だけでいきなり、社内コンプライアンス規定を無視して、多大なコストがかかる外部調査を実施すべきと判断したのです。

社内調査を一方的打ち切り 忠実義務違反などで解職
当該外部調査ではスコープやコストが明確にされず、正式な契約手続きがないまま、要は調査に協力できる環境が整わないまま、私自身へのインタビューもない。最終的には、私が調査拒否をしたという理由で調査を勝手に終了し、元従業員の内部通報のみをベースとした外部調査報告書が作成されました。その内容も、調査を一方的に打ち切り、また内部通報にかかる事実について違法行為までは認められないとさえしているにもかかわらず、調査への非協力を理由にして私の善管注意義務・忠実義務違反を認定するなど、極めて恣意的で不合理なものです。さらには、大和証券グループの主導により、その外部調査報告書のみを使って、10月30日のIDIインフラの取締役会で、私の代表取締役社長の解職に至ったものです。
何よりも大和証券グループ本社の松井敏浩副社長(IDIインフラ社外取締役)、荒木秀輝常務執行役員(IDIインフラ社長)、および木曽監査役(IDIインフラ社外監査役)が自分たちの都合だけでここまでの暴挙を引き起こした責任は重たいです。




