【業界紙の目】宗敦司/エンジニアリングビジネス編集長
海外の石油・ガス・石油化学の大規模プロジェクトを中心分野としてきたエンジニアリング産業。だが脱炭素化や新型コロナの影響で、その転換を迫られている。狙うは環境とデジタル関連分野だ。
日本機械輸出組合がまとめた、2019年度の海外プラント成約実績は、前年度比で約半減の66億ドルという結果となった。同調査開始以来の低い数字である。このような結果となった要因は、日本のエンジニアリング会社が得意とする、LNGや石油化学といった大規模プロジェクトの投資決定が遅れたことにある。
LNGプロジェクトでは、需給が緩和してきているため、もともと遅れ気味であったところに新型コロナウイルス感染拡大が加わって、全世界で燃料需要が低下したことで、さらに遅れに拍車を掛けた。既に日本のエンジニアリング会社の受注が決まっているモザンビークのLNGプロジェクトや、受注可能性の高いカタールLNGなどの巨大プロジェクトでも最終投資決定や入札プロセスが遅れた。

このような状況の中で、19年度の受注は大きく低下。ただ、今年度に関しては大型プロジェクトの動きも出始めており、受注回復が見込まれているところではある。
だが、この先については不透明だ。コロナの影響の問題に加えて、脱炭素化の進展が早まっていることが影響を及ぼしている。石炭火力からのダイベストメント(投資撤退)が世界の潮流となっているが、石油精製に関しても、米国の著名なアナリストが石油業界の会議で「グラスルーツの製油所はもう造れない」と述べて物議を醸した。LNGプロジェクトですら、当面は多数のプロジェクトが動いているが、将来的には継続できない可能性が指摘されている。
最近では米国シェール企業が同市場からの撤退を始めている。米国のLNGプロジェクトの一部では既に、出資から引き上げる企業が出始めているなど、LNGとて安泰とは言えない。
巨大案件での強みが裏目 「リスク請負業」に
また、前述の成約実績の中身を詳しく見ると、過去の受注拡大期でも、成約金額の約7割が1件当たり1億ドル以上の大型案件で占められることが多い。つまり日本のプラント輸出は、大型案件に強みがあるということ。これは海外のエネルギー企業から大きな信頼を得ていることの証明でもあるのだが、その一方で、価格競争がより重視される中小型案件では日本の競争力がないということも示している。
しかも大型案件は数が多く出てこない上、受注までに非常に時間がかかる。そのためエンジニアリング会社の業績は、大型案件を受注できるかどうかで大きく左右され、非常にボラティリティの大きな業態となっている。
その上、巨大プロジェクトでは当然ながら受注企業が抱えるリスクも大きくなる。ピーク時で1日に数千人、それも多種多様な国籍・言語のワーカーが一つのプロジェクトで働く状況も珍しくない。その中で工事を遅滞なく進めていくのは至難の業であり、遅れればそれだけで大きなコストが発生することになる。














